著者
大道 博文 林 柚季 目良 和也 黒澤 義明 竹澤 寿幸
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

近年,インターネット上でCGアバターを介した他者とのコミュニケーションが普及しつつある.しかしアバターの表情・動作パターンを生成する際,複数の感情が混在する表情やある感情を抑圧しているような表情を表現するための典型的な特徴や統一された指標は無く,モデル作成者の経験や感覚に依るところが大きい.そのため,非熟練者や表情自動合成手法による表情モデルの作成は現状困難である.そこで本研究では,感情の部分的表出(Action Unit(AU))の組み合わせに基づいて複数の表情アニメーション動画を作成し,Shefféの一対比較法を用いて表出したい表情に対する各AUの効果について分析を行う.本研究では“ツンデレ”と呼ばれる「快感情の抑圧表情」を対象として,Ekmanの知見に基づき“中立化”と“隠蔽”の二種類の抑圧表現を用いる.実験の結果,中立化によるツンデレ表現に最も適しているAUの組み合わせは,AU6+12(幸福の目,頬,口の動作)が弱いか無い,かつ赤面が起こっている表情であった.また隠蔽によるツンデレ表現に最も適しているAUの組み合わせは,AU4(怒りの眉)かつ赤面が表出している表情であった.
著者
岡田 敦志 上村 譲史 目良 和也 黒澤 義明 竹澤 寿幸
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

近年,表情,音響的特徴,発話文字列の情報を総合して発話者の感情推定を行う手法が提案されている.しかし,「半笑いで褒める」のように各情報源からの推定結果が食い違うことが意味を持つ状況も存在する.このような状況を捉えるため,本研究では表情,音響的特徴,発話文字列からの感情推定を並列かつリアルタイムに行うシステムを構築した.本稿では提案システムの構成および各感情推定処理の評価結果について述べる.
著者
目良 和也 青山 正人 大道 博文 黒澤 義明 竹澤 寿幸
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.944-955, 2020-12-15 (Released:2020-12-15)
参考文献数
17

CGアバターによる遠隔コミュニケーションにおいてユーザの気持ちを的確に伝えるには,言語情報だけでなく,口調,表情,動作などのノンバーバル情報も重要である.CGアバターに基本感情を付与する研究はこれまでも行われているが,皮肉や照れ隠しのような本心を隠そうとしている表情を表現するための手法は確立されていない.そこで本論文では,顔部位の変化の随意不随意性に注目し,本心感情を不随意な顔部位の変化,演技感情を随意に動かせる顔部位の変化によって表現することで,外面と内面の感情を選択的に表現する手法を提案する.本論文ではツンデレ表情を想定し,本心感情を喜び,演技感情を平静あるいは怒りとした事例を用いて説明する.提案手法に基づいて作成した表情アニメーションについて印象評定を行った結果,不随意的な喜び顔部位である“頬の紅潮”が表出していることが「喜びを隠蔽しようとしている」という印象を強くしていた.一方,頬の紅潮の代わりに目や口など随意的な喜び顔部位を用いたところ,逆に「喜んでいるふりをしている」という印象を強くしていた.このことより,本心感情を不随意な顔部位の変化によって表出することで,内面の感情を選択的に表現できることが確認できた.
著者
大道 博文 林 柚季 目良 和也 黒澤 義明 竹澤 寿幸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.4Rin114, 2019 (Released:2019-06-01)

近年,インターネット上でCGアバターを介した他者とのコミュニケーションが普及しつつある.しかしアバターの表情・動作パターンを生成する際,複数の感情が混在する表情やある感情を抑圧しているような表情を表現するための典型的な特徴や統一された指標は無く,モデル作成者の経験や感覚に依るところが大きい.そのため,非熟練者や表情自動合成手法による表情モデルの作成は現状困難である.そこで本研究では,感情の部分的表出(Action Unit(AU))の組み合わせに基づいて複数の表情アニメーション動画を作成し,Shefféの一対比較法を用いて表出したい表情に対する各AUの効果について分析を行う.本研究では“ツンデレ”と呼ばれる「快感情の抑圧表情」を対象として,Ekmanの知見に基づき“中立化”と“隠蔽”の二種類の抑圧表現を用いる.実験の結果,中立化によるツンデレ表現に最も適しているAUの組み合わせは,AU6+12(幸福の目,頬,口の動作)が弱いか無い,かつ赤面が起こっている表情であった.また隠蔽によるツンデレ表現に最も適しているAUの組み合わせは,AU4(怒りの眉)かつ赤面が表出している表情であった.
著者
目良 和也 市村 匠 相沢 輝昭 山下 利之
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.186-195, 2002 (Released:2002-04-04)
参考文献数
31
被引用文献数
6 21

