著者
天笠 雅章 糸井川 栄一 梅本 通孝
出版者
Japan Association for Fire Science and Engineering
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2_3, pp.33-48, 2012 (Released:2013-09-11)
参考文献数
13

本研究は, 東北地方太平洋沖地震に伴う津波に起因した火災の延焼動態及び消火活動実態に関するヒアリング調査研究である。津波火災発生地において, 火災延焼範囲を調査するとともに, 映像分析, 住民への聞き取り調査から延焼動態を明らかにした。また, 消防職員に対し面接調査を行い, 消火活動障害に関して得られた証言について, KJ法を用いて分析した。その結果, 津波火災現場には, 移動の困難性や消防水利確保の困難性, 放水活動の困難性などの要因が消火活動障害を構成しており, 再来襲する津波による二次災害を避けるために, 消防隊が火災現場から退避しているときに火災が急速に拡大していることが明らかとなった。