著者
川本 智章 井戸 健一 人見 規文 磯田 憲夫 大谷 雅彦 木村 健 望月 真 広田 紀男 近藤 雅雄
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.241-246, 1989-02-25 (Released:2009-07-09)
参考文献数
20
被引用文献数
2 3

症例は49歳,男性.昭和58年,肝機能障害を指摘された.昭和62年4月,当科を受診し,多発性の高エコー病変を指摘され入院.既往歴として25歳時,輸血歴がある.39歳より糖尿病を指摘され,Glibenclamideを内服している.飲酒歴はビール1本/日,30年間.入院時,皮膚症状はなく,軽度の肝機能障害を認めた.腹腔鏡検査では軽度の白色紋理と小陥凹を認め,多数の円形~地図状の暗紫青色病変がみられた.超音波腹腔鏡にて同病変は高エコーに描出された.紫外線照射により,生検標本の暗紫青色部に,淡い赤色蛍光がみられた.生検組織像はchronic persistent hepatitisであり,暗紫青色部には脂肪変性を認めた.ポルフィリン体の分析では,尿中ウロポルフィリン,及び7-カルボキシルポルフィリンの増加を認め,皮膚症状を欠く晩発性皮膚ポルフィリン症と診断された.本症例の確定診断には,腹腔鏡検査,及び超音波腹腔鏡画像誘導下の狙撃生検法が極めて有効であった.