著者
駒見 直俊 田隈 広紀
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2020 春季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.292-309, 2020 (Released:2020-04-25)
参考文献数
15

近年、社員が良好にはたらく上で重要となる「社内コミュニケーション」の改善に向けた独自の取り組みを行う企業が増え、企業に入る学生側にもコミュニケーション能力を求める企業が増えてきた。これは業務効率が低下した、プロジェクトが円滑に進まないといったことが生じた際に、社員同士のコミュニケーション不足が例として良く挙がるためである。そしてコミュニケーション不足の原因の一つとして、対面で話す機会が少なくなったことが大きな割合を占めていた。本研究では対面でのコミュニケーション能力の向上に繋げる手段としてTRPG(テーブルトークロールプレイングゲーム)に着目し、その具体的な手段と効果について貯砂研究を行った。
著者
栗原 崇 伊藤 公紀 亀山 秀雄
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.61-72, 2012

世界の国々を取り巻く気候変動問題は、地球温暖化対策やカーボン市場などの環境ビジネスを牽引する西洋諸国が主導権を握る状況にある。背景にある「気候変動は人為的CO2排出が原因」という要因の単純化は、西洋メンタリティが関与していると考える。このような単純化は、非効率的かつ非効果的な対策に繋がり、社会のレジリエンスを低くする。本稿では、東洋的なリスクマネジメントを可能にするP2Mフレームワークの形成を目指して、西洋主導の気候政策にP2M手法を適用する。これにより、気候変動に対して高レジリエンスな社会の構築に資する。具体的には、方法論としてのアジア的アプローチに関する議論を通じて、西洋的及び東洋的アプローチの各利点を生かすことにより、気候変動政策に対する中庸的リスクマネジメントを従来のP2M線形モデルから導くための考察を行う。
著者
市川 学 石峯 康浩 近藤 祐史 出口 弘 金谷 泰宏
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.21-35, 2017 (Released:2017-10-30)
参考文献数
12
被引用文献数
2

地震に代表される自然災害の多いわが国では、災害発生時に被災地の医療を支援するため、避難者の健康を管理するために、DMAT・DPAT・DHEATなどに代表される保健医療支援活動従事者が、被災地において支援活動を行う。本研究では,発災直後から復興期にかけて保健医療支援活動従事者が、どのように組織され、どのような活動をどのように行なっているかを論じる。また、近年では、保健医療支援活動を支える情報技術も整備されつつあり、情報を利活用する災害時の保健医療支援活動についてマネジメントの視点を交えて説明する。
著者
広岡 勲 下村 道夫
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2019 秋季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.406-425, 2019 (Released:2019-10-03)
参考文献数
45

大相撲は約350年前、江戸時代から端を発した文化であり、運営を行う日本相撲協会は内閣府から公益財団法人として認可され、現在に至っている。ところが近年、暴力問題が多発し、リスクマネジメントの重要性が指摘されているため、高度なP2M体制の構築が必要となる。暴力問題の主たる発生要因は外的要因と内的要因に大別される。前者は「稽古」という養成システム面と「相撲部屋」という構造システム面に分類され、現在では環境改善するなど適切な対策が取られている。しかし、ヒトの心理面や倫理面が要因である「行き過ぎた指導」や「異文化の習慣」に対してはまだ効果が十分とは言えないため、後者の内的要因からの対策が求められている。本論文では外的要因に加え、内的要因を踏まえたリスクアセスメントを特徴とする新たなリスクマネジメントを提案、評価する。
著者
小川 隆雄 栗原 崇 伊藤 公紀
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.45-55, 2014

第18回気候変動枠組条約締約国会議(COP18)は2012年末に開催され、2020年から新たな枠組みを開始することが合意された。次期枠組みでは途上国の参加が鍵となるが、途上国の削減行動の実効性を高めるために導入されたのがMRV(測定・報告・検証)制度である。MRV制度については2007年から検討されてきたが、具体的な実施方法は未定である。本稿では、MRV制度の検討にはP2M理論によるアプローチが適していると考え、3Sモデルを適用しMRV制度の実行スキームモデルの構築を行った。具体的には、民間主導により世界で広く実施され、MRV制度と共通の構造(PDCAサイクル)を持つISO認証制度を利用することで、途上国にも受け入れが容易でかつ実効性の高い国際枠組み(ISO-MRV)の構築を試みた。
著者
増田 和浩 神田 陽治
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2020 春季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.121-132, 2020 (Released:2020-04-25)
参考文献数
18

