著者
瀧澤 毅
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 = The university bulletin of Chiba Institute of Science (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.3, pp.149-160, 2010-02

マスクを着用することがインフルエンザ感染予防に有効であるというエビデンス(科学的根拠)があるのかEBMの方法により検討した。そのため本学図書館から利用できる医中誌, JMEDPlus, 医学・薬学予稿集データベース、日経メディカルオンライン、MEDLINE, Cochrane Libraryを検索し、インフルエンザと呼吸器感染症に対するマスク着用の予防効果について、臨床論文を抽出しエビデンスを評価した。マスク着用がインフルエンザや他の感染症予防に有効であることを検証した推奨度A、エビデンスレベル1bのランダム化比較試験のエビデンスはない。これまでマスク着用のインフルエンザ感染症予防を検証するランダム化比較試験が香港とシドニーで実施されたが、いずれもマスク着用と非着用のインフルエンザ感染発症率に統計的有意差はなかった。推奨度B、エビデンスレベル2aの観察研究ではインフルエンザ予防に有効であることを示す非ランダム化比較試験とコホート研究のエビデンスがある。また、SARS感染予防に有効である可能性を示唆する推奨度B,エビデンスレベル3aの症例対照研究のメタアナリシスによるエビデンスもある。一方、手洗いの小児肺炎などの感染症予防効果については、推奨度A,エビデンスレベル1bのランダム化比較試験のエビデンスがある。WHOや米国CDCのインフルエンザ予防ガイドラインはマスク着用よりも手洗いを重視しているが、これは両者の予防効果のエビデンスレベルの違いを反映させたものである。
著者
植木 岳雪
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 = The University bulletin of Chiba Institute of Science (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.11, pp.75-82, 2018-02-28

著者が今までに受け取った79通の不採用通知の文面を分析した結果,研究者の不採用通知は平成22~25年の方が平成11~14年よりも「お祈り」または「祈念」と,「ますます」という表現が含まれるものの割合が増加した。研究者の不採用通知は,ビジネス文書のような定型の文面を主とし,より簡素で事務的なものになってきたことがわかった。その要因として,1つの公募に対する応募者数が増えたため,採用側が応募者に不採用通知を送る際の手間を少なくするようになったことが考えられる。
著者
衛藤 廣隆 藤井 広志 船倉 武夫
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 = The university bulletin of Chiba Institute of Science (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.5, pp.35-54, 2012-02

阪神・淡路大震災と東日本大震災の記録から抽出した7項目(図書館の避難所利用、応援出務、避難所等でのお話会、避難所等への配本、支援情報の提供、震災関連資料の収集、自館の復旧作業)を大災害時に地域の公共図書館が行った特徴的な業務であると捉え、それぞれを細かく検証した。その検証により、地域の公共図書館の活動が被災地の住民の復旧や生活の維持に貢献するものであることが確認された。 さらに、被災した図書館の支援が図書館関係者によって行われることを前提として、図書館関係者81名に対し、被災地の読書や図書館活動を支援することに関するアンケートを実施した。比較するために行った教員85名、学生31名へのアンケートと併せて分析した結果、勤務地や自宅において行う支援を指向する傾向が確認され、さらに図書館における支援に関する問題が明らかになった。これらの検証によって、被災した公共図書館を支援する体制を検討する際に有益な知見を得た。この知見をもとに新たな支援体制の概念図を作成した。
著者
糟谷 大河 有馬 裕介 百原 新
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 = The University Bulletin of Chiba Insitute of Science (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.12, pp.187-192, 2019-02-28

大阪府泉佐野市の大阪層群最下部の炭質層,および同枚方市の大阪層群上部,Ma8海成粘土層より産出した3点の子嚢菌類の化石について,形態的特徴を観察した.その結果,子座および子嚢殻の形態的特徴に基づき,これらは現生の分類群であるクロコブタケ属との類似性が示された.また,これら3点の化石の子嚢殻と子嚢胞子の形態にはそれぞれ違いが認められ,これらは異なる分類群である可能性が示唆された.
著者
河田 みどり 池邉 敏子
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.103-110, 2013-02-28

