著者
中矢 大輝 遠藤 慎 佐鳥 新 吉田 功 三枝 信 伊藤 那知 加納 正城
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3+, pp.99-101, 2017-05-01 (Released:2017-10-07)

発症初期における大腸癌の識別は,医師による定性的な判断により行われる.本研究では,北里大学の協力のもと,初期の4段階に分類された大腸癌のうち最も識別が困難であるとされる高度異形成と癌細胞の識別をハイパースペクトルカメラにより計測し,機械学習を用いて解析を行った.使用したハイパースペクトルカメラは,北海道衛星株式会社が開発したHSC1702である.分類に用いた手法は,K近傍法,サポートベクターマシーン,ランダムフォレストである.前処理として,細胞核より抽出されたハイパースペクトルデータを主成分分析により次元削減した.第三主成分までを考慮して3手法をトレーニングを行い予測させた結果,1100以上のサンプルに対し,K近傍法では96.0%,サポートベクターマシーンでは98.1%,そしてランダムフォレストでは98.2%の精度を得た.
著者
松浦 哲也 加納 正道
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.96-105, 2008 (Released:2008-10-16)
参考文献数
41
被引用文献数
1

動物行動の多くは,さまざまな環境要因によって決定される。また,それらのうちあるものは特定の刺激により発現し,しかも定型的である。コオロギは空気流刺激に対し,逃避行動をはじめとして飛翔や遊泳など,さまざまな行動を発現する。すなわち,発現する行動はコオロギのおかれた状況により大きく異なる。このことから,空気流刺激に対するこれらの行動は単なる反射ではないことがわかる。コオロギの腹部末端には尾葉と呼ばれる突起があり,尾葉上には多数の機械感覚毛が存在する。これら感覚毛の動きによって感覚ニューロンの活動へと変換された空気流情報は,腹部最終神経節内の複数の巨大介在ニューロンへと伝えられ統合される。巨大介在ニューロンの活動は,逃避行動の発現に重要な役割を担っている。本稿では,はじめにコオロギの逃避行動と尾葉上に存在する機械感覚毛および巨大介在ニューロンの反応特性について概説する。次に,巨大介在ニューロンの活動と逃避行動の関係,成長にともなうこれらニューロンの反応特性の変化について述べる。また,片側の尾葉を失ったコオロギの行動補償と,巨大介在ニューロンの可塑的性質に関する最近の知見も紹介する。コオロギの神経系の研究は,動物行動の神経基盤を理解する上で重要な手がかりになると考えられる。
著者
岡市 直人 佐々木 久幸 加納 正規 河北 真宏 苗村 健
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.125-130, 2021 (Released:2020-12-25)
参考文献数
16

視点追従技術および従来設計より焦点距離の長いレンズアレーを用いて,広い視域と高い映像品質をもつ個人視聴に適したインテグラル3D映像表示システムを提案する.レンズアレーを回転させて水平・垂直方向の光学視域の比率を変化させる手法,瞳位置に応じた要素画像を高速に生成する手法,および視距離に応じて視域を最適化する手法を用いて,試作装置を構築した.従来設計と提案設計の試作装置において比較実験を行い,視点追従により視域が水平方向は2.9倍の81.4゜,垂直方向は1.7倍の47.6゜に拡大し,レンズアレーの焦点距離を2倍にしたことにより映像品質が向上したことを確認した.薄型かつ軽量のディスプレーを用いることによって,人がディスプレーを直接手に持ってインテグラル3D映像を楽しむことができるコンパクトな構成のシステムを実現した.
著者
加納 正 大野 陽一郎 右京 成夫 内野 治人 村田 安雄
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.1461-1469, 1977
被引用文献数
1 1

