著者
元木 康介 米満 文哉 有賀 敦紀
出版者
日本消費者行動研究学会
雑誌
消費者行動研究 (ISSN:13469851)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1_2, pp.1_2_1-1_2_22, 2021-03-31 (Released:2022-01-22)
参考文献数
82
被引用文献数
2

科学は再現性の危機に瀕している。心理学を中心として、研究結果が再現できないことが続々と報告されている。また、近年の有力誌に掲載された消費者行動研究の結果が再現できないことがわかってきた。この再現性の危機には、p-hackingやHARKingなど疑わしい研究実践(questionable research practices: QRPs)がかかわっている可能性がある。実際、消費者行動研究においてQRPsが研究慣習として存在するという指摘がなされている。本稿では、消費者行動研究の立場から、再現性問題とそれにまつわる諸問題について論じる。まず、消費者行動研究においてこれまでに暗黙的な研究慣習とされてきたことが、QRPsを内包するものであることを指摘する。次に、消費者行動研究で再現性問題やこれまでの研究実践がどのようにとらえられてきたかを論じる。最後に、QRPsの対処策として、消費者行動研究に求められる研究実践を提案する。事前登録制度(pre-registration)を中心として、統計値・実験マテリアルの報告やオープンデータなど、信頼できる研究実践の取り組みを紹介する。
著者
伊藤 嘉浩 佐藤 洸志
出版者
日本消費者行動研究学会
雑誌
消費者行動研究 (ISSN:13469851)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.2_95-2_120, 2014

<p>本稿では、日本の映画料金に関して、映画館関係者へのインタビューおよび、顧客側へのアンケート調査による、価格反応性分析、PSM法による価格受容意識分析、料金に関するイメージ分析の3つの分析を行い、割引制度などの価格戦略の考えや効果、および顧客の考える価格意識などを明らかにした。これらの結果から、映画料金を透明化して、600円程度まで引き下げることを提言し、飲食物の売上げへの貢献により、利益が増加する可能性を提示した。学術的には、ものの商品にはあまり見られない、アート消費である映画特有の価格反応性や価格受容意識が見られ、特に、映画経験が豊富で、非常に高関与なユーザー層が存在することが明らかになった。</p>
著者
伊藤 嘉浩 佐藤 洸志
出版者
日本消費者行動研究学会
雑誌
消費者行動研究 (ISSN:13469851)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.2_95-2_120, 2014 (Released:2018-08-31)
参考文献数
28

本稿では、日本の映画料金に関して、映画館関係者へのインタビューおよび、顧客側へのアンケート調査による、価格反応性分析、PSM法による価格受容意識分析、料金に関するイメージ分析の3つの分析を行い、割引制度などの価格戦略の考えや効果、および顧客の考える価格意識などを明らかにした。これらの結果から、映画料金を透明化して、600円程度まで引き下げることを提言し、飲食物の売上げへの貢献により、利益が増加する可能性を提示した。学術的には、ものの商品にはあまり見られない、アート消費である映画特有の価格反応性や価格受容意識が見られ、特に、映画経験が豊富で、非常に高関与なユーザー層が存在することが明らかになった。
著者
和田 充夫
出版者
日本消費者行動研究学会
雑誌
消費者行動研究 (ISSN:13469851)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.1-12, 1998-03-20 (Released:2009-05-29)
参考文献数
6
著者
松原 優
出版者
日本消費者行動研究学会
雑誌
消費者行動研究 (ISSN:13469851)
巻号頁・発行日
pp.202310.002, (Released:2022-12-15)
参考文献数
82