産後の疲労の蓄積は、産後の回復を遅らせ、免疫の低下や全身の健康状態の低下を招く恐れがあると考える。本研究は、疲労と授乳との関連を明らかにし、看護のあり方の示唆を得ることを目的として行った。自記式質問紙および自覚症状調査票(日本産業衛生学会産業疲労研究会)を用いて、分娩退院時、1か月時、3か月時に継続調査した。 自覚症状は、1か月時が有意に多かった(p<0.05)。自覚症状の訴え項目の中で上位3項目は、3時期を通じて「ねむい」、「腰がいたい」、「肩がこる」であった。退院時は、睡眠時間が長くなると自覚症状は有意に減少した(r_S=-0.601, p<0.01)。1か月時の自覚症状と夜間の授乳回数(r_S=0.412, p<0.05)、3か月時の自覚症状と一日あたりの授乳回数(r_S=0.484, p<0.05)との間には、有意な正の相関があり、授乳回数の増加は自覚症状を増加させた。また、退院時の自覚症状と乳頭亀裂や痛みとの間には、乳頭亀裂や痛みのある人のほうが、自覚症状が有意に多かった(p<0.05)。授乳回数の増加や睡眠時間の減少が、疲労、乳頭亀裂や痛みを増加させた可能性が推測された。 疲労の関連要因として、授乳回数や睡眠時間が考えられ、疲労の状態を考慮しながら母乳保育を進めていくことが重要と考える。また、乳頭亀裂や痛みの症状は、疲労の蓄積の一つの徴候としてとらえ、より注意深く退院後の母親の健康状態を継続看護していく支援体制が、必要であることが示唆された。
著者
戸田 博也
雑誌
千葉科学大学紀要 = The University Bulletin of Chiba Institute of Science (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.9, pp.23-34, 2016-02-28

イスラム教スンニー派過激派武装集団である「イスラム国」(IS)(以下、「イスラム国」とする)は、国際法上の「国家」と見なしうるのか。国際法上「国家」であると言うためには一定の成立要件が必要となる。まず、国際法上の国家の成立要件を論じる際に、多くの教科書や論文で引き合いに出されるのが、1933年の「国家の権利義務に関するモンテヴィデオ条約」第1条である。同条は、「国際法上の人格としての国はその要件として、(a)永続的住民、(b)明確な領域、(c)政府、及び(d)他国と関係を取り結ぶ能力を備えなければならない」と規定する。多くの日本における国際法の教科書が、この(a)から(d)の「4つの要件」を、諸国家に受け入れられた一般的な要件としている。ところで、国家領域の一部が分離独立する等により新国家が成立するという文脈で、「国家」になろうとする実体に対して、既存の国家による国家承認が行われる。既存の国家は国家承認を行う場合、当該4要件に従って判断することになるのであり、4要件を詳細に熟知しておく必要がある。ところが、日本の国際法学者による論文や教科書では、この4要件についてあまり詳細な議論がなされてきていない。したがって、本稿では、この4要件について詳細な分析・検討を行う。さらに、「イスラム国」は上記4要件を満たした存在なのだろうか。それとも、満たしていないのだろうか。この点も、考察の対象とする。本稿における検証の結果、以下のことが指摘できる。イスラム国は、モンテヴィデオ条約が示す国家の4要件、すなわち、①永続的住民、②明確な領域、③政府(実効的支配を行う政府)、④他国と関係を取り結ぶ能力(外交能力)、という要件から判断した結果、①と②の要件は満たしているが、③と④の要件は満たしていないと判断しうる。したがって、「イスラム国」は国際法上の「国家」ではないという結論に至る。
著者
小林 一樹 糟谷 大河
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 = The University Bulletin of Chiba Institute of Science (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.10, pp.53-56, 2017-02-28