喘息に始まり,約1年半の間にL&ouml;ffler症候群を反復した後,系統的血管炎による多彩な症状を呈したallergic granulomatous angiitis (Churg and Strauss, 1951) (AGA)の典型例を経験した.本例の検討を通じて具体的にAGAと周辺疾患との関係ならびに成因について考察した.症例概要: 16才,男子高校生.家族歴にアトピー素因濃厚.既往歴では小児喘息(3才), 1975年1月より喘息, L&ouml;ffler症候群(好酸球数500~1200/mm<sup>3</sup>)を反復. house dust, Candida,ソバガラに皮膚試験強陽性のため,減感作療法開始,その1週後より著明な好酸球増多(最高33,700/mm<sup>3</sup>),浮腫,発熱,腹部症状(腹痛,下痢,血便),皮下結節,筋炎, mononeuritis multiplex,関節炎が出現.減感作療法中は副腎皮質ホルモン無効,中止後は奏効し諸症状は消失ないし改善した.皮下結節の生検像で壊死性血管炎と肉芽腫性病変を認めAGAと診断. (1)壊死性血管炎, (2)好酸球性肺炎, (3)好酸球増多症の三つの方向からAGAと周辺疾患との関係を論じた.本例では減感作療法が血管炎のtriggerとなつた可能性が考えられ,さらに好酸球数,血清IgE値, RF, &gamma;-globulin値が血管炎の進展,経過に相関して変動したことから免疫学的機序の介在が推定された.具体的にはIgE抗体による局所性(気道) I型反応から,減感作を機会に全身性I型反応, III型反応(IgE抗体も液相で作用する)がみられたものと考え,このような立場で, AGAの成因について論じた.
著者
加納 正 丹羽 靱負 山口 希
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.1353-1360, 1975
被引用文献数
1 1

IgA単独欠損症は健康人にみられることがあるが,多くの場合各種の疾患に随伴する.しかし,それらの疾患との関係は不明であり,今日広く採用されているWHO分類でもIgA単独欠損症は原発性免疫不全症の一病型として取扱われている.今回著者らの示した3症例,すなわち(1) 1947年生女性, SLE慢性甲状腺炎, (2) 1913年生男性,結節性動脈周囲炎(疑), (3) 1952年生男性,髄膜腫による症候性癲癇・Recklinghausen病などでは,いずれもIgA単独欠損症が経過中に発現したことを確認し得たものである.現在までに,同様の症例は2例知られているが,単なる事実の確認に終り,免疫学的検索がなされていないし,その成因についても考察されていない.著者らの3症例はIgA単独欠損症の獲得型が明らかに存在することを示す貴重な症例である.また少なくとも症例3ではIgA欠損が可逆的であることも示された. IgA単独欠損症のすべてが原発性もしくは先天性であるとする見解は否定された.獲得型の成因にかんしては, (1)抗IgA抗体による自己免疫機序(続発性獲得性), (2)薬剤(この場合抗癲癇剤)の直接関与もしくは自己免疫機序を介しての関与(続発性獲得性), (3)原因不明(原発性獲得性)などが考えられた.
著者
加納 正雄
出版者
The Japanese Society for the History of Economic Thought
雑誌
経済学史学会年報 (ISSN:04534786)
巻号頁・発行日
vol.33, no.33, pp.90-100, 1995 (Released:2010-08-05)
参考文献数
15

Keynes' argument that income can change without any change in the quantity of money appears in his Treatise on Money. This argument is essentially concerned with the theory of interest and the equilibrium condition in the money market, but Keynes' argument in the Treatise concerning these matters has not been sufficiently analyzed. The purpose of this paper is to clarify these matters and investigate the significance of the argument in the Treatise.In the Treatise, the total demand function for money is not specified and the money market is not theoretically related to the goods market. Then the theory of interest in the Treatise is not complete, but it can be regarded as a theory which necessarily developed into the liquidity preference theory of interest in the sense that the interest rate is governed by the excess demand for money. Furthermore, the Treatise contains valuable analysis of many subjects which are not covered in the General Theory, such as the transaction demand for money in disequilibrium and the behavior of banks.
著者
加納 正雄
出版者
The Japanese Society for the History of Economic Thought
雑誌
経済学史学会年報 (ISSN:04534786)
巻号頁・発行日
vol.30, no.30, pp.63-70, 1992 (Released:2010-08-05)
参考文献数
11

The purpose of our paper is to investigate the aggregative structure of assets in Keynes' General Theory and to investigate the relation between this structure and Keynes' view about the effectiveness of monetary policy. According to Leijonhufvud, Keynes aggregated the long-term assets including financial assets and physical assets as non-money assets. Then relative price of bonds and capital goods is constant, and the interest elasticity of investment is high. We examine Leijonhufvud's this view, and investigate how Keynes considered the differences in non-money assets.In General Theory, as a basic model, the relative prices of non-money assets are not treated as endogenous variables, then in this sense, non-money assets are aggregated, but this is rather convenient treatment for simplicity, and this does not mean the differences in non-money assets are not important. We consider that changes in estimate of risk and liquidity of non-money assets are important factors in Keynes' view about the effectiveness of monetary policy, even if these are not theoretically analyzed.
著者
森田 昂 岡田 隆道 大賀 辰次郎 加納 正 岡田 弘
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.397-403, 1979
被引用文献数
1

