著者
南里 英幸 松尾 太郎 大貫 祥央 福地 健太郎
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2018-HCI-177, no.34, pp.1-8, 2018-03-09

高精細な 3D プリンタが安価に利用可能となり,印章 (はんこ) の偽造は誰もが容易にできるようになりつつある.本調査では,紙に捺印された印影をスキャンした画像から,複数種類の手法で印章を作成し,予備調査によってもっとも高評価であった,アクリルを用いたマテリアル ・ ジェッティング方式によるものを用いて目視による真贋判定実験を実施した.対象者は著者らが所属する大学の大学生で,いずれも印影照合の経験は持っていなかった.実験の結果,正答率は約 70% となり,また偽造した印章による印影のうち 25% は本物と誤判定された.また,照合の過程で印影のどの箇所を見て判断したかについて被験者に指摘してもらい,本実験で採用した手法の問題点を分析した.
著者
森 久美子 福田 恭介 松尾 太加志 志堂寺 和則 早見 武人
出版者
福岡県立大学人間社会学部
雑誌
福岡県立大学人間社会学部紀要 (ISSN:13490230)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.33-44, 2015-02

Pupil dilation is mediated by the inhibition of the parasympathetic Edinger-Westphal oculomotor and the facilitation of sympathetic ophthalmic nerve activity. That emotional and sensory events provoke pupillary dilation is well documented. We examined the relationship between pupillary response and depression-anxiety among university students through affective word presentation. Twenty-five students were classified into high (12students) or low (13 students) groups via all of the following-BDI (Beck Depression Inventory), depressive scheme, and STAI (State-Trait Anxiety Inventory). The students individually and voluntarily participated in an experiment whereby their right eye was recorded while affective words (positive, neutral, and negative) consisting of two Chinese-characters were presented successively on a computer monitor. Participants were instructed to determine whether they personally considered each words to be pleasant or unpleasant while pressing a key to the next affective word. Reaction time and pupil dilation were measured. Reaction time was found to be significantly longer in cases of neutral words than in cases of either positive or negative words.Pupil dilation appeared approximately one second after negative word onset, and approximately one second before neutral word onset. No significant difference in pupillary response and reaction time was observed between high-depressive or anxiety-affected groups. These results suggest that pupils may dilate due to the sympathetic activation associated with negative affection, and also by the information processing load associated with the determination of neutral words.
著者
福田 恭介 水口 美咲 松尾 太加志 志堂寺 和則 早見 武人
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.92, no.2, pp.122-128, 2021 (Released:2021-06-25)
参考文献数
23
被引用文献数
1

The “Tip of the Tongue” (TOT) is a well-known phenomenon in which one cannot recall the name of a familiar person or object but can recall related words. In the TOT state, cognitive processing activities based on relating information are frequently performed. Blinking is suppressed when waiting for information and when inputting or processing information, and instead occurs at the end of the processing phase. However, the relationship between blinking and the TOT state is not yet clear. In this study, we investigated how the timing of blink suppression and occurrence changes during the TOT state. We presented successive facial photographs of famous people interspersed with those of unknown persons. The participant’s task was to name the person during recall-stimulus after each of the photographs. The participant’s responses were classified as “Recognized,” “TOT,” and “Not recognized.” Our results indicated that blink suppression occurred most frequently while waiting for the recall-stimulus period in “Not recognized” responses, whereas suppression occurred least frequently in TOT responses. We conclude that blink suppression and occurrence is related to memory-system-access processing.
著者
松井 晋 赤谷 加奈 松尾 太郎 杉浦 真治
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.143-146, 2010-08-25 (Released:2010-08-28)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

Introduction of the snail-eating flatworm Platydemus manokwari has caused the extinction and decline of native land snails on tropical and subtropical islands. Here we report the first record of P. manokwari from Minami-daito Island in the oceanic Daito Islands (western Pacific) which support an endemic land snail fauna. Platydemus manokwari was found in July 2004, July 2008, and June 2009 on Minami-daito Island. To clarify the effect of P. manokwari on land snail survival in the field, we examined survival rates of snails experimentally placed in the areas where P. manokwari were found in June 2009. Despite the presence of P. manokwari, we found little evidence of predation, suggesting that the density of P. manokwari was not high enough to impact snails on Minami-daito Island.
著者
福田 恭介 水口 美咲 松尾 太加志 志堂寺 和則 早見 武人
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.92.20023, (Released:2021-03-31)
参考文献数
23
被引用文献数
1