千葉県版レッドリストで一般保護生物(準絶滅危惧種)とされている,リンドウ科の草本植物コケリンドウが銚子市に生育することを2016年に初めて発見した.確認された生育地は千葉科学大学マリーナキャンパス内のシバ草地1か所で,開花個体数は10~100個体の範囲であった.本種の生育地の状況から,人為的に植栽された形跡は認められなかった.また,今回発見された生育地は海岸を埋め立てて造成された土地であることから,造成時の土砂等に種子が混入し発芽して定着した可能性が推測される.今回発見された生育地では定期的に草刈りが実施されており,このことがコケリンドウの生育に適した環境を維持していると考えられる.
著者
植木 岳雪
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.11, pp.75-82, 2018-02

著者が今までに受け取った79通の不採用通知の文面を分析した結果,研究者の不採用通知は平成22~25年の方が平成11~14年よりも「お祈り」または「祈念」と,「ますます」という表現が含まれるものの割合が増加した。研究者の不採用通知は,ビジネス文書のような定型の文面を主とし,より簡素で事務的なものになってきたことがわかった。その要因として,1つの公募に対する応募者数が増えたため,採用側が応募者に不採用通知を送る際の手間を少なくするようになったことが考えられる。
著者
戸田 博也
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.9, pp.23-34, 2016-02

イスラム教スンニー派過激派武装集団である「イスラム国」(IS)(以下、「イスラム国」とする)は、国際法上の「国家」と見なしうるのか。国際法上「国家」であると言うためには一定の成立要件が必要となる。まず、国際法上の国家の成立要件を論じる際に、多くの教科書や論文で引き合いに出されるのが、1933年の「国家の権利義務に関するモンテヴィデオ条約」第1条である。同条は、「国際法上の人格としての国はその要件として、(a)永続的住民、(b)明確な領域、(c)政府、及び(d)他国と関係を取り結ぶ能力を備えなければならない」と規定する。多くの日本における国際法の教科書が、この(a)から(d)の「4つの要件」を、諸国家に受け入れられた一般的な要件としている。ところで、国家領域の一部が分離独立する等により新国家が成立するという文脈で、「国家」になろうとする実体に対して、既存の国家による国家承認が行われる。既存の国家は国家承認を行う場合、当該4要件に従って判断することになるのであり、4要件を詳細に熟知しておく必要がある。ところが、日本の国際法学者による論文や教科書では、この4要件についてあまり詳細な議論がなされてきていない。したがって、本稿では、この4要件について詳細な分析・検討を行う。さらに、「イスラム国」は上記4要件を満たした存在なのだろうか。それとも、満たしていないのだろうか。この点も、考察の対象とする。本稿における検証の結果、以下のことが指摘できる。イスラム国は、モンテヴィデオ条約が示す国家の4要件、すなわち、①永続的住民、②明確な領域、③政府(実効的支配を行う政府)、④他国と関係を取り結ぶ能力(外交能力)、という要件から判断した結果、①と②の要件は満たしているが、③と④の要件は満たしていないと判断しうる。したがって、「イスラム国」は国際法上の「国家」ではないという結論に至る。
著者
上野 宏共 地下 まゆみ 安藤 生大 坂本 尚史
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.75-86, 2010-02-28

