著者
太田 訓正
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.13-17, 2014-03-17 (Released:2015-07-02)
参考文献数
7

再生医療を科学的に支えている重要な分野として細胞の基礎研究が挙げられるが、その発展がなければ、今後の再生医療の展開を期待することは難しい。ヒトES 細胞やiPS 細胞などの多能性幹細胞の開発により、これらの細胞の臨床応用への道が見えてきたが、ES 細胞には倫理的問題や移植時の免疫拒絶反応が伴い、iPS 細胞においては将来の腫瘍形成への不安を完全には払拭できていない。私たちのグループは、ヒト皮膚細胞に乳酸菌を取り込ませることで、多能性細胞を創り出すことに成功した。本稿では、この発見に至った経緯と実際の研究データを紹介し、今後の研究展開について解説した。
著者
太田 訓正
出版者
熊本大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本申請では、Human Dermal Fibroblasts(HDF細胞)からリプログラミング物質の同定を目的とした。乳酸菌を超音波破砕処理後、クロマトグラフィーを繰り返し、細胞塊形成能を持つ分画を同定した。その分画を用いて、MALDI-TOF-MS解析を行い、リプログラミング物質の同定を試みた。私たちは、リプログラミング物質の同定に成功し、これをHDF細胞に作用させると乳酸菌を用いた時と同様に細胞塊を形成した。これらの細胞塊は脂肪細胞、骨細胞、神経細胞などへと分化したことから、乳酸菌由来リプログラミング物質は、宿主HDF細胞の遺伝子発現をコントロールしていることが示唆された。