著者
横尾 亮彦 鈴木 雄治郎 井口 正人
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報 = DPRI annuals (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
no.55, pp.163-167, 2011

桜島昭和火口の噴火を対象とした空振観測を行った。観測された昭和火口噴火の空振は2Hzと0.5Hzにピークを持っており,前者は火口内の地形構造が,後者は噴出噴煙そのものに起因して励起されたものでと考えられる。また,爆発的噴火の観測波形は,噴火開始期に放射される爆発波の位相が,桜島山体や姶良カルデラ地形で回折・反射し,1分以上にわたって断続的に多方向から到来したものであった。
著者
牧 紀男 鈴木 進吾 古澤 拓郎
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報 = DPRI annuals (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
no.51, pp.129-134, 2007

2007年4月2日午前7時40分頃(現地時間),ソロモン諸島国においてマグニチュード8.1の巨大地震が発生した(USGS, 2007)。この斜面崩壊と津波により,両州合わせて52名の死者が発生し,倒壊・流失家屋3, 150棟,被災世帯数4, 276世帯,被災人口24, 059人という大きな被害が発生した。本稿では,ソロモン諸島国ウェスタン州で発生した地震津波災害における1)被害の社会的様相,2)災害対応,3)復旧・復興対策の現状と課題などの災害過程の社会科学的側面について,現地でのインタビュー調査に基づき報告する。
著者
森井 亙 尾上 謙介 中村 佳重郎 大谷 文夫 細 善信 和田 安男
出版者
京都大学防災研究所 / Disaster Prevention Research Institute Kyoto University
雑誌
京都大学防災研究所年報 = DPRI annuals (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
no.49, pp.245-251, 2005

京都大学防災研究所付属地震予知研究センターの地殻変動観測所のうち近畿地方に分布する3観測所(屯鶴峯・阿武山・天ヶ瀬)で,1989年終盤から1995年初頭にかけて顕著な地殻歪の変動が記録され,その後1995年兵庫県南部地震が発生した。上記3観測所の記録は,何れも1989年終盤から約3年の間南北方向の圧縮が増大したことを示し,その後約2年の間は南北方向の圧縮の増大が沈静化したことを示している。さらに1994年半ばからは,逆に南北方向の伸長が急激に増大したことを示している。この様に圧縮と伸長が入れ替わる変動を震源断層のプレスリップで説明することは困難である。我々は,1989年終盤から始まった地殻歪の変動を紀伊半島下に潜り込むプレートと地殻下部の部分的な固着によって引き起こされた変動と考え,単純なモデル計算を行った結果,観測記録をよく説明できることが分かった。当該の地殻歪変動は,兵庫県南部地震の準備過程を捉えたものではなく,それとは独立に生じた現象であり,むしろ,この急激な地殻歪の変動が兵庫県南部地震を誘発したものであると考えられる。