屏風ヶ浦は太平洋の波により侵蝕された海蝕(かいしょく)崖(がい)であり、1966年に消波ブロックが設置されるまで長年に亘り侵蝕が続いていた。高さは50 mもあり長さは9 kmにおよぶ灰白色の崖は、東洋のド-バ-とも呼ばれている。イギリスとフランスに挟まれるド-バ-海峡のイギリス側の白亜の崖は約1億年前の白亜紀に海底に積もった石灰質化石からできた堆積岩で構成されており、景観としては屏風ヶ浦と似ているが、屏風ヶ浦の正面に露出する100万年程度前の堆積岩とは地質年代が大きく異なる。屏風ヶ浦の飯岡層は珪質シルト岩でド-バ-の石灰質の白亜の崖とは岩質が異なる。 屏風ヶ浦で見える地層は下位から名洗(なあらい)層・飯岡層・香取(かとり)層・関東ロ-ム層である。銚子市名洗町などの東側には粗粒砂岩からなる名洗層が分布する。屏風ヶ浦では名洗層の上部の一部が見えるに過ぎない。名洗層の形成年代は500万年前から200万年前とされている。引き続いて時間間隔を置かずにシルト岩からなる飯岡層が深海底で堆積した。この地層は屏風ヶ浦の崖下3分の2を占める灰白色の岩石であり、わずかながら西に傾斜しているのが層理面などから分かる。化石と古地磁気の結果を総合して、飯岡層の年代は200万年前から70万年前に亘っていることを明らかにした。香取層は不整合に飯岡層を覆う。屏風ヶ浦の東側では名洗層の上に直接香取層が乗る。香取層は黄褐色で厚さ約25 m、下部では細粒砂岩が多いが上部になるにつれて粗粒になり波の作用によって生じたクロスラミナ模様が地層中に残っている。香取層の年代は10万年前と推定されている。関東一円に分布する関東ロ-ム層は銚子地域でも同じで香取層を不整合に覆う。古富士火山や箱根火山からもたらされた火山灰が降下したものが関東ロ-ム層で、厚さは5〜6 mでとくに地表部では赤褐色を呈している。飯岡層までは深海底で堆積したが、香取層の頃には古東京湾はしだいに浅海となり陸化した所に関東ローム層の降下火山灰が積もったことになる。 香取層と関東ロ-ム層の境界がはっきりと分からないことが多いが、帯磁率の差によって簡単に識別できることが判明した。また、各地層に含まれる粘土鉱物についてX線回折装置を用いて検討し、興味ある事実を見いだした。
著者
今井 信行 鄭 昇姫
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 = The University Bulletin of Chiba Insitute of Science (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.13, pp.151-154, 2020-02-28

千葉科学大学薬学部薬学科では2008年に初めて韓国人留学生が入学した後、韓国人留学生の入学者が増加し、現在の在学人数は80人に達している。また、韓国で薬剤師になるためには、薬学系大学を卒業してから薬剤師国家試験に合格しなければならない。ただし、日本の薬剤師免許を持っている人は、卒業した大学のカリキュラム等の受験資格確認書類を韓国保健福祉部長官に申請して承認されれば、韓国の薬剤師国家試験を受験する資格が与えられる。
著者
横山 悟
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 = The University Bulletin of Chiba Institute of Science (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.9, pp.9-16, 2016-02-28

近年、学科試験を受けない形で大学に入学させる、アドミッションオフィス入学試験(AO入試)方式や推薦入試などによる入学者選抜方式の利用が増加している。主に高校における成績、各種部活動や委員会などの活動実績、志望理由、面接、小論文などにより、入学希望者を多角的に評価し、入学者を選抜する方法である。しかし、中央教育審議会の場などにおいて、これらのAO入試や推薦入試が大学生の基礎学力低下を引き起こしている可能性がある、と危惧する声も上がっている。このような状況に対し、本論文では、中学・高校・大学において必修科目とされている英語科目の成績を指標とし、入学試験の方式により分類した初年次学生の英語に関するテスト結果のうち、初年次前期の講義開始前に行った英語科目のプレースメントテスト、及び初年次前期の英語科目にて全学的に行った共通定期試験のスコアを項目反応理論による解析を通じて、入学試験区分によって実際の大学入学者の学力差が見られるのかを検証した。結果として、プレースメントテスト、定期試験ともに、AO入試の区分の学生のスコア平均は低く、学科試験を課す入試区分の学生のスコア平均が高かった。一方、学校法人内での特待生推薦入試の区分の学生はスコア平均が高く、一般入試やセンター試験など実質的に学科試験がある入学区分と同等の学力を持っていた。特待生推薦入試の区分では、全ての学生が特待生になるわけではないが、特待生の枠での採用が設定されていることから、学費の減免を目的として、優秀な学生が受験してきている可能性が示唆される。以上より、AO入試・推薦入試の区分が全て学力不足である、という短絡的な一般化には至らないことが確認され、特待生枠などの設定により、学科試験が課されずとも学力が高い学生を確保する方法がある可能性が示された。
著者
平尾 哲二 手束 聡子 鈴木 真綾 木村 美沙季 山下 裕司
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.10, pp.15-22, 2017-02

