著者
長野 隆男 矢野 裕子 西成 勝好
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.344-349, 2003-08-15
被引用文献数
3 2 1

市販の絹ごし豆腐について,圧縮試験による力学物性測定と共焦点顕微鏡によるミクロ構造の観察をおこない,以下の結果を得た.<br>1) 豆腐の圧縮試験から得られた応力-歪み曲線をBST式でよくあらわすことができ,破断応力,破断歪み,ヤング率,弾性パラメーターnの4つのパラメーター値を抽出することができた.<br>2) 共焦点顕微鏡を使用することで,豆腐を固定せずにタンパク質と油滴を特異的に観察できること,1mm程度の厚さのある試料を用いてもタンパク質のネットワーク構造と油滴の状態が画像として得られることが明らかとなった.<br>3) 共焦点顕微鏡による観察結果から,市販の絹ごし豆腐は2つのグループに分けられた.すなわち,タンパク質の凝集が詰まって密にみえる「密構造タイプ」と,凝集が疎で粗い構造を示す「疎構造タイプ」である.<br>4) 「密構造タイプ」と「疎構造タイプ」の違いは,破断歪みの平均値の結果によく表されており,前者は50%より高く後者は50%より小さい値を示した.<br>5) 豆腐の力学物性測定結果は,タンパク質のネットワーク構造とよく相関し,油滴の状態との相関は低いと考えられた.弾性率,破断応力への寄与は,主にタンパク質のネットワーク構造によるためであろう.
著者
西成 勝好
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.61-68, 1987-01-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
41
被引用文献数
1
著者
早川 文代 井奥 加奈 阿久澤 さゆり 齋藤 昌義 西成 勝好 山野 善正 神山 かおる
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.337-346, 2005 (Released:2007-04-13)
参考文献数
40
被引用文献数
19 31

日本語のテクスチャー用語を収集し, 以下の知見を得た. 116人を対象としたアンケートによって用語を収集し, 討議により整理したところ332語を得た. これに文献調査の結果から94語を追加して426語とした. テクスチャーの研究者55人に用語の妥当性を評価させ, 専門家4人に面接調査を行って用語を削除, 追加し, 最終的に445語のテクスチャー用語を得た.1960年代に収集されたテクスチャー用語と比較したところ, “もちもち” “ぷりぷり” など新しい用語がみられた. また, 中国語などと比較すると, 日本語のテクスチャー表現は数が多いことが示された.テクスチャー用語の約70%は擬音語・擬態語であることから, 日本語のテクスチャー表現に擬音語・擬態語が重要な役割を果たすことが示唆された.
著者
平島 円 高橋 亮 西成 勝好
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
巻号頁・発行日
pp.54, 2007 (Released:2007-08-30)

【目的】 澱粉製品に酢などの酸を添加すると,澱粉の加水分解が起こり,安定した粘度やゲル強度を得ることはむずかしくなる。そのため,耐酸性澱粉の開発が盛んである。しかし,酸が澱粉の特性に及ぼす影響は澱粉濃度や酸強度により異なると考えられる。そこで本研究では,澱粉濃度を変えて試料を調製し,澱粉の糊化および老化に及ぼす酸の影響について検討した。【方法】 澱粉にはコーンスターチ(三和澱粉工業_(株)_)を用い,その濃度は3.0および20wt%とし,澱粉糊または澱粉ゲルを調製した。酸にはクエン酸(和光純薬工業_(株)_)など有機酸6種類を用い,pHを2.4~6.0に調整した。DSC測定,固有粘度測定,粘度測定,破断測定,離水測定により澱粉の糊化および老化特性について検討した。【結果】 酸を澱粉に添加しても糊化温度および糊化エンタルピーは酸無添加の試料と大きな差はなく,この範囲のpHでは,酸は澱粉の糊化に影響しないことがわかった。これはいずれの澱粉濃度においても同様であった。しかし,加熱後冷却した3.0wt%の澱粉糊の粘度は酸加水分解の影響を強く受け,著しく低下した。一方,冷却した20.0wt%の酸添加澱粉ゲルでは著しいゲル強度の低下はみられなかった。逆に低pH(3.0)に調製した澱粉ゲルの初期弾性率の値は大きくなった。これは酸加水分解によりアミロース鎖やアミロペクチン鎖の長さが短くなるが,その数が増えるために強いネットワーク構造を形成したためと考えられる。また,酸を添加しても澱粉糊および澱粉ゲルの老化の進行具合にも影響はなかった。とくに,低pHの澱粉糊では多くのアミロース鎖とアミロペクチン鎖によるネットワーク構造が瞬時に形成されるため,保存期間中の離水はほとんど起こらなかった。
著者
神山 かおる 西成 勝好
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.8, pp.715-721, 1992-08-15 (Released:2010-03-08)
参考文献数
17
被引用文献数
9 11