本研究は、人が持つ所属欲求と社会的アイデンティティ理論のフレームワークに、ブランド・コミュニティにおける社会的なつながりの質に対する評価であるソーシャルネットワーク・クオリティを加えたモデルを開発することにより、ブランド・コミュニティが、消費やブランドに限定されない消費者の人生全般に関するウェルビーイングに及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。その結果、(1)ソーシャルネットワーク・クオリティがブランド・コミュニティ・アイデンティフィケーションの先行要因となること、(2)ブランド・コミュニティ・アイデンティフィケーションが消費やブランドに限定されない消費者の人生全般に関するウェルビーイングの先行要因となることが明らかとなった。さらに、ブートストラップ法を用いた媒介分析の結果、ソーシャルネットワーク・クオリティによる消費やブランドに限定されない消費者の人生全般に関するウェルビーイングへの影響は、ブランド・コミュニティ・アイデンティフィケーションによって媒介されることが明らかとなった。
著者
西本 章宏
出版者
日本消費者行動研究学会
雑誌
消費者行動研究 (ISSN:13469851)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.2_27-2_50, 2010 (Released:2018-08-31)
参考文献数
55

本研究は、消費者の認知的精緻化を促進させる「適度な不一致」に焦点を当てている。本研究の目的は、製品拡張に対する「適度な不一致」の適用可能性を探ることである。そこで、本分析では、MCMC(マルコフ連鎖モンテカルロ)法による階層ベイズによって、製品拡張に対する消費者の認知的精緻化のモデリングを試みている。その結果、(1)「適度に不一致」な製品拡張は、階層的カテゴリー構造の下位レベルにおいて同定され、ゆえに、(2)「適度な不一致」製品は、消費者選好構造において、市場の境界線を拡張させることを明らかにしている。
著者
磯田 友里子
出版者
日本消費者行動研究学会
雑誌
消費者行動研究 (ISSN:13469851)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.2_73-2_100, 2018-03-31 (Released:2021-05-01)
参考文献数
67

サービス・マーケティングの分野では、伝統的に、待ち時間は顧客満足に負の影響を与えると考えられてきた。一方、近年消費者行動研究の分野では、消費者が自ら消費を先送りして待ち時間を楽しんだり、待ち時間から高品質を連想したりするといった現象に注目が集まり、研究成果が蓄積されつつある。マーケティングにおける待ち時間研究は、その学際性の高さゆえに、矛盾や競合する研究結果が多数見受けられる。しかし、全体の研究を俯瞰、整理した論文は見当たらず、矛盾や競合関係が生じる原因にまで踏み込んだ議論は行われていない。そこで本稿では、レビューを通して知見の体系化を図った。レビューの結果、調査設計上の相違に加え、「期待─不一致」「成果の正負」「消費者知識」が、待ち時間による効果の正負を規定しうることを明らかにした。最後に、待ち時間研究の今後の課題について議論を行った。
著者
羽藤 雅彦
出版者
日本消費者行動研究学会
雑誌
消費者行動研究 (ISSN:13469851)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1_2, pp.1_2_1-1_2_22, 2020-03-31 (Released:2021-05-01)
参考文献数
52

本研究は、ブランド・コミュニティに参加する数多くのメンバーをいかに分類すべきかについて検討したものである。コミュニティに参加するメンバーは、当該ブランドを好んでいるという点を除けば多様性に富んでいる。本研究では、彼/彼女らがコミュニティで維持している2つの関係性、メンバー同士の関係性とブランドとの関係性に着目しながら分類を試みた。具体的には、コミュニティとの同一化とブランドとの同一化という変数を用いて分析を行い、メンバーを4つに分類可能であることを発見した。さらに、いくつかの指標から各グループの特徴を検討し、メンバーがコミュニティに参加するなかでどのように変化していくかも考察している。
著者
井関 紗代 北神 慎司
出版者
日本消費者行動研究学会
雑誌
消費者行動研究 (ISSN:13469851)
巻号頁・発行日
pp.202303.003, (Released:2023-12-20)
参考文献数
34

補償的コントロール理論(compensatory control theory)によると、何らかの状況的要因によって、コントロール感が低下した場合、そのコントロール感をベースラインまで戻そうと動機づけられ、一時的にコントロール欲求が高まる。しかし、日本人のコントロール欲求はもともと低いことが指摘されている。したがって、日本人の場合、コントロール感が低下しても、それを補完しようとする動機が弱い可能性が示唆される。そこで、研究1では、日本人を対象に、コントロール感(高、低)を操作し、一時的にコントロール欲求が高まるのか検討したところ、その再現に成功した。研究2では、低下したコントロール感を補完する方略としてカスタマイズに着目した。コントロール感の低下により、一時的にコントロール欲求が高まっている場合、カスタマイズ商品に対する心理的所有感が高くなるという予測に基づき検討したが、コントロール感の操作による違いは確認されなかった。さらに、カスタマイズの有無にかかわらず、コントロール感高条件(vs低条件)で心理的所有感が高くなることが示された。
著者
岡部 沙麗 元木 康介
出版者
日本消費者行動研究学会
雑誌
消費者行動研究 (ISSN:13469851)
巻号頁・発行日
pp.202410.005, (Released:2023-12-20)
参考文献数
44

