著者
松村 真宏 市橋 歩実
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.733-743, 2010-12-15
被引用文献数
3

本論文では,誰もが地域に関する情報を書き込み,他者と共有することができる「らくがきマップ」を呼ぶ地図型コミュニケーションツールを提案した.らくがきマップに対する住民の反応およびらくがきマップを介したコミュケーションや意識変化に関する示唆を得るために3つの実証実験を行った.らくがきマップの形跡調査,参加者の行動観察やインタビュー,アンケート調査の結果,らくがきマップは小学生から高齢者まで世代を超えた幅広い年代に利用され,住民の地域情報の発信・共有のニーズが十分にあることを明らかにした.また,住民の書き込みによってらくがきマップが作られるという住民主導型の参加スタイルが,住民に自らのまち情報を振り返るきっかけを与えたり,地域への愛着を高めることを示した.
著者
小西 健太 村田 忠彦 名取 良太
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.203-210, 2010-04-15
参考文献数
16
被引用文献数
3

本論文では,投票率上昇と投票所数削減のための投票シミュレーションを提案する.まず,有権者の投票と棄権の2つの効用関数を設定する.次に,区域ごとに,それらの効用関数を組み合わせる投票係数を調整する.実際の投票率を用いた調整プロセスにより,各区域の実投票率と予測投票率の差を最小化する.さらに推定された投票係数を用いて,2目的遺伝アルゴリズム(NSGA-II)による投票率最大化と投票所数最小化を行う.これにより,投票所数を維持したまま,投票率が上昇する投票区割りの最適化や,投票率を維持した投票所数の最小化を行うことが可能となる.
著者
Prasad Rajkishore Fumitoshi Matsuno
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
SCIS & ISIS
巻号頁・発行日
pp.1983-1988, 2006 (Released:2008-09-12)

This paper investigates role of humming sound in the healing process by Bhramari Pranayama (BP) which has been recommended, in many literatures on yoga, for removing stress and healing many mental abnormalities and has also been claimed to be recuperative for the same by many practitioners. Pranayama is a Sanskrit word which literally means a yogic act performed for controlling flow of vital energy in the body and mind. One of the main acts during doing BP is that subject imitates humming sound of bumble bee while exhaling. The analysis of the humming sound produced during pranayama shows a little variation in pitch confined within lower frequencies with concentration of energy in the lower frequency bands. Nasal formants are also present. The humming sound has also vibrato. It is hypothesized that such sound produces not only bone conducted audition but also vibration in cranium and changes in the brainwave patterns leading to relaxation and healings.
著者
奥 健太 服部 文夫
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.524-539, 2013
被引用文献数
2

近年,推薦精度以外の評価尺度を重視した推薦システムに関する研究が注目されている.推薦精度以外の評価尺度の一つであるセレンディピティは,推薦システムがいかにユーザにとって意外かつ有用なアイテムを発見できるかを表す評価尺度である.本研究では,セレンディピティ指向情報推薦システムとしてフュージョンベース推薦システムを提案する.提案システムは,外発的および内発的偶然を発生させる機構をもち,ユーザがこれらの偶然の中から価値あるアイテムを察知できるような仕組みをもつ.我々は,セレンディピティ指向情報推薦においては,これらの機構をもつインタフェースを要件としたシステム設計が必要であると考える.提案システムは,ユーザが任意に選択した二つのアイテムを混ぜ合わせることで,セレンディピティなアイテムを発見するという,フュージョンベースアプローチの考え方に基づく.本研究の貢献は次のとおりである:セレンディピティ向上のためのフュージョンベースアプローチを適用した推薦システムを提案した.実際の楽天ブックスの書籍データセットを用いた被験者実験による推薦システムの有効性評価を行った.既存の推薦システムの一つである Amazon とのセレンディピティの観点から比較評価を行った.
著者
北島 理沙 小林 一郎
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.914-923, 2013
被引用文献数
1

近年,情報技術の発展に伴って大量のテキストデータが蓄積されるようになり,必要な情報を取捨選別するために自動要約の技術の必要性がますます高まっている.自動要約技術においては,様々な手法が提案されている一方で,文の関係のグラフ表現における固有ベクトル中心性の概念に基づいて文の重要度を計算する,グラフベースの文書要約技術が提案されており,その有用性が知られている.特に,LexRankはリード手法や中心性に基づいた手法のようなベンチマーク手法として用いられる様々な手法よりも良い結果を示すことが知られている.この手法は文間の類似度を計算するのに表層情報に対するコサイン類似度を用いている.本研究では,潜在トピックに基づいた文の類似度グラフを用いる複数文書要約手法を提案し,DUC2004を用いた文書要約実験を通して,LexRankとの性能の比較および考察を行う.
著者
大礒 正嗣 松村 嘉之 保田 俊行 大倉 和博
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.18-28, 2011-02-15
被引用文献数
4