There have been some studies about spoken natural language dialog,and most of them have successfully been developed within the speci ed task domains. However,current human-computer interfaces only get the data to process their programs.If the dialog processing has emotion comprehensive faculties, it should lead us to more human-like performance.In this paper,we present a method for constructing an emotion-handling dialog system in order to facilitate more confortable interaction with the users. We describe how to calculate emotions from the utterances,focusing on the similarities between the grammar structures and the semantic structures within the case frame.We made emotion generating calculations(EGC)to generate pleasure/displeasure emotion from an event.We also calculate the degree of the pleasure/displeasure from an opposite angle's length of the rectangular parallelepiped consisting of the all the terms in the EGC.EGC uses 8 type calculations for 12 event classi ed type by Okada. Word impressions about like/dislike are used for their calculations.Furthermore,we apply these calculations to the negatives and the noun phrases.To verify the e ectiveness of the proposed method,we tested some conversations using WWW-based health service system for elderly. We applied our method to 80 event in the conversations and calculated emotions almost corresponded to human-generating emotions.
著者
目良 和也 市村 匠 黒澤 義明 竹澤 寿幸
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.10-24, 2010-02-15
被引用文献数
1 8

現在,音声によるインタフェースに対する注目は年々高まっており,応用システムとしても,さまざまな用途のアプリケーションが開発されている.このような人間とインタラクションを行うエージェントにとって重要な機能として,人間の意図の理解,エージェントの行動の決定,エージェントの状態表出の3機能が挙げられるが,本研究では特にエージェントが自身の感情状態を表出する機能に注目する.本研究では,CGエージェント型の音声情報案内システムである「たけまるくん」に対してエージェントの感情を付与することで,より親しみやすいコミュニケーションを実現することを目指す.「たけまるくん」はユーザ発話を想定した質問文データベースを持っており,それぞれの質問文には,応答文とエージェントのリアクション動画が対応付けられている.そして音声入力からスコアリングにより質問文が選択され,リンクされた応答文とリアクション動画を出力する.本手法では,まず情緒計算手法を用いてユーザの発話内容に対するエージェントの生起情緒を計算する.次に,気分の変化を状態遷移によって表すため,心的状態遷移ネットワークを用いる.これにより気分状態はエージェントの生起情緒をもとにして心的状態遷移ネットワーク上を連続的に変化していく.各気分における固有の応答文データベースとリアクションデータベースを作成することで,質問文に対し気分によって異なる反応を返す.さらに,事前に計算され質問文に付与された生起情緒を基に気分の遷移を行う.生起情緒は,入力文,応答文,リアクション,気分の4つのセットに対して計算される.そのために,まずこのセットを人間が認識および行動したときに心の中で認識される事象を抽出し,その事象に対して情緒計算手法を適用することで生起情緒を計算する.そして,生起情緒と心的状態遷移ネットワークの遷移コストをもとに7種類の気分状態を遷移する.従来のエージェントと本手法のエージェントに対する印象を18の形容詞に対し評価した結果,本手法においては好感因子の平均得点が高く,性格に関する項目においては,「やんちゃ」や「不真面目」の項目の平均得点が従来手法に比べて高かった.使用感に関する項目では,「楽しめそう」の項目で高い平均得点を得た.本手法は従来手法より好ましい印象を与え,エージェントが性格を持っているように感じられることから,本手法に基づくエージェントに対して,ユーザがより親しみを感じているといえる.
著者
目良 和也 市村 匠 山下 利之 三木 睦明
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.465-474, 2003-08-15

相手が発した文章の内容を,相手の好き嫌いの基準をもとに解析し,そこから相手の情緒を推測する手法として,情緒計算手法が提案されている.しかしこの手法では,連体修飾構造,特に節構造による連体修飾の際の好感度計算について有効であるとは言えず,これらの情緒空間に対して,例外処理となっていた.本研究ではこのような問題点を解決するため,連体修飾節の好感度計算に対して,ファジィ真理値限定を適用することによって,適切な計算と処理の統一を試みた.ファジィ真理値限定における真理値計算のうち,言語真理値による影響を修飾節の内容による影響と見なして計算を行う.その際,"好き"の度合を表す真理値と"嫌い"の度合を表す真理値を別々に用意し,被修飾語の持つ好感度に対して,修飾節の影響が打ち消す方向に大きければ,修飾構造全体の好感度を好きから嫌い,嫌いから好きへと変化させる.さらに,情緒計算手法の処理手順についても,効率化を図った.本手法を童話「かちかち山」に現れた連体修飾節に適用した結果を述べる.
著者
目良 和也 矢野 宏実 市村 匠
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第21回ファジィ システム シンポジウム
巻号頁・発行日
pp.6, 2005 (Released:2007-05-29)