近年、社会的・学術的に性的マイノリティに関する研究の重要性は増している。性的マイノリティとは、性的指向や性自認におけるマイノリティを指し、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クィアなどが含まれる。消費者行動研究においても、多様性・公平性・包括性の観点から、性的マイノリティは注目を集めている。本稿は、性的マイノリティに関する近年の消費者行動研究を体系的にレビューすることで、最新研究動向と今後の方向性を示す。既存研究は、性的マイノリティ消費者に関する研究、性的マイノリティが登場するマーケティング刺激に関する研究に大別できる。前者の研究群では、異性愛者と比較した性的マイノリティ特有の消費者行動が扱われている。後者の研究群では、広告を主な題材として、異性愛と比較した同性愛イメージの影響を検討している。今後の研究展望として、多様な性的マイノリティ・異性愛消費者と性的マイノリティ消費者の相互作用・広告以外のマーケティング活動における性的マイノリティ・中長期的な影響等が挙げられる。
著者
丸岡 吉人
出版者
日本消費者行動研究学会
雑誌
消費者行動研究 (ISSN:13469851)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.25-40, 1996-09-20 (Released:2009-05-29)
参考文献数
11
被引用文献数
4
著者
大竹 光寿
出版者
日本消費者行動研究学会
雑誌
消費者行動研究 (ISSN:13469851)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.2_51-2_74, 2010 (Released:2018-08-31)
参考文献数
41

本研究では、ブランド・コミュニティ内の消費実践に着目し、複数の消費者によってブランドの意味が創造されるという創発的な現象を探求する。自動車MINIに関する広告の内容分析とブランド・コミュニティでの8カ月に及ぶフィールド調査によって明らかにされたのは、オーナーたちが企業の意図とは異なる意味を創造している点である。具体的には、製品のカスタマイズ、他のブランドやその所有者からの差別化、社会的絆の構築という相互関連した3つの消費実践を通じてブランドの意味が創造されている。
著者
池尾 恭一
出版者
日本消費者行動研究学会
雑誌
消費者行動研究 (ISSN:13469851)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.77-100, 1993-09-20 (Released:2009-05-29)
参考文献数
8
被引用文献数
2
著者
多田 伶 勝又 壮太郎
出版者
日本消費者行動研究学会
雑誌
消費者行動研究 (ISSN:13469851)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1_2, pp.1_2_23-1_2_48, 2020-03-31 (Released:2021-05-01)
参考文献数
50

近年、無意識の認知プロセスを探究する手段として、無意識的思考理論が注目を集めている。本研究の目的は無意識的思考研究を消費者行動論に応用するため、2つのレビューを通して、研究の深化と課題を示すことである。定量的手法を用いたレビューでは、無意識的思考研究の領域を概観し、既存研究が2つのテーマに類型化できることを明らかにした。そのなかでも、判断・意思決定が重要な研究テーマであることを確認し、それらの研究がマーケティングや消費者行動の分野において展開されていることを示した。主要論文のレビューでは、既存研究を系統的に分類したうえで、思考モードの情報処理メカニズムに注目した研究と思考モードと判断・意思決定の調整変数に注目した研究を紹介した。最後に、無意識的思考研究の学術的、実務的意義を検討し、今後の研究課題を指摘する。
著者
杉本 徹雄
出版者
日本消費者行動研究学会
雑誌
消費者行動研究 (ISSN:13469851)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1_2, pp.1_2_29-1_2_37, 2022-03-31 (Released:2023-05-13)
参考文献数
26