著者
松尾 太 福島 裕助 大賀 康之
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.59, pp.19-22, 1992-12-21

1991年9月14目および27日に相次いで台風が襲来したので,台風襲来直前に防風枠を設置し,品種別,被害回数別に台風が稲体,登熟進行,収量,収量構成要素,品質に及ぼした影響の実態調査を行った。1.防風枠を設置し,被害回避区を設定することにより台風被害の解析を行うことが可能であった。2.籾の褐変は,出穂直後に被害を受けたユメヒカリで最も多く,各品種とも2次枝頂での程度が高かった。また台風19号による褐変はヒノヒカリ,ニシホマレでは認められなかった。3.葉身の裂傷はいずれの品種でもみられたが,その程度は品種により異なった。また台風19号により増大した。4.脱粒は,台風17号では僅かであったが,台風19号により増加した。増加程度はニシホマレで最も大きかった。5.台風被害により登熟進行は阻害された。またヒノヒカリでは2次枝梗着生籾への影響が大きかった。6.台風被害により収量および玄米の品質は低下し,被害回数が多いほどその程度は増加した。減収要因は登熟阻害によるものであり,減収程度は台風遭遇時の生育ステージの差異,および草型の違いによる葉身被害の差異により異なること,品質の低下は,被害時の登熟進行程度が関与していることが推察された。