多数の演算器を持ち並列計算可能な Graphic Processing Units(GPU)は,近年,CPU をはるかに上回る演算性能を持つようになり,GPU を用いて数値計算を高速化する研究が多くなされている.進化計算の計算量に対しても GPU 計算が注目されており,遺伝的アルゴリズム(GA)の分野において,集団の並列化についていくつかの議論が緒についた.本稿では,GPU 向け開発計算環境である CUDA を利用して,集団の並列化だけでなく個体単位での並列化を行うことによりGAの高速化とオーバーヘッドの隠蔽を行う実装手法を提案する.進化計算のベンチマークである関数値最小化問題とアプリケーションである進化ロボティクス問題に対して提案実装手法を適用し,計算機実験を行った.結果として,提案実装手法は従来の CPU による計算に対して 7.6~23.0 倍の高速化を達成した.
著者
廣澤 一輝 長名 優子
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.25-38, 2010-02-15

本論文では,ニューラルネットワークを用いた MaC モデルに基づく感情生成システムを提案する.提案システムは,感情を価値判断に用いる心のメカニズムと,選択的注意や反射・熟考のプロセスを処理する意識のメカニズムという2つのメカニズムを持つ心と意識の概念モデルであるMaC(Mind and Consiousness)モデルに基づいたモデルであり,MaC モデルの感情生成部分にカオスニューラルネットワークとボルツマンマシンを導入している.ボルツマンマシンは同じ入力に対して確率的に複数の出力を行うように学習させることができる.提案システムでは,この性質を利用することで,同じ外部入力に対しても時には違った感情が生成されるという人間らしさを実現する.一方,カオスニューラルネットワークは外部入力と履歴を考慮して学習したデータを動的に出力することができる.提案システムでは,この性質を利用して,過去の履歴を考慮した感情の生成を行い,人間らしさを実現する.計算機実験とロボットを用いた実験を行い,提案システムにおいて,外部入力のみに依存しない自然な感情生成が行えること,提案システムを実装したロボットにおいて手動で操作したロボットに近い自然な行動が実現できることを確認した.
著者
服部 凌典 岡本 一志 柴田 淳司
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.640-650, 2021-05-15 (Released:2021-05-15)
参考文献数
20

間取り図が賃料予測に与える影響を明らかにするために,間取り図を考慮した賃料予測モデルを構築し,間取り図の有無による予測誤差を検証する.間取り図の特徴抽出器には,主成分分析,Bag of Features(BoF),Fisher Vector(FV)を適用し,予測器には線形回帰とLightGBMを採用する.LIFULL HOME’Sデータセットを使用した賃料予測実験から,線形回帰においては間取り図を考慮することで,全てのカテゴリ(都道府県と間取り規格の組み合わせ)で予測誤差の95%信頼区間が短くなり,さらに,カテゴリによっては予測誤差の平均値が改善することを確認している.また,検討した3つの間取り図の特徴抽出器の中でBoFが最も予測精度が優れているといえる.
著者
許 志雄 新井 隆之 山口 亨
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.150-156, 1998-02-15 (Released:2017-09-22)
参考文献数
4

For people who are speech impaired and use Japanese sign language, it is helpful to develop an interactive Japanese sign language interface. Yamaguchi and Yoshihara etc. have proposed and realized a method for it. It uses only spatial motion features of different sign languages and doesn't think about the shape of hands. However, both spatial motion and shape of hands are important in sign language recognition. In this paper, we propose a method which employs skills of image processing to process and analyse simple shape of hands, and combine it with the method mentioned above. In our system, we also use Fuzzy Associative Memory Organizing Unit System(FAMOUS), which has property of robustness, to perform associative inference. Our system is person independent with high recognition rate.
著者
兼岩 尭希 中村 剛士 加納 政芳 山田 晃嗣
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.907-911, 2020-10-15 (Released:2020-10-15)
参考文献数
5

