- 著者
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大貫 裕二
- 出版者
- 社会・経済システム学会
- 雑誌
- 社会・経済システム (ISSN:09135472)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, pp.83-94, 2021-03-31 (Released:2021-04-01)
- 参考文献数
- 13
平成20年度(以下2008年とする。)国民健康・栄養調査の脂肪エネルギー比率は、前後年に比べて一時的な特異な低下が観察される。調査実施期間に流行していた「朝バナナダイエット」が影響を与えたことを示した。調査環境の予期せぬ事由に影響を受けたにも関わらず、検討が行われてこなかった事例の一つである。 朝バナナダイエット提唱者1)の薦める方法をモデルとし実施率を推計した。推計結果は脂質摂取量を減らす一方でバナナを食べない者がいたことを示唆する。朝食欠食率にも影響が示唆される。 テレビ報道によるダイエットブームが定量的な栄養調査で把握された事例として、調査機関による個票を用いた再分析が期待される。統計家の行動基準にのっとり、調査実施者の説明責任について論じた。