系統的アミロイド症を伴つた骨髄腫に2種の癌を併発した希な症例を経験した.またこの例は6年前の喉頭癌の手術時にすでに単クローン性γ血症をみとめ,その後次第にM成分量の増量と共に骨髄腫の病像を完成した点でも興味がもたれた.症例: 70才,男性. 64才時に喉頭の扁平上皮癌で摘除をうけ,癌周囲組織に形質細胞浸潤が目立つた.血清総蛋白7.8g/dl中fast γ域に1.8g%のM成分を認めたが放置. 5年後心不全症状で緊急入院.血清総蛋白10.4g/dl中IgG-λ型のM成分が3.7g%を占めたが,この時期では尿BJ蛋白は陰性.骨髄中の形質細胞は未熟型のものも含めて4.8%で,骨髄腫の診断を確定しえなかつた.その後右足にBowen病を発症し,その切除標本の癌周囲組織には形質細胞浸潤はなかつた.入院7カ月後に至つてBJが出現,すなわちBJ escapeがみられ,さらに血清蛋白M成分の漸増と正常γ-glの著減,骨髄中異型形質細胞の著増をみとめて骨髄腫と診断した. prednisolone, cyclophosphamideの併用治療を開始し著効を見たが,心不全が増強し死亡した.剖検により全身諸臓器の骨髄腫細胞浸潤と,心,肝,脾,腎,副腎などにアミロイド沈着が認められた.本例の検討を通じて単クローン性γグロブリン血症と癌の関係,骨髄腫・アミロイド症・癌の複雑な合併にみられる免疫学的背景,骨髄腫の自然史などについて考察した.なお, Bowen病は種々の悪性腫瘍を合併するが骨髄腫を合併した報告例はない.本例が最初である.
著者
山口 直彦 加納 正男 池田 公子 木島 勲
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.114-119, 1984
被引用文献数
4

西洋わさび粉,芥子粉の抗酸化力及びトコフェロール製剤に対する相乗性を試験し,次の結果を得た。<BR>(1) 芥子粉は西洋わさび粉に比較して強い抗酸化力を示した。<BR>(2) 酵素ミロシナーゼを失活し,アルキル芥子油の生成を抑えると,芥子粉,西洋わさび粉の双方に抗酸化力の増大が認められた。<BR>(3) 芥子油配糖体の主成分であるシニグリンには抗酸化力が認められるが,その効力は弱い。<BR>(4) 芥子粉の脂質は抗酸化力を示さなかった。しかし,脱脂によって,芥子粉の抗酸化力は約2倍の増大が認められた。<BR>(5) 芥子たんぱく質は芥子たんぱく質分離液より抗酸化力が強い。しかし,芥子たんぱく質は芥子粉より効力が弱かった。<BR>(6) 芥子粉(加熱)はトコフェロール系抗酸化剤の2倍以上の抗酸化力を示した。<BR>(7) 芥子粉(加熱)は味そとは相加的に,トコフェロールとは相乗的に作用し,抗酸化力の著しい増大が認められた。<BR>(8) 芥子粉(加熱)を添加したビスケットを試作し,保存試験を行った結果,芥子粉添加ビスケット中のラードの酸化安定性は著しく向上した。
著者
久富 健介 加納 正規 池谷 健佑 片山 美和 三科 智之 相澤 清晴
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 38.51 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.17-20, 2014-12-05 (Released:2017-09-22)

本稿は,1台の赤外線プロジェクタと2台の赤外線カラーカメラで構成されたカメラアレーを用いて,被写体の奥行きを推定する手法を提案する.プロジェクタは赤外線のドットパターンを照射し,赤外線カラーカメラは,パターンが投影された赤外線画像とパターンのないカラー画像を同時に撮影する.奥行きは,赤外線ステレオ画像から生成したCost volumeに対して,Cross-based Local Multipoint Filter (CLMF)によるCost volume filteringで処理した上で推定する.この際,カラー画像はCost volume filtering処理のガイド画像として用いる.また,視差値を選択する際に,水平ライン毎のグラフカット処理を導入することにより,ベースラインの長いステレオ画像からの奥行き推定を安定化した.実空間で撮影した画像から奥行きを推定する実験を行い,提案手法の有効性を示す.
著者
加納 正巳
出版者
静岡女子大学
雑誌
静岡女子大学研究紀要 (ISSN:02863375)
巻号頁・発行日
no.20, pp.p220-206, 1986