The “Tip of the Tongue” (TOT) is a well-known phenomenon in which one cannot recall the name of a familiar person or object but can recall related words. In the TOT state, cognitive processing activities based on relating information are frequently performed. Blinking is suppressed when waiting for information and when inputting or processing information, and instead occurs at the end of the processing phase. However, the relationship between blinking and the TOT state is not yet clear. In this study, we investigated how the timing of blink suppression and occurrence changes during the TOT state. We presented successive facial photographs of famous people interspersed with those of unknown persons. The participant’s task was to name the person during recall-stimulus after each of the photographs. The participant’s responses were classified as “Recognized,” “TOT,” and “Not recognized.” Our results indicated that blink suppression occurred most frequently while waiting for the recall-stimulus period in “Not recognized” responses, whereas suppression occurred least frequently in TOT responses. We conclude that blink suppression and occurrence is related to memory-system-access processing.
著者
田中 沙耶 江崎 芳子 谷藤 香菜江 藤本 真衣 波田 善夫 西村 直樹 松尾 太郎 小林 秀司
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.29, 2013

&nbsp;近年,ニホンジカ <i>Cervus nippon</i>(以下,シカとする )の個体数が全国的に増加しつつある.これに伴い,各地で農林業被害や自動車・鉄道との衝突事故が増加し,自然植生への影響も危惧されている.対策として,これまでは個体の直接駆除や防止柵などによる排除が行われてきた.しかし,猟友会や農山村の高齢化などの問題から,十分な個体数の駆除ができているとは言えない.また,防止柵についても,設置費や維持費がかかること,人の移動まで阻害することなど,さまざまな問題が生じている.そこで岡山理科大学動物系統分類学・自然史研究室では,シカが心理的な圧迫を受けることで,シカ自らが忌避するような移動阻害構造体 (以下,構造体と表記 )の開発を一昨年から試みている.<br>&nbsp;今回は,岡山理科大学内で飼育しているメスの成獣個体2頭を用いて,シカが構造体上を通過する際に,どのような行動がみられるのかを観察した.試験個体は 2011年に岡山県美作市の山中で捕獲されたもので,野生状態での実験結果に近づけるため,山の中で隔離して飼っている.過去のデータより,構造体上で,静止・構造体に鼻先を近づける・檻のフェンスに鼻先を近づけるといった行動や,構造体を前に引き返す・セルフグルーミングをするなどといった行動がみられることがわかっているが,これらの行動と,構造体を設置していない場合にみられる行動を比較することにより,構造体がシカにどの程度の心理的圧迫を与えているか分析した.また,構造体設置による行動の変化の度合いが個体によって異なることや,慣れによってシカの行動が変化することが考えられる.このことより,構造体を通過する際,どのような行動変化がみられるかを,構造体設置後から継続観察することで,行動の変化も調査することにした.そしてこれらのデータを分析し,構造体はどの程度シカに心理的圧迫を与えるのか,どれほどの期間シカに効果があるのかについて評価した.
著者
明日 徹 松尾 太加志
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.G0356, 2004