犬吠埼温泉は銚子市の観光資源の一つである。本研究では、犬吠埼温泉の有用性について科学的データ取得を目的として、3種類の源泉について成分分析するとともに、保湿効果について検討した。各源泉に含まれる主要元素についてICP発光分光法により調べたところ、いずれもClとNaを多く含むものの、それらの濃度やその他の元素濃度に差異が認められた。また、浮遊物質濃度の挙動などの特性値についても各源泉により違いが認められた。皮膚保湿試験は、実際の入浴シーンに近い足湯への入浴試験と、前腕に温泉試料を塗布する2種類の試験を実施した。皮膚保湿試験においては、千葉科学大学倫理委員会による承認を得た上で、被験者の同意を得て試験を実施した。犬吠埼ホテル足湯入浴後の角層水分量を足甲と下腿部で経時的に測定したところ、足湯入浴後は徐々に角層水分量は低下するが、その低下は対照であるお湯に比較して緩やかで、有意な保湿効果が認められた。また、前腕に3種類の源泉あるいは水を塗布して角層水分量を経時的に測定したところ、対照である水塗布に比較して、犬吠埼ホテルおよび犬吠埼観光ホテルの源泉では角層水分量が高く維持され、保湿効果が検証されたが、太陽の里の源泉では、今回の試験条件では、保湿効果は検証できなかった。これらの挙動は、各温泉に含まれるミネラル成分の多寡と比較的よく一致していた。源泉成分の特性解析や保湿効果の作用機序については未解明であり、今後の研究発展によりさらに犬吠埼温泉の有用性に関するエビデンス蓄積が期待される。
著者
木村 栄宏 粕川 正光 小原 健史 山崎 勝哉
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.51-56, 2008-02-29

最近の情報ネットワーク時代の進展を背景に、非公式な組織と個人間の結びつきを元に、大きな社会的流れが生じ、それらが企業再生に結びつき貢献する萌芽が見られている。例えば銚子鉄道における存続が社会的なニュースとなった際には、インターネットにおける公開掲示版や個々人のブログ、あるいはSNS内における議論の活発化により、個々人ができる支援の積み重ねにより、企業側も意図しない大きな動きで資金が集まり、安全更新投資が可能となった。本事例からの示唆として、今後の地方ローカル鉄道は、リアルの乗客に依存するのではなくバーチャルな乗客に依存することで新しい形に再生していくことも望まれること、また、組織の大小を問わず、企業再生には従業員個々人のシャドーワーク、あるいはシャドーワーク的な発想が今後ますます重要になるということの2点をあげることができる。
著者
戸塚 唯氏
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.7, pp.49-58, 2014-02

