著者
部坂 弘彦 太田 史一 松井 真人 森山 寛
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.62-70, 1997-02-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
23

気管内挿管に伴う喉頭, 気管合併症として咽喉頭痛, 喉頭浮腫, 反回神経麻痺, 喉頭肉芽腫, 喉頭横隔膜症, 気管狭窄, 気管食道瘻について症例を呈示し, その原因, 診断, 治療などについて報告した。このような喉頭, 気管損傷は未然に予防することが重要で, 挿管技術の熟練, 最良の気管内チューブの選択, カブの位置および圧のチェック, 挿管期間中の喉頭, 気管の保護が必要である。また, 治療に関してもその病態がさまざまであるから, それぞれに最適な治療方針で臨まねばならない。
著者
辻 富彦 山口 展正 八代 利伸 関 哲郎 島田 千恵子 太田 史一
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.341-347, 1994-06-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
23

後部副鼻腔嚢胞は鼻症状の乏しいことが多く, その症状の大半は眼症状, 頭痛のように隣接組織に起因するものである。今回我々は30歳男性で持続する三叉神経痛を訴えた原発性蝶形骨洞嚢胞の1症例を報告した。本症例は脳神経外科を受診, MRIにて嚢胞が指摘され当科を紹介された。嚢胞は右蝶形骨洞から右翼口蓋窩および眼窩外側部に進展していた。内視鏡下鼻内手術にて嚢胞を開放すると三叉神経痛は消失した。三叉神経第2枝の刺激症状は嚢胞が翼口蓋窩へ浸潤していたためと推定された。後部副鼻腔, 翼口蓋窩のような深部組織の診断にはMRIが有用であると考えられた。とくに副鼻腔ではT2強調像を用いれば炎症性病変と腫瘍性病変の鑑別が可能である。