著者
寺石 眞弘 大谷 文夫 園田 保美 古澤 保
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報 (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.135-142, 1999-04

1996年10月19日, および12月3日に日向灘中部でM6.6の地震が続けて発生した。日向灘地殻活動総合観測線のうち, 2つの地震に一番近い宮崎観測所の伸縮計記録では, 地震発生の約18ヶ月前から歪変化率が増加し, 地震発生後まで続いている。主歪解で見ると、南北伸張軸の値が, 異常変動が始まる前の約5倍の1.6×10-6/yearとなった。また, これらの地震以後, 日向灘全域で地震活動が活発になった。
著者
森井 亙 尾上 謙介 中村 佳重郎 大谷 文夫 細 善信 和田 安男
出版者
京都大学防災研究所 / Disaster Prevention Research Institute Kyoto University
雑誌
京都大学防災研究所年報. B (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.B, pp.245-251, 2006-04-01

京都大学防災研究所付属地震予知研究センターの地殻変動観測所のうち近畿地方に分布する3観測所(屯鶴峯・阿武山・天ヶ瀬)で,1989年終盤から1995年初頭にかけて顕著な地殻歪の変動が記録され,その後1995年兵庫県南部地震が発生した。上記3観測所の記録は,何れも1989年終盤から約3年の間南北方向の圧縮が増大したことを示し,その後約2年の間は南北方向の圧縮の増大が沈静化したことを示している。さらに1994年半ばからは,逆に南北方向の伸長が急激に増大したことを示している。この様に圧縮と伸長が入れ替わる変動を震源断層のプレスリップで説明することは困難である。我々は,1989年終盤から始まった地殻歪の変動を紀伊半島下に潜り込むプレートと地殻下部の部分的な固着によって引き起こされた変動と考え,単純なモデル計算を行った結果,観測記録をよく説明できることが分かった。当該の地殻歪変動は,兵庫県南部地震の準備過程を捉えたものではなく,それとは独立に生じた現象であり,むしろ,この急激な地殻歪の変動が兵庫県南部地震を誘発したものであると考えられる。
著者
森井 亙 尾上 謙介 中村 佳重郎 大谷 文夫 細 善信 和田 安男
出版者
京都大学防災研究所 / Disaster Prevention Research Institute Kyoto University
雑誌
京都大学防災研究所年報 = DPRI annuals (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
no.49, pp.245-251, 2005

京都大学防災研究所付属地震予知研究センターの地殻変動観測所のうち近畿地方に分布する3観測所(屯鶴峯・阿武山・天ヶ瀬)で,1989年終盤から1995年初頭にかけて顕著な地殻歪の変動が記録され,その後1995年兵庫県南部地震が発生した。上記3観測所の記録は,何れも1989年終盤から約3年の間南北方向の圧縮が増大したことを示し,その後約2年の間は南北方向の圧縮の増大が沈静化したことを示している。さらに1994年半ばからは,逆に南北方向の伸長が急激に増大したことを示している。この様に圧縮と伸長が入れ替わる変動を震源断層のプレスリップで説明することは困難である。我々は,1989年終盤から始まった地殻歪の変動を紀伊半島下に潜り込むプレートと地殻下部の部分的な固着によって引き起こされた変動と考え,単純なモデル計算を行った結果,観測記録をよく説明できることが分かった。当該の地殻歪変動は,兵庫県南部地震の準備過程を捉えたものではなく,それとは独立に生じた現象であり,むしろ,この急激な地殻歪の変動が兵庫県南部地震を誘発したものであると考えられる。