- 著者
-
目良 和也
青山 正人
大道 博文
黒澤 義明
竹澤 寿幸
- 出版者
- Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
- 雑誌
- 知能と情報 (ISSN:13477986)
- 巻号頁・発行日
- vol.32, no.6, pp.944-955, 2020-12-15 (Released:2020-12-15)
- 参考文献数
- 17
CGアバターによる遠隔コミュニケーションにおいてユーザの気持ちを的確に伝えるには,言語情報だけでなく,口調,表情,動作などのノンバーバル情報も重要である.CGアバターに基本感情を付与する研究はこれまでも行われているが,皮肉や照れ隠しのような本心を隠そうとしている表情を表現するための手法は確立されていない.そこで本論文では,顔部位の変化の随意不随意性に注目し,本心感情を不随意な顔部位の変化,演技感情を随意に動かせる顔部位の変化によって表現することで,外面と内面の感情を選択的に表現する手法を提案する.本論文ではツンデレ表情を想定し,本心感情を喜び,演技感情を平静あるいは怒りとした事例を用いて説明する.提案手法に基づいて作成した表情アニメーションについて印象評定を行った結果,不随意的な喜び顔部位である“頬の紅潮”が表出していることが「喜びを隠蔽しようとしている」という印象を強くしていた.一方,頬の紅潮の代わりに目や口など随意的な喜び顔部位を用いたところ,逆に「喜んでいるふりをしている」という印象を強くしていた.このことより,本心感情を不随意な顔部位の変化によって表出することで,内面の感情を選択的に表現できることが確認できた.