擬音語・擬態語の総称であるオノマトペは,音象徴性を持つとされる.音象徴とは,特定の音が特定のイメージを喚起する事象であり,類似した特定の音は類似した特定のイメージを喚起できると考えられる.浦田らは,この音象徴性に基づいて,オノマトペの意味の類似関係をオートエンコーダの中間層によって可視化するオノマトペ・シソーラス・マップを提案した.このマップ上の局所的な位置関係は,オノマトペ間の意味的な類似関係を概略的に表すことができると報告されているが,音象徴の可視化に関して評価が十分なされたとは言い難い.本研究では,音象徴に関する言語学的知見を元に仮説を設定し,マップの可視化能力について検証を行った.検証実験の結果,マップは仮説をある程度支持するものの,一部については仮説と異なる結果が得られた.
著者
岨野 太一 今井 倫太
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.582-592, 2021-02-15 (Released:2021-02-15)
参考文献数
40

本論文では,目的のない散歩において,人と一緒に散歩するパートナーとなるロボットの発話の量について検討する.発話の量の調整は,話者に対する聞き手の印象や,会話自体の印象に対して大きく寄与する要素である.散歩においても,一緒に歩くパートナーとの会話は,散歩自体の印象に寄与すると考えられ,発話量に関する知見を得ることは大変重要である.本論文では,4種類の発話量のロボットに対して,参加者内計画による検証実験を行い,発話量についての多寡の感覚と,発話量による印象の変化について調査を行った.結果,4~5秒の短文の発話において,発話の開始から次の発話の開始までが10秒である場合に発話量が多いと感じ,40秒だと少なく感じるという知見が得られた.また,発話の開始から次の発話の開始までが20秒以下である場合,散歩のパートナーとしての評価や好ましさ,知的かどうかの印象の面で,他条件に対して有意に高評価であった.
著者
Michal PTASZYNSKI Pawel DYBALA Wenhan SHI Rafal RZEPKA Kenji ARAKI
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.194-213, 2009-04-15 (Released:2009-06-30)
参考文献数
63
被引用文献数
7 9

We propose a method for affect analysis of textual input in Japanese supported with Web mining. The method is based on a pragmatic reasoning that emotional states of a speaker are conveyed by emotional expressions used in emotive utterances. It means that if an emotive expression is used in a sentence in a context described as emotive, the emotion conveyed in the text is revealed by the used emotive expression. The system ML-Ask (Emotive Elements / Expressions Analysis System) is constructed on the basis of this idea. An evaluation of the system is performed in which two evaluation methods are compared. To choose the most objective evaluation method we compare the most popular method in the field and a method proposed by us. The proposed evaluation method was shown to be more objective and revealed the strong and weak points of the system in detail. In the evaluation experiment ML-Ask reached human level in recognizing the general emotiveness of an utterance (0.83 balanced F-score) and 63% of human level in recognizing the specific types of emotions. We support the system with a Web mining technique to improve the performance of emotional state types extraction. In the Web mining technique emotive associations are extracted from the Web using co-occurrences of emotive expressions with morphemes of causality. The Web mining technique improved the performance of the emotional states types extraction to 85% of human performance.
著者
槫松 理樹
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.778-781, 2020-08-15 (Released:2020-08-15)
参考文献数
9

本論文では,可読性の高い文書分類モデルを構築するためにラフセット理論を用いる手法を提案する.本手法では,縮約によって絞り込んだ語句を用い,上近似集合,下近似集合それぞれから抽出した決定ルールと新規文書を照合する.その際,成立した上近似集合からの決定ルールおよび下近似集合からの決定ルールの評価値の最大値の和が最大となる分類を推定結果とする.評価値としては,正確度SI,被覆度CI,リフト値を用いる.専門家の協力のもと,特許公報を題材とした検証の結果,専門家が納得できる決定ルールの抽出に成功するとともに,単純な分類方法よりも高い分類精度を示すことができた.しかし,専門家が納得できたルールは抽出したルールの約25%にとどまり,精度,Kappa係数ともまだ改善の余地がある.また比較対象としたナイーブベイズ分類に対する優位性を示すには至らなかった.今後の課題としては,実験結果を分析し,アルゴリズムを改善することが挙げられる.
著者
大田原 菜々 稲子 明里 塚原 裕史 小林 一郎
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.722-736, 2020-06-15 (Released:2020-06-15)
参考文献数
26