豆腐の力学的性質に影響する諸条件を検討した.プランジャーの形状,試料の形状,測定温度により,応力-歪曲線は変化した.貫入試験における見かけの破断応力はプランジャーの大きさに依存して変わったが,圧縮試験での破断応力は試料の形状に依存しなかった.豆腐が一定の剛性率を示すまでには長時間かかることが示された.以上のことから,豆腐の破壊試験を行う際の注意点は次のようである.1) 評価値は破断力ではなく,破断応力で示すべきである.また同時に破断歪も示すことが望ましい.2) プランジャーの形状,試料の形状,圧縮速度,測定温度は条件として必ず記載されなければならない.3) 凝固してから十分な時間が経過したものを実験に供する必要がある.
著者
早川 文代 井奥 加奈 阿久澤 さゆり 齋藤 昌義 西成 勝好 山野 善正 神山 かおる
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.337-346, 2005-08-15
被引用文献数
9 31

日本語のテクスチャー用語を収集し, 以下の知見を得た. 116人を対象としたアンケートによって用語を収集し, 討議により整理したところ332語を得た. これに文献調査の結果から94語を追加して426語とした. テクスチャーの研究者55人に用語の妥当性を評価させ, 専門家4人に面接調査を行って用語を削除, 追加し, 最終的に445語のテクスチャー用語を得た.<br>1960年代に収集されたテクスチャー用語と比較したところ, "もちもち" "ぷりぷり" など新しい用語がみられた. また, 中国語などと比較すると, 日本語のテクスチャー表現は数が多いことが示された.<br>テクスチャー用語の約70%は擬音語・擬態語であることから, 日本語のテクスチャー表現に擬音語・擬態語が重要な役割を果たすことが示唆された.
著者
長野 隆男 矢野 裕子 西成 勝好
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.344-349, 2003-08-15 (Released:2009-02-19)
参考文献数
27
被引用文献数
3 2

市販の絹ごし豆腐について,圧縮試験による力学物性測定と共焦点顕微鏡によるミクロ構造の観察をおこない,以下の結果を得た.1) 豆腐の圧縮試験から得られた応力-歪み曲線をBST式でよくあらわすことができ,破断応力,破断歪み,ヤング率,弾性パラメーターnの4つのパラメーター値を抽出することができた.2) 共焦点顕微鏡を使用することで,豆腐を固定せずにタンパク質と油滴を特異的に観察できること,1mm程度の厚さのある試料を用いてもタンパク質のネットワーク構造と油滴の状態が画像として得られることが明らかとなった.3) 共焦点顕微鏡による観察結果から,市販の絹ごし豆腐は2つのグループに分けられた.すなわち,タンパク質の凝集が詰まって密にみえる「密構造タイプ」と,凝集が疎で粗い構造を示す「疎構造タイプ」である.4) 「密構造タイプ」と「疎構造タイプ」の違いは,破断歪みの平均値の結果によく表されており,前者は50%より高く後者は50%より小さい値を示した.5) 豆腐の力学物性測定結果は,タンパク質のネットワーク構造とよく相関し,油滴の状態との相関は低いと考えられた.弾性率,破断応力への寄与は,主にタンパク質のネットワーク構造によるためであろう.
著者
平島 円 高橋 亮 西成 勝好
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

pHを高くし,アルカリ性に調整したコーンスターチ,タピオカ澱粉,ジャガイモ澱粉の糊化および老化特性について検討した。高pHでの澱粉の糊化は,pHにより同様の傾向を示した。いずれの澱粉においてもpH11付近では糊化が起こりにくいため,澱粉糊液の粘度は低下した。一方,pH12を超えると糊化が起こりやすくなるため,糊液の粘度は上昇した。しかし,pH13付近では糊液の粘度は著しく低下した。これはアミロース鎖やアミロペクチン鎖の分解が原因だと考えられる。コーンスターチとジャガイモ澱粉糊液の保存に伴う離水量はpHが高くなるほど少なく,高pHほど老化の進行がゆるやかになるとわかった。
著者
平島 円 高橋 亮 西成 勝好
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.231-239, 2019-08-05 (Released:2019-08-21)
参考文献数
42
被引用文献数
1

