著者
大薮 泰 寺田 幹雄 阿蘇 雄 小田 圭昭
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協會誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.12, pp.729-734, 1995-12-20
参考文献数
8
被引用文献数
2 4

漆をモデルとした酵素反応形塗料の開発において, ラッカーゼとウルシオール類似物をエマルション化するたあの第3成分として, 4種の化工でんぷんを選んだ。<BR>これらの化工でんぷんを使い, ヒイロタケの培養液より生産したラッカーゼと4- {9' (Z), 12' (Z) -オクタデカジエニル} カテコールをエマルション化して, 20℃80%RHにて24時間乾燥させた。これらの膜に対して乾燥時間, 動的粘弾性, 光沢, 透過色を測定した。<BR>主な結果は次のようである。<BR>1) 化工でんぷんによるエマルション化は充分であった。<BR>2) 化工でんぷんのリン酸基やカルバモイル基は初期の硬化に影響し, これらの基が増加するにともない乾燥時間が短くなった。<BR>3) これらの膜は一般的な漆膜と同じような理想的な粘弾性を示し, 漆膜に比べ高光沢でやや黄色みを帯びていた。<BR>以上の結果から, 天然漆の成分を含まない酵素反応形塗料を開発することができた。