近年,車の自動運転の実用化に向けた活動が急速に進展している.今後,自動運転車の操作を容易に行うために,自然言語による対話的な操作を可能にすることが必要であると考えられる.そこで,本研究では,自然言語で表現される駐車指示から空間的意味内容を抽出し,その空間的意味内容と,車に備え付けられたセンサーによって認識される実世界を対応付け(グラウンディング)ることで,駐車指示内容に含まれる行動や物体などを表す言葉と,実世界上での行動や物体を結びつける手法を提案する.本研究では,駐車指示から空間意味内容を抽出する手法と,得られた空間意味内容と環境表現の対応付けを行う手法の2つを考えている.空間意味内容の抽出には,制約を組み込んだ特別な組み合わせ範疇文法(CCG)により与えられる構文木を中間情報として用いている.この際,未知語が現れた場合はCRFにより推定を行う.また,得られた構文木をリランキングすることで,精度を改善している.この構文木を,特定の変換規則によりSpatial Description Clause(SDC)と呼ばれる木構造による階層的空間意味記述に変換する.我々はKollarらにより提案されたSDCを拡張し,新たなタイプを追加している.グラウンディングを行う手法では,グラウンディンググラフと言う確率的グラフィカルモデルを生成し,グラフ全体の確率を計算することにより,それぞれの言語に対応したグラウンディングを出力している.構文解析が成功した文に対するグラウンディングの精度は全体で79.2%となった.
著者
澤崎 夏希 遠藤 聡志 當間 愛晃 山田 孝治 赤嶺 有平
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.668-677, 2020-04-15 (Released:2020-04-15)
参考文献数
23

深層学習によって様々な分類問題が解決されているが,分類カテゴリ毎のデータ量が不均衡な問題を扱う場合,多くの課題がある.不均衡データへの対策として,少量カテゴリのデータ量を増加させ均衡化する手法がある.これをかさ増しと呼び画像処理分野ではノイズの付与や回転による方法が一般的である.最近ではGenerative Adversarial Network: GANによる画像生成手法を用いる場合がある.一方で,自然言語処理の分野では有効なかさ増し手法はいまだ確立されておらず,人手によるかさ増しが行われている.人手によるかさ増しではルールの設計など負担が大きく,機械的なかさ増し手法が必要となる.しかし,文章生成における機械的なかさ増しは画像生成に比べ不安定である.これは文章の特徴獲得の難しさが原因だと考えられる.そこで本論文ではグラフ情報に注目した機械学習による文章生成手法を提案する.CaboChaによって生成されたグラフ情報をGraph Convolutionにより畳み込み処理する.提案するGANにより生成されたかさ増し文章を3つの計算実験により評価し有効性を示した.
著者
竹之内 宏 徳丸 正孝 村中 徳明
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.38-53, 2011-02-15
被引用文献数
2

本論文では,多くの人の感性を用いた対話型進化計算(Interactive Evolutionary Computation:以下 IEC)として,2点嗜好法を適用した複数参加型トーナメント方式を用いた対話型遺伝的アルゴリズム(Interactive Genetic Algorithm:以下 IGA)を提案する.これまでに提案されている多くのIECシステムは,ユーザが1個人の場合を対象としている.このため,多くの人が納得する解を得ることができない.そこで本論文では,Web上から多くのユーザの感性を投票として獲得し,IGAの解評価に用いることを想定した多人数参加型のシステムを提案する.提案システムのように,多くの人が投票により解評価を行うIECインタフェースとして,これまでに複数参加型トーナメント方式が提案され,シミュレーションにおいて有効性が検証されている.しかし,実際のWebシステムなどで投票獲得を想定した場合,投票に参加するユーザ数を推定することは困難である.そのため,複数参加型トーナメント方式においては,解評価に必要な投票数を獲得できず,トーナメント対戦を進行させることができないといった問題が想定される.このような問題を解決するためには,獲得した投票の効率的な利用が求められる.そこで,統計的手法である2点嗜好法により,トーナメント対戦の勝敗結果を判定しトーナメントの効率化を図る.2点嗜好法の適用により,投票開始からより早い段階で解候補の優劣を判定できると考えられる.本論文では,シミュレーションにおいて,提案手法の有効性を検証した.シミュレーションにおいては,実際のユーザの代わりにビット列で作成された評価エージェントが解評価を行う.シミュレーション結果より,提案手法において,解評価に必要な投票数が約80%減少されることが確認された.さらに,従来の複数参加型トーナメント方式を比較手法とした性能比較を行った.その結果,提案手法は,トーナメントの効率化という観点より,有効であることが確認された.
著者
真部 雄介 齋藤 隆輝 嶋田 弦 菅原 研次
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.988-1001, 2012
被引用文献数
4