PS3以降本格化した家庭用インターネットゲームは、eスポーツの普及により競技性が高まってきた。日本では従来ゲームセンターでの大会は行われてきた。しかし家庭用ゲーム機がネットワークつながった事により、自己の高度な技を競技として世にアピールする大会が世界的に普及してきた。本稿ではハードウェアのアップグレードの中で、ゲームコミュニティがゲーム産業のエコシステムにおよぼした影響を解明する。プレイヤーやオーディエンスの存在だけでは積極的なコミュニティは成立しない。eスポーツのコミュニティはハードウェアのオンラインマッチングシステムとソフトウェアのプレイレベルによるセグメント分類の中で形成・維持されてきた。
著者
ザグダホロル ツェンベルドラム 平松 庸一
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.91-108, 2022 (Released:2022-03-26)
参考文献数
23

ネット社会は、デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現可能にし、モンゴルにおいてもITを中心にアントレプレナーシップ(Entrepreneurship)への関心が強まり、国家的な取り組みを進行させている。本研究は、高速に変化する不確実性の極めて高い状況の中に置かれるベンチャー企業が、環境変化に迅速に対応し市場で生き残るためには、どのようなマネジメントが要求されるのかを探求する。特に、アントレプレナーシップ研究で注目されているエフェクチュエーション概念を取り上げ、P2M理論への適用可能性を議論し、企業の成果と連結して研究することを課題にする。そのため、プログラムマネジメントとエフェクチュエーションの概念の親近性の検証、またモンゴルのベンチャー企業AND Global社の事業急拡大期における事業の統合マネジメントを3Sモデルとエフェクチュエーションを適用した事例分析を通じて探求する。分析の結果、当社が、P2Mのアプローチを適用していることと3Sモデルのスキームモデルの段階でエフェクチュエーションのアプローチを有効に活用していることが示唆された。また、プログラムマネジメントにエフェクチュエーション概念との親近性から、P2M理論のアントレプレナーシップ研究への適用可能性が示唆された。
著者
藤平 武文 北澤 正樹 高橋 聡 吉川 厚
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2021 秋季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.82-89, 2021 (Released:2021-10-16)
参考文献数
11

金融機関のトレーディングチームは、様々な経験や知識を持ったトレーダーが構成員となり、それぞれの相場観に従ってトレーディングを行う。チームはリーダーにより束ねられるが、リーダーも自身の相場観を持ち、構成員の判断に介入を行う。トレーディングチームは当初多様性のある集団だが、リーダーの介入により画一的なチームとなることも、多様性を維持したチームとなることもありうると考えられる。本研究では、リーダーの行動がトレーディングチームのパフォーマンスに及ぼす影響を明らかにすることを目的に、リーダーの介入が組織特性に及ぼす影 響について、エージェント・ベース・モデリング(ABM)の手法を念頭に、投資実態をトレーディングチームリーダーに対して行ったインタビューの結果を報告する。
著者
金子 浩明 久保 裕史
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.95-106, 2014 (Released:2017-06-02)
参考文献数
15
被引用文献数
9

ステージゲート法は80年代に北米で開発され、多くのハイテク製造業に普及した。日本では90年代後半から普及したが、導入する際は日米の事業環境の違いを考慮する必要がある。米国はベンチャーキャピタルの資金が豊富で大学発ベンチャーが多く存在し、種となる技術の候補が外に多く存在しているため、多産多死型の研究テーマ管理が可能である。一方、日本では内部で産まれた種を大事に育てる必要がある(少産少死型)。しかし、ステージゲート法は段階的にテーマに絞り込んでいくので、育てる工夫が欠けるとテーマが枯渇してしまう。本論では日本のブティック型の化学系企業を題材に、少産少死型の研究開発に適したステージゲート法を提案する。
著者
大島 丈史 内平 直志
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.121-141, 2018 (Released:2018-10-09)
参考文献数
17
被引用文献数
3

プロジェクトマネジャーに必要とされる知識には、形式知化が容易なものと難しいものがある。定量的管理プロセスに関する知識は比較的形式知化が容易であるが、リスクの特定や問題への対策検討などは経験や暗黙知の占める部分が多く、知識継承が難しい。近年のAI(人工知能)技術の進展に伴い、異常の予測等の暗黙知の領域についても、AI技術の活用によって補完する取組みが行われ始めている。本稿では、ソフトウェア開発におけるプロジェクトマネジメントの知識を、形式知化やシステム化の可否、AIによる代替または補完の可能性の有無によって分類するためのモデルを提案する。この知識分類モデルは、AI活用や知識継承の検討の枠組みとしての活用をねらいとしたものである。また、提案した知識分類モデルを元に、プロジェクトマネジメントへのAI活用の具体的な方策を検討する。
著者
岩崎 幸司
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際プロジェクト・プログラムマネジメント学会誌 (ISSN:24329894)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.79-88, 2008-03-14 (Released:2017-10-18)