【目的】医療事故の事故分析や予防策を検討するにあたり,多くの分野の知見が医療界に取り入れられている.医療事故は構造的あるいはシステム的欠陥に起因するものであり,その原因の一つとしてコミュニケーション(情報伝達)が適切に行えなかったことによる場合が非常に多いと報告されている.本研究では,松尾が報告する心理的枠組みを用いて理学療法部門における情報伝達状況の実態を調査し,その心理的要因を検討することを目的とする.<BR>【方法】常勤が3名以上の病院に勤務する理学療法士(以下PT)742名に質問紙調査を依頼し,うち回答に不備がなかった587名(男性322名,女性265名)を分析対象とした(有効回答率79.1%).松尾の心理的枠組みに,PTが日常よく遭遇する業務内容をあてはめた.つまり,誤伝達による1要因(6項目),動因低下による2要因(主観的確信,ストレス因;各2項目),誘因低下による6要因(認知的コスト;2項目,社会的コスト《意識の共有;2項目,情緒的共有;1項目,地位の共有;3項目,知識の共有;4項目,情報の共有;7項目の合計17項目》)の合計9つの要因(全29項目)のいずれかが生じる状況を挙げ,それを経験する頻度などを4件法で,また医師,看護師,同僚PTとの情報伝達状況についての全体印象も4件法で回答を求めた. <BR>【結果・考察】情報伝達を阻害する回答を高得点になるように変換し,阻害得点とした.また各職種との現在の情報伝達状況については,情報伝達が不良な回答を高得点に変換した.動因低下・誘因低下の各要因から得られた阻害得点より,代表値となる得点を算出するために主成分分析を行い,動因低下・誘因低下の主成分得点とした.医師,看護師,PT,3職種の情報伝達状況の得点を合算した得点を従属変数とし,誤伝達による阻害得点の合計点,主成分分析にて求めた動因低下・誘因低下の主成分得点を独立変数とし重回帰分析(強制投入法)を行った結果,どの場合も有意な回帰式が得られ(医師;R<SUP>2</SUP>=.174,p<.01,看護師;R<SUP>2</SUP>=.128,p<.01,PT;R<SUP>2</SUP>=.068,p<.01,3職種;R<SUP>2</SUP>=.204,p<.01),全ての場合で誘因低下の要因が有意に影響を及ぼしていた.PTが各職種(医師・看護師・同僚PT)と情報伝達を行うにあたり,情報伝達を阻害する心理的要因として,誘因低下に関する要因(相手の時間や場所などが制約となる認知的コストや業務上の情報や知識の共有,地位の共有など)が大きな影響を及ぼしていることが示された.誘因低下の要因が情報伝達に影響を与えるということは,それらが引き金となり情報伝達を行うことへの動機づけが低下し,情報伝達(コミュニケーション)をしなくなるということである.よって誘因低下の要因に対して対策を講ずることが情報伝達を良好にし,コミュニケーションに起因する事故予防に繋がると考えられる.
著者
早見 武人 村田 厚生 松尾 太加志
出版者
岡山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

視線方向を高精度で検出する技術を獲得するために,視線の移動に伴って眼球が動く様子を特殊な照明を用いてハイスピードカメラで撮影した.録画に対して画像処理を施すことにより眼球の回転角を計測した.実験の結果,眼球が静止状態から視線方向を変えようとして加速する際は加速が急に始まるのに対し,目的の姿勢に近づき減速する際の回転は比較的滑らかであることが確認された.
著者
増田 修士 萩谷 展之 松尾 太一 後藤 康宏 阪田 史郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.578, pp.61-66, 2007-03-01
被引用文献数
5

アドホックネットワークにおけるルーティングにおいては,通信経路の確立後に経路上の中継ノードにかかる負荷のことは考えられていない.本稿では経路を構成している中継ノードを動的に切り替えることで,初めに経路に選ばれたノードに負荷が集中してしまうことを避け,その中継ノードの周りに存在するノードに負荷を分散させる方式を提案する.提案方式は,AODVで用いられている定期的にブロードキャストされる制御メッセージを利用し,切り替えのために必要な情報をそのメッセージに付加することで動的な切り替えを可能とする.また,シミュレーション評価によって提案方式の有効性を示す.
著者
松尾 太 福島 裕助 大賀 康之
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.59, pp.19-22, 1992-12-21

1991年9月14目および27日に相次いで台風が襲来したので,台風襲来直前に防風枠を設置し,品種別,被害回数別に台風が稲体,登熟進行,収量,収量構成要素,品質に及ぼした影響の実態調査を行った。1.防風枠を設置し,被害回避区を設定することにより台風被害の解析を行うことが可能であった。2.籾の褐変は,出穂直後に被害を受けたユメヒカリで最も多く,各品種とも2次枝頂での程度が高かった。また台風19号による褐変はヒノヒカリ,ニシホマレでは認められなかった。3.葉身の裂傷はいずれの品種でもみられたが,その程度は品種により異なった。また台風19号により増大した。4.脱粒は,台風17号では僅かであったが,台風19号により増加した。増加程度はニシホマレで最も大きかった。5.台風被害により登熟進行は阻害された。またヒノヒカリでは2次枝梗着生籾への影響が大きかった。6.台風被害により収量および玄米の品質は低下し,被害回数が多いほどその程度は増加した。減収要因は登熟阻害によるものであり,減収程度は台風遭遇時の生育ステージの差異,および草型の違いによる葉身被害の差異により異なること,品質の低下は,被害時の登熟進行程度が関与していることが推察された。