15 wt%のコーンスターチゲル(澱粉乾燥重量で13.0 wt%)の力学特性に及ぼすショ糖添加効果について,DSC測定およびゲルの一軸圧縮測定により検討した。0~50 wt%のショ糖を,コーンスターチ分散液の加熱前または加熱中に添加した。ショ糖を澱粉に添加すると,澱粉の糊化温度は高温側へ移行し,糊化エンタルピーが高くなり,糊化は起こりにくくなった。しかし,ショ糖添加コーンスターチゲルは,コントロールと比べて破断するために大きな力を要し,また,大きな力をかけても壊れずに変形し,しなやかだった。この効果はショ糖を澱粉の加熱前に添加したほうが顕著だった。 また,ショ糖を添加したコーンスターチゲルを保存すると,コントロールと比べて力学特性の保存に伴う変化量および変化速度が大きかった。しかし,20 wt%を超えるショ糖を加熱前に添加した場合には,保存に伴う力学特性の変化量が小さく,老化の進行度合がゆるやかだった。また,ショ糖を澱粉の加熱中に添加したほうが,保存に伴う変化量および変化速度は小さかった。
著者
平島 円 奥野 美咲 髙橋 亮 磯部 由香 西成 勝好
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成29年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.108, 2017 (Released:2017-08-31)

【目的】pHが13を越える強アルカリ性では,加熱せずに澱粉の糊化(アルカリ糊化)が起こる。しかし,こんにゃくや中華麺などの食品のpHはアルカリ糊化を起こすほど高くない。そこで本研究では,食品で扱われるアルカリ性のpHの範囲を考慮して糊化させた澱粉の老化に及ぼすpHの影響について検討した。【方法】澱粉にはタピオカ澱粉(松谷ゆり8,松谷化学工業(株))およびコーンスターチ(コーンスターチY,三和澱粉工業(株))を用い,その濃度は3.0,4.0および20wt%とした。また,澱粉の糊化はNa塩の影響を受けることから,アルカリの影響についてのみ検討できるよう,Sorensen緩衝液を用いてNa濃度を一定とし,pHを8.8–13.0に調整した。アルカリ無添加の澱粉をコントロール(約pH 6.5)とした。糊化させた試料を5oCで0-45日間保存した後,DSC測定,透過度測定と離水測定を用いて老化過程について検討した。【結果】タピオカ澱粉は老化しにくい澱粉のため,コンロトールを含め高pHに調整した試料すべてにおいて,本研究で用いた保存期間内では老化の進行はほとんどみられなかった。一方,コーンスターチにおいては,pHが高くなるほど,保存に伴うDSC測定から求めた老化率の変化は小さかった。また,澱粉糊液の透明度と離水率もpHが高いほど変化は少なく,pHを高くすると老化の進行がゆるやかになるとわかった。特に,食品で扱われるよりも高い12.6を超えるpHでは,澱粉糊液の透明度はほとんど変わらず,離水も起こらなかった。以上の結果より,食品にみられるアルカリ性の程度(pH12以下)では澱粉の老化は進行するが,コントロールよりも老化の進行はゆるやかになるとわかった。また,非常に高いpH(pH13程度)では,老化の進行が非常にゆるやかになるとわかった。
著者
早川 文代 井奥 加奈 阿久澤 さゆり 米田 千恵 風見 由香利 西成 勝好 馬場 康維 神山 かおる
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.327-336, 2006-06-15 (Released:2007-06-15)
参考文献数
28
被引用文献数
9 12

日本語テクスチャー用語445語について,消費者を対象とした質問紙による調査を行い,以下の知見を得た.1)認知度が0.75以上の用語を消費者の語彙とし,135語を得た.そのうち,認知度0.90以上のテクスチャー語彙の中核となる用語は66語あった.2)“crisp”,“crunchy”,“juicy”,“soft”,“creamy”に相当する用語は,異種の言語間で共通して消費者パネルによく使用されるテクスチャー表現であることが推察された.
著者
平島 円 奥野 美咲 高橋 亮 磯部 由香 西成 勝好
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成28年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.50, 2016 (Released:2016-08-28)

