著者
高橋 高人 岡島 義 シールズ 久美 大藪 由利枝 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.189-200, 2014-09-30 (Released:2019-04-06)

本研究の目的は、小学生児童(5、6年生)を対象とした抑うつ低減のための認知行動的プログラムの効果を検討することであった。217名(10、11歳)の児童がスクールベイスドの介入群と統制群に割り当てられた。プログラムの内容は、多様性のあるコーピング、リラクゼーションを習得することを目的とした。対象児は、プログラムの実施前後に自記式質問紙を用いて抑うつとコーピングについて評価された。その結果、抑うつ症状について時期と群に有意差がみられ、もともと抑うつの高い児童において、プログラム前に比べ、プログラム後に抑うつの有意な低減がみられた。コーピング得点は、プログラム前に比べて、プログラム後のほうが有意に高かった。このことから、多様性のあるコーピングとリラクゼーションに焦点を当てたプログラムが、児童の抑うつの低減に対して効果的な技法であることを示された。最後に、本研究は児童の抑うつに対するスクールベイスドのプログラムとして、有効性が示唆された。