著者
鈴木 久男 伊東 史朗 天納 聖佳
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 人文科学系列 (ISSN:02879727)
巻号頁・発行日
no.47, pp.492-466, 2014-03

勝林院は大原北東部の山麓に位置する天台宗の寺院である。周辺には、三千院や後鳥羽天皇陵を始め、勝林院を管理する実光院や宝泉院などがある。勝林院は、平安時代に寂源によって中興されたといわれる寺院とされ、また天台声明の根本道場としても著名である。そして、鎌倉時代に浄土宗の法然は、ここ勝林院において談義を行ったため、浄土宗の信者からも厚い信仰を集めている。 平成二十四年秋、京都産業大学むすびわざ館ギャラリーは、平成二十五年に中興して千年という大きな節目を迎える勝林院の歴史や文化財の展示を計画した。そこで京都産業大学日本文化研究所は研究活動の一環として、勝林院本尊の阿弥陀如来像の調査を勝林院の協力を得て実施した。さらに平成二十五年には勝林院に所蔵されている文化財の整理作業を関係者のご理解により実施することができた。 本報告は平成二十四年度に実施した阿弥陀如来像の調査と平成二十五年度に行った整理作業のなかで明らかになった成果の中間報告である。なお執筆の分担は文末に( )で表記した。