- 著者
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加納 正
大野 陽一郎
右京 成夫
内野 治人
村田 安雄
- 出版者
- 一般社団法人 日本内科学会
- 雑誌
- 日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
- 巻号頁・発行日
- vol.66, no.10, pp.1461-1469, 1977
- 被引用文献数
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喘息に始まり,約1年半の間にLöffler症候群を反復した後,系統的血管炎による多彩な症状を呈したallergic granulomatous angiitis (Churg and Strauss, 1951) (AGA)の典型例を経験した.本例の検討を通じて具体的にAGAと周辺疾患との関係ならびに成因について考察した.症例概要: 16才,男子高校生.家族歴にアトピー素因濃厚.既往歴では小児喘息(3才), 1975年1月より喘息, Löffler症候群(好酸球数500~1200/mm<sup>3</sup>)を反復. house dust, Candida,ソバガラに皮膚試験強陽性のため,減感作療法開始,その1週後より著明な好酸球増多(最高33,700/mm<sup>3</sup>),浮腫,発熱,腹部症状(腹痛,下痢,血便),皮下結節,筋炎, mononeuritis multiplex,関節炎が出現.減感作療法中は副腎皮質ホルモン無効,中止後は奏効し諸症状は消失ないし改善した.皮下結節の生検像で壊死性血管炎と肉芽腫性病変を認めAGAと診断. (1)壊死性血管炎, (2)好酸球性肺炎, (3)好酸球増多症の三つの方向からAGAと周辺疾患との関係を論じた.本例では減感作療法が血管炎のtriggerとなつた可能性が考えられ,さらに好酸球数,血清IgE値, RF, γ-globulin値が血管炎の進展,経過に相関して変動したことから免疫学的機序の介在が推定された.具体的にはIgE抗体による局所性(気道) I型反応から,減感作を機会に全身性I型反応, III型反応(IgE抗体も液相で作用する)がみられたものと考え,このような立場で, AGAの成因について論じた.