現在,インターネット上には多様で膨大な量の情報が存在しており,それらの情報を元に,我々は自分の好みに合わせて購入商品や旅行先などを選定することが出来る.そのための手法としてAHPや多属性効用理論があるが,未知の対象の定性的な属性について評価することは難しい.本研究では,インターネット上から収集した意見に含まれる程度表現と信頼度表現を考慮した形で,属性の度合を求めるための手法を提案する.min-max法では,ある属性値に対して一人の人間が感じる印象を各程度のファジィ集合に対する帰属度で表し,そこから統合値を求めている.本研究ではこの手法を拡張し,複数の人間の意見から統合値を求める手法を提案する.このファジィ集合の帰属度は意見数の比率から求めるが,本手法ではその際に各意見に付随する信頼度表現を各意見の重みとする.信頼度表現の重み,程度表現の分類,文章からの意見情報の抽出には自然言語情報を用いる.
著者
大道 博文 目良 和也 黒澤 義明 竹澤 寿幸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.3Rin404, 2020

<p>近年,VRゲームやVirtual YouTuberなどアバターを介したコミュニケーションが普及しつつある.このようなアバターを通じてユーザの心理状態を伝達させるために,特定の感情を示す表情をアバターに表出させる方法や,自身の表情や動作をアバターと同期させる方法がよく用いられている.代表的な表情同期手法としてFace Trackingが挙げられるが,表情を持たない収録済みの音声や合成音声から表情を作り出すことができない.そこで本研究では,音声のみを用いて表情アニメーションの自動生成を行うことを提案する.具体的には発話音声の音響的特徴量を入力とし,表情動画から解析されたAction Unitのパラメータを教師データとして学習モデルを設計する.評価として,既存手法(CNN)と提案手法(CNN-LSTM)のLoss値を比較した.実験の結果,提案手法のLoss値の方が既存手法よりも下がっていることを確認した.また,出力結果を時系列にグラフ化すると提案手法の方がより滑らかに推移していることも確認できた.このことは表情アニメーションにおいて自然な表情として知覚できることを示している.</p>
著者
見尾 和哉 石野 亜耶 目良 和也 竹澤 寿幸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.3G4OS18b01, 2019 (Released:2019-06-01)

本研究では,抑圧された感情まで推定するシステムの構築を目的に,本心でない発話を自動検出する手法を提案する. 提案手法では,機械学習にLSTMを使用し,特徴量として発話中の音声と表情の情報を利用する. SVMを用いた既存手法との比較実験を行い,台詞を固定したパターンでは, 提案手法により再現率を0.12ポイント,F値を0.07ポイント改善することができた.
著者
髙市 晃佑 片上 敬雄 黒澤 義明 目良 和也 竹澤 寿幸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.3Rin231, 2019 (Released:2019-06-01)

近年盛んである深層学習を用い音源を分離することを目的とする.ネットワークを用い通常の会話から特定の人間の声を抽出することを試みる.画像変換を行うpix2pixに注目する.そのアルゴリズムは純粋な画像変換の手続きに基づくため,追加の手続きとして音声を一度スペクトログラムに変換する必要がある.その後,人間の声を分離するためにネットワークを学習し、特に同性と異性の違いに注意して抽出を行う.この観点から、本稿では男女の声を重ねた音声を使って2つの実験を行った.SSIMとカラーマップを評価の基準に使用した.結果として,女性の声が良く抽出できていることを確認した.ところが,女性同士の発話から抽出はできなかった.今回,分離はうまくいかなかったという結論に至った.しかしながら,生成された音声は自然に再生されたと思われる.今後の課題は,こうした人間の判断を客観的に判定することである.
著者
市村 匠 目良 和也
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第23回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.206, 2007 (Released:2009-01-14)

我々は表層的な感情の解析方法として、自然言語処理を行い、 文章に含まれる感情を分類し、その強度を求める手法を提案 してきた。さらに、求められた感情から、ニューラルネット ワークにより顔画像を生成する手法を提案した。ところが、 これらは人間の表面的な情報を処理する技術である。そもそも 感情が人間の内在する衝動を満たすために認知され、個人の 直感的な知識に関連した感性により表出するものであると すれば、内在する感情のモデルを構築することができるだろう。 この論文では、ニューラルネットワークによるモデル化を 試みる。
著者
目良 和也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.76, pp.9-16, 1999-05-21
被引用文献数
3

以前, 我々は相手の発話内容から情緒を生起するための計算式を提案した. しかし従来の手法は, 事象が自分にとって快であるか不快であるかのみを判定していた. 本研究では, Elliottが提唱している感情誘発条件理論に従来の情緒生起手法を適用することで, 状況に応じた多様な情緒を生起させる. 感情誘発条件理論では, 扱う事象が望ましいか望ましくないかというのが条件判断の基本となる。この事象が望ましいか否かという判断に, 従来の情緒生起手法の快/不快を適用する. さらに, 他者の好感度, 事象に付随する様相情報なども用いて, 条件判定を行なう. 実験を行なった結果, 318文で述べ156個の情緒が生起した.