著者
天沢 逸里
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.212-218, 2020-04-10 (Released:2020-04-10)
参考文献数
23

電子書籍リーダーは1台に数千もの書籍を所蔵でき,液晶ディスプレイよりも格段に消費電力が少ないことから,読書における環境負荷を削減するポテンシャルを持つ.本1冊あたりで比較すると,紙の本よりも電子書籍の方が環境面で優位であるという報告がある.しかし,電子書籍を読む多くの人が紙の本も同時に読んでおり,電子書籍を読むようになって読書量が増加する可能性もあることから,電子書籍リーダーが必ずしも環境にやさしいとは限らない.本解説では,読書の環境影響において電子書籍端末がもたらす波及効果に焦点をあて,端末の普及にともなう読書習慣の変化を議論する.既往研究,アンケート調査,社会実験の結果を交えて,電子書籍リーダーが環境負荷を減らす条件について述べる.
著者
天沢 逸里 文 多美 中谷 隼
出版者
日本LCA学会
雑誌
日本LCA学会誌 (ISSN:18802761)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.161-173, 2019 (Released:2019-04-25)
参考文献数
42

近年、シェアリングエコノミーは経済活性化、社会問題の解決、さらに環境面の効果も期待できるとして脚光を浴びているが、実際に従来の経済活動から環境負荷を削減できるかどうかは不透明である。シェアリングエコノミーが持つ環境負荷削減ポテンシャルを明らかにすべく、本稿ではまず従来から現代に至るまでのシェアリングの特徴を集成し、シェアリングエコノミーにおける概念フレームワークを把握する。次に、LCAによるシェアリングエコノミーの評価の枠組みを整理し、シェアリングが普及することによる環境負荷の増減要因を具体化する。その増減要因に基づき、シェアリングに伴う環境負荷や資源消費の増減がどういった側面から評価されているのか、ライフサイクル思考に基づいて国内外の評価事例をレビューする。