著者
大野 富二雄 鈴木 進治 丸山 孝 西成 勝好
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.35, no.12, pp.835-842, 1988
被引用文献数
1 2

タンニン酸とゼラチンの混合物,及びそれより形成されるチューインガムについて検討した. <BR>(1) タンニン酸とゼラチンによるチューインガムは,混合物を水中で規則的な圧縮と折りたたみを繰り返すことにより得られ,混合物の調製はタンニン酸とゼラチンを60℃において5分間撹拌混合すると効率的であった. <BR>(2) 混合物からチューインガムの形成は,酸抽出ゼラチンはpH5で,またアルカリ抽出ゼラチンではpH4でそれぞれ最も効率的であったが,アルカリ抽出ゼラチンでは酸抽出ゼラチンに比較してチューインガム形成pH域が狭く形成率も低かった. <BR>(3) 添加水量を多くして調製した混合物は,チューインガムの形成率が低く,形成されるチューインガムの粘度は上昇する傾向が認められた. <BR>(4) タンニン酸のゼラチンに対する比率が0.2以下の混合物からはチューインガムは形成されなかった. <BR>(5) タンニン酸のゼラチンに対する比率を, 0.40あるいは0.50として調製した混合物から得られたチューインガムは,市販チューインガムよりも粘度が高いものの,アルベオグラフで膨れ度合を測定すると,ほとんど同じ体積となった.この時チューインガムは抗張力が大きく市販チューインガムの2~5倍の仕事量を要した.