著者
岩田 拓記 浅沼 順 大谷 義一 溝口 康子 安田 幸生
出版者
The Society of Agricultural Meteorology of Japan
雑誌
農業気象 (ISSN:00218588)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.1-9, 2009
被引用文献数
2

サーフェスリニューアル法を顕熱輸送モデルとして用いて,日中の平坦なマツ林上における複数高度での乱流観測から算出した鉛直長さスケールと乱流輸送の関連性を調べた。鉛直方向の積分長さスケールは大気不安定が強くなるに従い大きくなる傾向を示したが,Raupach <i>et al.</i> (1996, Boundary-Layer Meteorol., 78, 351-382) のシア長さスケールは大気安定度に比較的依存しなかった。これらの長さスケールを輸送渦の高さとして用い,サーフェスリニューアル法によって顕熱フラックスを算出した。渦相関法で算出したフラックスと比較した結果,異なる長さスケールを用いたサーフェスリニューアル法のパフォーマンスは不安定条件下で大きく異なり,積分スケールを用いた場合のフラックスの精度が最も良かった。これらの相違は長さスケールの安定度依存に関係していると考えられる。この結果は,渦のスケールを直接測定した積分スールをサーフェスリニューアル法において用いることが妥当であることを示している。また,乱流生成において浮力の影響が大きいときには,シア長さスケールは粗度層の渦スケールを表すのに制限がある可能性が示唆された。
著者
岩田 拓記 浅沼 順 大谷 義一 溝口 康子 安田 幸生
出版者
養賢堂
雑誌
農業気象 (ISSN:00218588)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.1-9, 2009-03-10
参考文献数
39
被引用文献数
2

サーフェスリニューアル法を顕熱輸送モデルとして用いて,日中の平坦なマツ林上における複数高度での乱流観測から算出した鉛直長さスケールと乱流輸送の関連性を調べた。鉛直方向の積分長さスケールは大気不安定が強くなるに従い大きくなる傾向を示したが,Raupach <i>et al.</i> (1996, Boundary-Layer Meteorol., 78, 351-382) のシア長さスケールは大気安定度に比較的依存しなかった。これらの長さスケールを輸送渦の高さとして用い,サーフェスリニューアル法によって顕熱フラックスを算出した。渦相関法で算出したフラックスと比較した結果,異なる長さスケールを用いたサーフェスリニューアル法のパフォーマンスは不安定条件下で大きく異なり,積分スケールを用いた場合のフラックスの精度が最も良かった。これらの相違は長さスケールの安定度依存に関係していると考えられる。この結果は,渦のスケールを直接測定した積分スールをサーフェスリニューアル法において用いることが妥当であることを示している。また,乱流生成において浮力の影響が大きいときには,シア長さスケールは粗度層の渦スケールを表すのに制限がある可能性が示唆された。
著者
鈴木 覚 後藤 義明 北村 兼三 高梨 聡 岡野 通明 野口 宏典 大谷 義一 坂本 知己
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.95, no.1, pp.32-36, 2013

平成24年5月6日に茨城県常総市からつくば市にかけて竜巻が発生した。つくば市山木地区と平沢地区の森林被害を調査した。平沢地区の標高50∼130 mの斜面に, 直径250∼300 mの円形の被害発生領域がみられ, この円形領域で竜巻が消滅したと考えられた。この竜巻が消滅した地点を除き, 次の特徴がみられた。 (1) 壊滅的な被害は100 m前後の幅で発生し, これは竜巻のスケールを反映していると考えられた。 (2) 広葉樹を主体とした森林や強風被害を受けにくい条件を備えた森林とも壊滅的な被害を受けたことから, ひとたび竜巻の経路にあたれば, 林況にかかわらず壊滅的な被害が生じると考えられた。 (3) 倒木は竜巻経路の中心に向かって倒れる傾向がみられた。これは竜巻による強風の特徴である風の収束を反映していると考えられた。