著者
柴田 浩気 田中 晴之 大谷 惇 久保 政之 長谷川 淳 天野 逸人
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.1519-1521, 2021 (Released:2021-11-03)
参考文献数
5

Because the coronavirus disease 2019 (COVID-19) pandemic is still rampant, vaccination is being promoted worldwide. However, the safety of various COVID-19 vaccines remains poorly understood. We herein report the case of a 37-year-old woman who experienced thrombocytopenia following BNT162b2 mRNA COVID-19 vaccination. The patient presented with purpura on the extremities 10 days after the first vaccination. She had marked thrombocytopenia and no thrombosis. Thrombocytopenia resolved spontaneously. Given the possibility of occurrence of post-vaccination thrombocytopenia, vaccinated persons should be instructed to consult a medical institution if they experience bleeding symptoms.
著者
谷口 夏子 福岡 篤彦 天野 逸人 岡村 英生 竹中 英昭 森井 武志 岡本 行功 吉川 雅則 古西 満 塚口 勝彦 濱田 薫 米田 尚弘 成田 亘啓
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR TB AND NTM
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.367-371, 2002-04-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
7

われわれは膿胸関連リンパ腫の症例を経験したので報告する。患者は67歳男性で左側胸部腫脹と疼痛で受診した。既往としては6歳時に肺結核, 24歳時に結核性胸膜炎に罹患していた。生検標本の組織学的検査の結果, 悪性リンパ腫びまん性大細胞B細胞型と診断した。THP-COP (THP, CY, VCR, PSL) による化学療法を施行し徐々に胸痛と腫脹は改善し, 現在維持療法継続中である。また, 分子生物学的見地から膿胸壁のEBウイルス感染を証明した。悪性リンパ腫を併発した結核性慢性膿胸症例の全例にEBウイルスの感染が証明されたとの報告があり, EBウイルス陽性の結核性膿胸の患者ではより注意深く検査を進める必要がある。
著者
岡橋 望 星野 永 久保 政之 長谷川 淳 田中 晴之 天野 逸人
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.1657-1662, 2019 (Released:2019-12-27)
参考文献数
11

症例は71歳男性。2015年10月に形質細胞腫を発症し,第5胸椎と第3腰椎の腫瘤に放射線照射を行い,経皮的後方固定術を行った後,2016年1月からlenalidomide,dexamethasone(Ld)療法を開始した。9コース終了後の2016年10月から心窩部不快感,顔面に丘疹が出現し,FDG-PETを撮影したところ,十二指腸水平脚と右肺下葉多発結節影にFDG集積が認められた。皮膚生検,十二指腸水平脚の潰瘍病変生検,気管支鏡での擦過細胞診のいずれも,Grocott染色陽性の胞子が認められ,播種性クリプトコックス症と診断した。播種性クリプトコックス症は脳髄膜炎を起こすことが多いが,消化管病変を呈することは極めて稀である。消化管クリプトコックス症の基礎疾患はAIDS,血液腫瘍,危険因子としてステロイドや免疫抑制剤投与があり,食道,胃十二指腸,小腸,結腸いずれにも病変を呈する。腹痛,血便,消化管穿孔などで発見されるが無症候性のこともあり注意が必要である。