著者
大関 由貴 奥村 匡子 神吉 宇一 Okumura Kyoko 神吉 宇一 Kamiyoshi Uichi
出版者
神奈川大学 国際経営研究所
雑誌
国際経営フォーラム (ISSN:09158235)
巻号頁・発行日
no.25, pp.239-279, 2014

日本では,移民政策は検討しないとする政府の公式見解にも関わらず,外国人の入国は増加し,定住化が進んでいる現状がある.人口減少や労働力不足が深刻な社会問題となりつつある中,今後も外国人の受け入れは増加が見込まれる.外国人の十全な社会参加に欠かせない社会統合を考えるとき,重要な役割を担う日本語教育は,現在どのような研究的課題を抱え,今後,どこを目指していくべきなのだろうか.本稿では,このような問題意識に立ち,経済連携協定により来日する介護人材の受け入れ問題を対象に,日本語教育および関連領域における研究の現状を整理し,それらを対比させることによって,日本語教育研究の現状と課題を浮き彫りにすることを目的とした.分析の結果,外国人介護人材に関する日本語教育研究は,国家試験分析研究の偏重による弊害,就労現場研究の必要性,制度設計や社会の支援体制整備を目指す研究の必要性という三つの課題が明らかになった.査読論文
著者
大関 由貴 遠藤 郁絵
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.152, pp.61-75, 2012 (Released:2017-02-17)
参考文献数
12
被引用文献数
1

本稿は,教師が「自律的な学びとは何か」という問いを持ち,漢字の一斉授業を対象に自らの実践を振り返り,分析を行った実践報告である。意思決定の主体と教師の学習観の変容に焦点を当て分析した結果,初期の教室では教師が学習を設計,主導していたのに対し,学習活動が変化すると,学習者が自身に合った方法や内容を考えながら実践するという意思決定が行われていたことが明らかになった。また,学習過程の観察を通し,教師の関心は学習者主体の学びへと移り,次第にそれを尊重する態度が生まれていった。これらの分析結果を踏まえ,自律的な学びの支援者として,教師には1)学習者の主体的な学びを理解すること,2)そのために彼らの学習過程から学ぶこと,3)学習者が意思決定を行いやすい協働的な学習環境を設計することが求められると考えた。