【目的】澱粉のpHを13よりも高くすると,加熱せずに糊化(アルカリ糊化)が起こることはよく知られている。しかし,こんにゃくや中華麺などの食品に含まれるアルカリ性物質の濃度はアルカリ糊化を起こすほど高くない。そこで本研究では,食品中でみられる高pHの範囲内で澱粉の糊化および澱粉糊液の粘度に及ぼすpHの影響について検討した。【方法】澱粉にはタピオカ澱粉(松谷ゆり8,松谷化学工業(株))およびコーンスターチ(コーンスターチY,三和澱粉工業(株))を用い,その濃度は3.0,4.0および20wt%とした。また,澱粉の糊化はNa塩の影響を受けることから,アルカリの影響についてのみ検討できるよう,Sørensen緩衝液を用いてNa濃度を一定とし,pHを8.8–13.0に調整した。アルカリ無添加の澱粉をコントロール(pH 6.5付近)とした。20wt%の澱粉を用いてDSC測定を,また,3.0wt%および4.0wt%の澱粉を用いて粘度測定,顕微鏡観察,透過度測定を行い,澱粉の糊化および澱粉糊液の特性について検討した。【結果】pHを8.8–12程度まで高くすると,タピオカ澱粉およびコーンスターチの糊化温度およびエンタルピーは,コントロールよりもわずかに高かった。すなわち,食品で扱われる高pHの範囲内では,いずれの澱粉も糊化は起こりにくくなるとわかった。その影響を受けて,pHを11程度まで高くしたタピオカ澱粉およびコーンスターチ糊液の粘度はコントロールよりも低かった。しかし,pHを12よりも高くすると,糊化温度とエンタルピーはコントロールよりも低く,常温で澱粉粒子内の結晶構造が壊れるとわかった。したがって,pHを12よりも高くすると,澱粉の糊化は起こりやすくなり,澱粉粒子からのアミロースやアミロペクチンの溶出量が多く,糊液の粘度と透過度は高くなるとわかった。  以上の結果より,食品にみられるアルカリ性の程度(pH12以下)では澱粉の糊化が起こりにくくなるとわかった。
著者
西成 勝好
出版者
一般社団法人 日本レオロジー学会
雑誌
日本レオロジー学会誌 (ISSN:03871533)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.195-202, 2008-12-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
54
被引用文献数
1 1

Rheological and related physicochemical studies on biopolymers are reviewed. Methods of determining viscoelastic constants of cylindrical gels were proposed and applied to various polymer gels. This was convenient to study the rheological changes induced by diffusion of ions into gels, and those induced by retrogradation of starch gels. A reel-chain model was proposed to understand the temperature dependence of elastic modulus of thermoreversible gels such as agarose, gelatin, poly(vinyl alcohol), gellan etc. This model was extended recently to understand the large deformation and yield behaviour of physical gels. Gelation process of various food biopolymers, soybean protein, casein, konjac glucomannan, gellan as well as the interaction between different biopolymers have been studied by dynamic viscoelastic measurement in combination with other physicochemical methods. Rheological behaviors of hyaluronan, a major component of synovial fluid, and of schizophyllan, anti-tumor active and very rigid rod polysaccharide, were studied. Viscoelastic properties of films of polysaccharides, amylose, pullulan, cellulose derivatives, konjac glucomannan were studied as a function of temperature and were analysed from the view point of molecular motion with NMR and dielectric studies as a basis of molecular understanding of biodegradability.
著者
大野 富二雄 鈴木 進治 丸山 孝 西成 勝好
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.35, no.12, pp.835-842, 1988
被引用文献数
1 2

