著者
天願 俊穂 中須 昭雄 村上 隆啓 安元 浩 八幡 浩信 本竹 秀光
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.73, no.11, pp.2778-2781, 2012

症例は55歳,男性.道路横断中にはねられ受傷し当院救急センターに搬送された.受診時はショックバイタルで意識障害を伴っていた.精査にて頭蓋骨骨折,下顎骨骨折,胸椎横突起骨折,多発肋骨骨折,胸部大動脈損傷,両側肺挫傷,右気胸,肝損傷,腹腔内出血,骨盤骨折を認めた.造影CTにて恥骨後面に造影剤の漏出像認めたため経カテーテル動脈塞栓術を行った.同時に大動脈損傷に対するステントグラフト留置術も施行した.術後,脳の高次機能障害は残存したが歩行できるまで回復し,さらなるリハビリテーション行うために転院した.術後,約6カ月後の胸部造影CT検査にてステント留置部位の異常は認めておらず脳損傷や肺挫傷,骨盤骨折を合併した大動脈損傷の治療法として有用であることが示唆された.