著者
内野 治人
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
血液と脈管 (ISSN:03869717)
巻号頁・発行日
vol.1, no.8, pp.1085-1099, 1970-10-25 (Released:2010-08-10)
参考文献数
21
被引用文献数
1
著者
加納 正 大野 陽一郎 右京 成夫 内野 治人 村田 安雄
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.1461-1469, 1977
被引用文献数
1 1

喘息に始まり,約1年半の間にL&ouml;ffler症候群を反復した後,系統的血管炎による多彩な症状を呈したallergic granulomatous angiitis (Churg and Strauss, 1951) (AGA)の典型例を経験した.本例の検討を通じて具体的にAGAと周辺疾患との関係ならびに成因について考察した.症例概要: 16才,男子高校生.家族歴にアトピー素因濃厚.既往歴では小児喘息(3才), 1975年1月より喘息, L&ouml;ffler症候群(好酸球数500~1200/mm<sup>3</sup>)を反復. house dust, Candida,ソバガラに皮膚試験強陽性のため,減感作療法開始,その1週後より著明な好酸球増多(最高33,700/mm<sup>3</sup>),浮腫,発熱,腹部症状(腹痛,下痢,血便),皮下結節,筋炎, mononeuritis multiplex,関節炎が出現.減感作療法中は副腎皮質ホルモン無効,中止後は奏効し諸症状は消失ないし改善した.皮下結節の生検像で壊死性血管炎と肉芽腫性病変を認めAGAと診断. (1)壊死性血管炎, (2)好酸球性肺炎, (3)好酸球増多症の三つの方向からAGAと周辺疾患との関係を論じた.本例では減感作療法が血管炎のtriggerとなつた可能性が考えられ,さらに好酸球数,血清IgE値, RF, &gamma;-globulin値が血管炎の進展,経過に相関して変動したことから免疫学的機序の介在が推定された.具体的にはIgE抗体による局所性(気道) I型反応から,減感作を機会に全身性I型反応, III型反応(IgE抗体も液相で作用する)がみられたものと考え,このような立場で, AGAの成因について論じた.
著者
井上 文彦 古川 裕夫 内野 治人
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.31-36, 1986-02-28 (Released:2009-01-22)
参考文献数
20

潰瘍性大腸炎患者大腸粘膜におけるラクトフェリンの分布を,螢光抗体法を用いて検討した.また,同時にペルオキシダーゼ染色を施行し,両者の分布を比較した.患者大腸粘膜の内視鏡的正常部では,ラクトフェリン陽性細胞とペルオキシダーゼ陽性細胞は,ともにほとんどみとめられず,内視鏡的境界部では,両者とも散在性にみられ,内視鏡的病変部では,両者とも多数みとめられた.正常対照者大腸粘膜では,両者ともほとんどみとめられなかった.また,ギムザ染色により,ペルオキシダーゼ陽性細胞は好中球であることが強く示唆された.静菌的,殺菌的作用を有する強力な鉄結合性蛋白の1つであるラクトフェリンは,主要な局所粘膜防御因子であるs-IgA系の減少した潰瘍性大腸炎大腸粘膜で,いわば代償的に出現,増加し,局所粘膜における感染防御機構の面において,何らかの意義を有するものと考えられた.
著者
白川 茂 平野 正美 難波 紘二 本庶 佑 畑中 正一 内野 治人
出版者
三重大学
雑誌
がん特別研究
巻号頁・発行日
1988

多数例のリンパ系腫瘍の免疫表現型と免疫遺伝子型の対比検討から、一般に成熟型腫瘍では両者の良好な相関があり、T・B細胞系統性及びクローン性の確実な指標として、遺伝子型によるDNA診断の有用性が確立されたが、未熟型腫瘍では表現型・遺伝子型不一致例、また二重遺伝子型を示す例があり、腫瘍隋伴異常再構成ないし未分化幹細胞段階での不確定な細胞分化様式の可能性が示された。ことにB細胞分化の初期では有効なIg遺伝子産物産生に至るまでに、活発なIgHV、D、J領域遺伝子の再構成及び転写が行われ、就中B前駆細胞の最も分化した段階のCD20(+)c-ALLに二重遺伝子型の頻度が最も高く、この事象がcommon recombinase活性の増大によりTcR遺伝子再構成が誘発された可能性によることが示唆された。またT細胞腫瘍につき複数のprobeを用いてTcRβ鎖遺伝子再配列の様式を検討し、T-ALL、T-CLLの一部に異常再配列を認め、recombinase lovelでの誤りによる可能性が示唆された。また検索症例のなかで、Tリンパ芽球性リンパ腫から異系統の骨髄球系白血病に移行した症例で、biphenotypicであるにも拘らず、腫瘍細胞が単一細胞起源であることを分子生物学的に立証した。また我が国の悪性リンパ腫の特徴の一つである発生頻度の少ない濾胞性リンパ腫につき、特徴的な染色体異常t(14、18)の確認と、本症に特異的とされるbcl-2遺伝子再構成がmajor及びminor切断点領域ともに、欧米に比べ有意に低率であることが判明した。さらに血管免疫芽球性リンパ節症(AILD)が我が国では、Bリンパ腫よりTリンパ腫前病変の可能性が遺伝子型から同定され、ことに多様な生物活性をもつIL-5遺伝子転写の著明な増強をみるAILD-T症例を認め、当該リンパ節の多彩な病変との関連が考えられた。その他、骨髄stroma初代培養系を用いて、praーB細胞株からB細胞系及びmyeloid系へ分化誘導される培養系が確立され、またsublineからIL-5のautocrineによる腫瘍化細胞株が樹立された。