タンニン酸とゼラチンの混合物,及びそれより形成されるチューインガムについて検討した. <BR>(1) タンニン酸とゼラチンによるチューインガムは,混合物を水中で規則的な圧縮と折りたたみを繰り返すことにより得られ,混合物の調製はタンニン酸とゼラチンを60℃において5分間撹拌混合すると効率的であった. <BR>(2) 混合物からチューインガムの形成は,酸抽出ゼラチンはpH5で,またアルカリ抽出ゼラチンではpH4でそれぞれ最も効率的であったが,アルカリ抽出ゼラチンでは酸抽出ゼラチンに比較してチューインガム形成pH域が狭く形成率も低かった. <BR>(3) 添加水量を多くして調製した混合物は,チューインガムの形成率が低く,形成されるチューインガムの粘度は上昇する傾向が認められた. <BR>(4) タンニン酸のゼラチンに対する比率が0.2以下の混合物からはチューインガムは形成されなかった. <BR>(5) タンニン酸のゼラチンに対する比率を, 0.40あるいは0.50として調製した混合物から得られたチューインガムは,市販チューインガムよりも粘度が高いものの,アルベオグラフで膨れ度合を測定すると,ほとんど同じ体積となった.この時チューインガムは抗張力が大きく市販チューインガムの2~5倍の仕事量を要した.
著者
早川 文代 井奥 加奈 阿久澤 さゆり 米田 千恵 風見 由香利 西成 勝好 中村 好宏 馬場 康維 神山 かおる
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.488-502, 2007-11-15 (Released:2007-12-31)
参考文献数
19
被引用文献数
4 8

前報2)の調査データを用いて,性別,年齢層別,調査地点別に消費者のテクスチャー語彙およびその中核となる用語を求めた.また,ロジスティック回帰分析によって用語の認知度に及ぼす人の属性の影響を調べた.その結果,以下の結果を得た.(1)各属性の各区分における消費者のテクスチャー語彙およびその中核となる用語を得た.(2)日本語テクスチャー用語445語について,用語の認知度に及ぼす人の属性の影響が明らかになった.(3)消費者のテクスチャー語彙の用語数も,その中核となる用語数も,男性よりも女性の方が多かった.女性の方がテクスチャーを表現する語彙が豊富であることが示唆された.女性の方が認知度の高い用語には“もそもそ”,“もったり”等がみられた.(4)消費者のテクスチャー語彙の用語数も,その中核となる用語数も,高い年齢層の方が低い年齢層に比べて多かった.時代による影響と世代による影響が考えられた.年齢層の高い方が認知度の高い用語には“かゆ状の”,“ぶりんぶりん”等,一方,年齢層の低い方が認知度の高い用語には“ぷにぷに”,“シュワシュワ”等がみられた.(5)消費者のテクスチャー語彙の用語数も,その中核となる用語数も,首都圏の方が多かった.首都圏の方が認知度の高い用語には,“ぼそぼそ”,“ぽくぽく”等,一方,京阪神地区の方が認知度の高い用語には“にちゃにちゃ”,“もろもろ”等がみられた.これらには方言の影響が推察された.以上の結果は,消費者を対象とした官能評価,質問紙調査および面接調査の設計の際に,また,消費者への情報発信を計画する際に重要な情報を提供する.さらに,食嗜好調査や食文化研究の考察の際にも有用な知見であると考えられる.
著者
三輪 章志 黒田 晃 織田 秀晴 高谷 友久 西成 勝好
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.32-39, 2002-01-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
25
被引用文献数
1 4

品種別米の食味を簡易に評価する方法として,精米の吸水率測定法の検討を行った.(1) 官能試験の評価が異なる9品種の精米を含水率調整したのち,7通りの浸漬時間(10, 20, 30, 40, 50, 60, 120分)で15℃の水に浸漬して吸水率を測定し,官能試験と比較したところ,官能試験の各項目との相関が最も高かったのは60分浸漬吸水率であった.(2) 60分浸漬吸水率は,3年間いずれの年でも官能試験の各項目との相関が0.1%水準で有意であり,9品種の被害・未熟粒を含んだ試料および整粒100%の試料の吸水率と官能試験各項目との相関においても,整粒歩合に関わらず高い相関を示した.(3) 90%と70%精米をそれぞれ6通りの浸漬時間で吸水試験を行った吸水曲線を比較すると,90%精米で認められる10分浸漬時の品種による吸水率の差が70%精米では認められなかった.この結果より短時間浸漬した品種別吸水率の違いは,90%精米の外側の層(70~90%)に含まれる成分及び組織構造に影響されていると示唆された.(4) 米の理化学特性(タンパク質含量,Mg/K・N,アミロース含量,粗脂肪含量,アミログラフのブレークダウン値)の60分浸漬吸水率への影響を検討したところ,アミロース含量が少ない品種ほど高い60分浸漬吸水率を示す傾向が認められた.以上のことから,60分浸漬吸水率は,品種ごとの吸水特性を明確・安定的に測定でき,米飯の食味評価法として利用可能な方法である.
著者
上部 光子 秋山 舞子 西成 勝好
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.336-343, 2004-11-20
参考文献数
18

