著者
奈良 侑画 戸田 和之
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 = The University Bulletin of Chiba Insitute of Science (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.13, pp.97-102, 2020-02-28

慢性腎不全の患者が透析を行うためには,バスキュラーアクセスという特殊な血管を前腕に構築する必要があり,バスキュラーアクセスの中でも内シャント法が第一選択となっている.しかし,内シャント法による副作用として狭窄の発生が問題になっており,血行力学的要因が関係していると言われてきた.吻合部角度を変化させることで狭窄の発生を抑える試みが,これまで様々な研究者により取り組まれてきたが,静脈の柔軟性は考慮されていない.そこで,内シャント法を模擬した柔軟壁Y字管の2次元拍動流れを,数値流体力学手法(Computational Fluid Dynamics, CFD)を用いて再現し,速度分布と壁面せん断応力の関係や圧力損失を調べた.その結果,吻合部角度を上流側に傾けることで,流れの局所的な不規則が弱まり,せん断応力や圧力損失が小さくなったことより,狭窄の発生を抑えられる可能性が示唆された.