新薬開発は10年以上の長期間にわたり数百億円を先行投資するにもかかわらず、成功確率は1%以下の典型的なハイリスクハイリターンのプロジェクトである。国際P2M学会(IAP2M)製薬研究会では、これにP2Mのプログラムマネジメントを適用することにより、成功確率を向上させ企業としての国際競争力を向上させることを目指して2006年2月から検討を進めてきた。今回は、医薬品開発の特殊性を解説したうえでP2Mのプログラムマネジメントの概念を適用することを考え、アーキテクチャマネジメント、プロジェクトの経済性評価、製品プロファイルとリスク管理、資源調達マネジメント及びプロジェクトマネジャーの資質について考察しているので、その中間結果を報告することにより議論の材料を提供したい。
著者
清田 守
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.1-25, 2019 (Released:2019-03-23)
参考文献数
64
被引用文献数
1

近年イノベーション創出において、日本企業がGAFA各社など米国新興企業に後れを取っているとされる。新規事業やイノベーションにP2M手法を取り入れる際、21世紀の次世代型Next P2Mの多様性に対しどのように目標を設定し、運用するかが重要である。米国で成功している新興企業や著名な大学では、プロジェクト推進に、哲学、美術、歴史などのリベラルアーツ教育や知識を重要視していることが知られており、その発想や運用の点で日本企業が後れを取っている可能性がある。本研究では従来知られていなかったリベラルアーツとP2Mの関係を明確にした上で、リベラルアーツをとりいれる展開方法と体系を提案し、多様性のある次世代型Next P2M推進への指針を示す。
著者
加藤 美治 橋山 智訓 田野 俊一
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.61-84, 2023-03-25 (Released:2023-03-25)
参考文献数
67

超VUCAな時代において日本は、社会課題の解決や新規事業、新製品創出を目指すために、多くの人の考え方や異種分野の知識を連携する必要がある。これらP2Mにおける戦略型プログラムのミッション達成には、組織を超えて創造性や自発的な行動を促すP2Mのコミュニティが有効とされている。そしてP2Mのコミュニティを活性化させるためには、異種分野の参加者が時間・空間を超えて共通ミッションを達成するためのプラットフォームの構築が求められている。しかしP2MのコミュニティにおけるICTの利用は、コミュニケーションの支援に留まっている。本研究ではP2Mのコミュニティの価値基盤を起点とし各論文、書籍を調査し、Webで利用するプラットフォームの必要要件とそれを実施する方法を明らかにした。異種分野の参加者のモチベーション向上、議論の可視化、人や情報のマッチングを行う新たな手法の開発が重要な要件となる。これら必要要件からP2Mにおける実践コミュニティを支援するWebプラットフォームの詳細機能を考察した。さらにWebプラットフォームのユーザーインターフェースを提案した。機能については評価用システムで先行評価を実施し有効であることを確認した。
著者
加藤 智之 伊藤 公佑 越島 一郎 梅田 富雄
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2017 秋季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.153-161, 2017 (Released:2017-10-12)
参考文献数
9

製品イノベーションマネジメントの領域では、製品を生み出すプロセスをいかにマネジメントするかという問題を基盤として議論されている。しかしながら、製品ライフサイクルが短縮化され、顧客価値が多様化されている状況下において、製品開発のマネジメントをするだけでは顧客に価値を伝達できないこともある。そこで、製品が提供する価値を顧客が享受できるよう仕向けることが必要となる。本論文では、顧客に価値を享受するよう仕向けることをユーザーイノベーションと定義し、ユーザーイノベーションのために検討しなければならない問題意識とマネジメントするための前提となる考え方について議論する。
著者
岡崎 昭仁
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.113-127, 2013-02-25 (Released:2017-05-25)
被引用文献数
2

学生フォーミュ教育プログラム(1)は,学生達にものづくりの総合力を養うべく設立された米国発祥の教育プログラムである.フォーミュラ車両を開発し,コスト・事業プレゼン・設計審査に加えて,走りの総合性能を競う実践的なものであり,企業活動の実践そのものである.これまで,マシンの製作に関する技術面での報告例(2-4)はあるが,運営面にフォーカスした研究事例は少ない.筆者は,この活動をプログラムと捉えて,新たに立ち上げたチームにP2Mを適用して,3Sモデルを活用することで,大会初出場ながら全競技種目を完走させて自動車開発実践を通して実践知教育の場を創成することができた.このプログラム実践事例について報告する.