著者
太田 孝子
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学留学生センター紀要
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.23-43, 2003-03

淑明高等女学校は,1906年5月,朝鮮李王家の高宗皇帝妃と日本人淵沢能恵の協力によって,朝鮮人女子のために京城に創設された女学校である。植民地下の朝鮮において,朝鮮人と日本人の協力によって創られた私立高女は淑明高女が唯一のものである。しかし,日本人教師が多かったこともあり,朝鮮人女子のために創られた当初の理念や目的と,実際の学校運営の間にはしばしば齟齬(そご)をきたすことがあり,朝鮮教育史に残るような同盟休校事件(「'27淑明抗日盟休運動」)を始めとする抗日学生運動が幾度となく起こった。本稿では,淑明高女で起こった抗日学生運動関連の史資料を検証することによって,運動の目的と実態,運動を巡っての日本人教師,朝鮮総督府の反応を明らかにし,植民地下の女子中等教育が内包する課題を指摘した。
著者
太田 孝子 福田 須美子 福田 須美子
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

植民地下朝鮮にあった高等女学校を卒業後、内地に留学した経験を持つ7名の朝鮮人女性にインタビュー調査を実施し、留学の経緯及び内地での留学生活に関する具体的証言を得た他、11校分の高等女学校史の翻訳、主要人物の伝記等の翻訳により、高等女学校毎の内地留学の実態を把握した。また、「鴻嬉寮」(主に李王妃が創設した淑明高等女学校と進明高等女学校からの内地留学生のために、李王家が東京市渋谷区若木町に開設した寮)に関する文献や入寮者2名に対するインタビュー調査により、鴻嬉寮の概要を究明した。