白玉粉調理の生地作りでは,水を白玉粉の80~90%加えて捏ねる。この混捏時は,水分の多少により,生地のひび割れやだれを生じ,生地の捏ね操作上で扱い難い欠点がある。白玉粉生地の調理操作性改善方法としては,捏ねた生地の一部をゆで,元の捏ね生地に戻し、加えて混捏する方法が考えられる。そこで,ゆで生地量の違いによる生地の取り扱いやすさや,生地のレオロジー特性値を検討した。さらに,元宵と白玉団子の食味の官能検査について検討し,以下のような結論を得た。1)生地作り操作上の難易度の評価,および、ゆで後の食味の官能検査については,ゆで生地5%混入試料が捏ね時に操作しやすく,ゆで後の食味の官能検査結果から美味しいと認められた。2)円柱形に成形した生地についてテクスチャー・プロフィールアナリシスの結果,(1)ゆで生地無混入試料は硬く,多少べたつき,ぼそぼそとまとまりが悪い生地で,圧縮応力が最高値を示し,硬かった。また,ゆで生地混入試料は,混大量が多くなるにつれ圧縮応力が小さくなり,生地が柔らかく,捏ね操作がやりやすくなった。しかし,ゆで生地7.5%以上の混入試料は生地が柔らかすぎて扱い難いことが示された。(2)ゆで生地5%混入試料ではゆで生地2.5%混入試料に比べ付着量が少なく,触感から見て粘り気をおびて扱いやすかった。3)円盤形の生地の周縁を保持し,中心部を球形プランジャーで圧縮して引き伸ばす測定において,ゆで生地が増すにつれ,生地が柔らかく,粘り気が加わり伸びやすいことがわかった。ゆで生地5%混入試料は,荷重-変形曲線から見ても,生地作りの操作上で扱いやすい生地であることを見出した。
著者
上部 光子 秋山 舞子 西成 勝好
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.336-343, 2004-11-20

白玉粉調理の生地作りでは,水を白玉粉の80〜90%加えて捏ねる。この混捏時は,水分の多少により,生地のひび割れやだれを生じ,生地の捏ね操作上で扱い難い欠点がある。白玉粉生地の調理操作性改善方法としては,捏ねた生地の一部をゆで,元の捏ね生地に戻し、加えて混捏する方法が考えられる。そこで,ゆで生地量の違いによる生地の取り扱いやすさや,生地のレオロジー特性値を検討した。さらに,元宵と白玉団子の食味の官能検査について検討し,以下のような結論を得た。1)生地作り操作上の難易度の評価,および、ゆで後の食味の官能検査については,ゆで生地5%混入試料が捏ね時に操作しやすく,ゆで後の食味の官能検査結果から美味しいと認められた。2)円柱形に成形した生地についてテクスチャー・プロフィールアナリシスの結果,(1)ゆで生地無混入試料は硬く,多少べたつき,ぼそぼそとまとまりが悪い生地で,圧縮応力が最高値を示し,硬かった。また,ゆで生地混入試料は,混大量が多くなるにつれ圧縮応力が小さくなり,生地が柔らかく,捏ね操作がやりやすくなった。しかし,ゆで生地7.5%以上の混入試料は生地が柔らかすぎて扱い難いことが示された。(2)ゆで生地5%混入試料ではゆで生地2.5%混入試料に比べ付着量が少なく,触感から見て粘り気をおびて扱いやすかった。3)円盤形の生地の周縁を保持し,中心部を球形プランジャーで圧縮して引き伸ばす測定において,ゆで生地が増すにつれ,生地が柔らかく,粘り気が加わり伸びやすいことがわかった。ゆで生地5%混入試料は,荷重-変形曲線から見ても,生地作りの操作上で扱いやすい生地であることを見出した。