バイオメトリクス認証技術の中でも行動的特徴を用いた手法の開発は,様々な分野での応用が期待される重要な研究課題である.行動的特徴を用いる方法の中で最も代表的なものは歩行・歩容(gait)認証であるが,近年では,歩行動作を正面から観測して個人を特定することが可能となってきている.正面観測による歩行認証は,人間が個人を特定する方法との親和性や歩行対象者を観測する機器の設置条件などの点で応用上優れた利点を備えているとされており,このような利点を生かした技術の開発は,ロボットへの自然な個人認証機能の実装や実世界の状況や文脈に応じて妥当な処理結果を出力するような個人適応型のコンピュータシステムの開発にとっても重要な意義があると考えられる.そこで本論文では,正面方向から観測が可能な特徴量である歩行時の頭部動揺時系列に加え,顔画像および身体骨格から計量される寸法を用いた個人認証手法を提案する.頭部動揺時系列,顔面寸法,身体寸法のそれぞれの類似性を DP マッチングおよびユークリッド距離により独立に評価し,評価結果をAND/OR演算またはファジィ推論により融合することで個人認証精度の向上を実現する.利用するこれらの特徴量は,一定の個人性を含んではいるものの,それ単体では必ずしも個人を特定することができないと考えられる特徴であり,ソフトバイオメトリクスと呼ばれるものの一種と考えることができる.7人の被験者に対する個人認証実験の結果,提案する融合方法によって,本人棄却率0%の下で平均他人受理率0%を達成した.単一の特徴量のみを用いた個人認証の場合と比べ,利便性を維持したまま照合精度を改善できることを示す.
著者
大塚 真吾 宮崎 収兄
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.717-727, 2012

本論文では,働く女性を対象としたWebページ閲覧行動についての調査を行うために,都内の働く女性を対象としたフリーマガジンと連動するサイトのアクセスログの分析を行った.アクセスログ解析では一般的にアクセスをしたユーザの性別や年代を推定することは難しいが,本論文では働く女性が興味を持つコンテンツのみを提供しているサイトという特徴を活かすことで,特定のユーザ層に関する閲覧行動の抽出を試みた.解析結果から,ユーザの特徴的な行動パターンを発見することができた.
著者
稲邑 哲也 タン ジェフリートゥ チュアン 萩原 良信 杉浦 孔明 長井 隆行 岡田 浩之
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.698-709, 2014

ロボカップ@ホームはHuman-Robot Interaction (HRI) 研究の発展のために,今後重要な位置づけを持ったコンペティションである.HRIにおける研究開発では,膨大な量の対話実験による経験データベースが必要となる場合が多いが,実機のロボットでは実験実施のコストが高く,また,シミュレーションでは人間とロボットとの身体的インタラクションに制約が生じる.そこで,没入型のユーザインタフェースと,複数のクライアントが同時に同一の仮想世界にログイン可能な機能の双方をロボットシミュレータに搭載し,HRI研究を促進させることの可能なロボカップ@ホームシミュレーションの枠組みを提案する.また具体的なシステム実装に必要となる基盤技術の設計指針を示す.
著者
益子 行弘 萱場 奈津美 齋藤 美穂
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.186-197, 2011-04-15
参考文献数
32
被引用文献数
1

これまで「笑顔」は「喜び」の感情が表出した表情として扱われてきた.しかしながら「笑顔」には「喜び」といったポジティブな感情だけでなく,「苦笑い」などネガティブな感情を示す語も日常的に用いられる.本研究では,日常用いられ,意味の違う5種類の「笑い」語から表出された表情について,表情の変化量とポジティブ度から分類を行った.クラスター分析およびクラスター間に検定を行い,変化量が小さくややネガティブな笑顔,変化量が中程度でポジティブ度も中程度の笑顔,変化量が大きくポジティブ度も大きな笑顔の3つのクラスターを設定した.さらにこれらの特徴を検討するため,運動解析ソフトを用いて顔の各部位の変化量を測定した.その結果,ポジティブ度が高くなるにつれ,眉尻は上がり,目の縦幅は狭くなり,口の縦幅は広くなるが口角の変化は小さくなることがわかった.特に変化の小さな笑顔は,口の変化量に対して眉・目は変化量が小さいため,口元の変化を元に笑顔の度合いが判断される可能性があると考えられる.3種の笑顔の心理的な影響を検討するため,それら笑顔について,人物印象評定を行った.因子分析の結果,[好感度][活力性][支配性][女性らしさ]の4因子まで検討した.変化が大きくなるほど[活力性][支配性][女性らしさ]が高いと評定されるが,[好感度]については変化量が大きくなるほど低くなることが明らかとなった.