本研究の第1の目的は、恋人の性格特性に関する許容範囲について検討することである。第2の目的は、ある性格特性をある水準で持っている個人は同じ特性に関して同じ水準を恋人に望むのかについて検討することである。 調査参加者は日本人大学生212名(男性119名、女性93名)である。彼らに対して特性リストを呈示して、そこに掲載されていた性格特性がどの程度自分に当てはまるかを回答させた。これが現実自己得点である。また、それらの性格特性を恋人にどの程度持っていてほしいか(理想点、上限点、下限点)について回答させた。これが理想得点、上限得点、下限得点である。 分析の結果、許容範囲はほぼ全ての性格特性において男女で差がなかった。一方、特性ごとの許容範囲の広さは異なり、比較的許容範囲が広い特性(例えば「頭の良さ」)や狭い特性(例えば「意志の強さ」)があることが明らかとなった。また、現実自己得点と理想点、上限点、下限点について相関係数を算出したところ、男性データの「言葉づかい」、女性データの「言葉づかい」と「おしゃれ」でのみ中程度以上の相関が見られ、その他の特性については無相関、あるいは弱い相関しか見られなかった。
著者
戸塚 唯氏 伊勢﨑 翼
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 = The University Bulletin of Chiba Insitute of Science (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.12, pp.139-151, 2019-02-28

江戸時代、銚子は政治・流通・交通の要衝であり、人口も多かった。そのため、多くの寺子屋が設立された。寺子屋とは6歳から12歳頃までの庶民の児童を対象とした当時の教育施設である。本研究の目的は、江戸時代中期から明治初期にかけて銚子地域に存在した寺子屋師匠の数と名前を明らかにすることであった。様々な文献や筆子塚の記載を調査した結果、最終的に107名の寺子屋師匠の存在を明らかにした。また、寺子屋師匠の没年情報を用いて年代別の寺子屋師匠数を算出したところ、銚子では19世紀中旬に多くの寺子屋師匠が存在していたことが明らかとなった。
著者
山田 光男
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 = The University Bulletin of Chiba Institute of Science (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.8, pp.75-83, 2015-02-28

これまで航空安全のために、警報システムの開発、多重装備、航法機器の精度向上など様々な方策がとられてきたが、近年最も注目を浴びているのは人間の行動そのものに対する方策である。機長の判断ミスが致命的なエラーにつながった2件の事故からCockpit Resource Management (CRM)と呼ばれる乗員の行動様式を改善するための方策が開発され、このCRMにエラーとそのエラーの元となる潜在的危険要素を考慮したThreat and Error Management(TEM)の概念が組み込まれ、一層の安全性を確保する動きへと繋がっていった。この経緯を検証し、TEMの概念は有効な安全対策に成り得るか、また今後の課題は何かについて考察した。
著者
佐々木 啓子 松岡 耕二
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.61-67, 2012-02-28

イチョウ葉エキス(EGb761)は、1950年代から薬理研究が始められ、現在では、アルツハイマー病や認知症の治療に利用されている。フラボノイド24%、テルペノイド6%を含有する標準化されたエキスは、めまいや耳鳴り、記憶力減退、不安などの精神神経症状の改善に効果が報告されている。EGb761のこれらの作用には、活性成分と考えられているフラボノイドやテルペノイドの抗酸化作用や神経保護作用が、関係すると考えられている。ここでは、薬理学的根拠とされるフラボノイドやテルペノイドの中枢神経系における生理活性と、近年報告されているEGb761の臨床効果に対する評価について述べる。
著者
山下 裕司 山﨑 舞 萩原 宏美 田上 八郎 坂本 一民
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 = The University Bulletin of Chiba Institute of Science (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.8, pp.91-103, 2015-02-28

古来から天然の薬として服用されてきた有機ゲルマニウムは、近年コーニファイドエンベロープ(CE)形成や細胞間脂質の主成分であるセラミド合成を促進する効果が見出され、皮膚への有効性が明らかにされつつある。その効能効果として、新陳代謝の促進、シミ・しわの改善、肌荒れ・ニキビの改善、湿疹・アトピー肌の改善などが期待されているが、作用機序に関しては未知の部分が多い。 本研究では、被験者20名に対し、有機ゲルマニウムを配合したクリームを皮膚に塗布した際の角層水分量と経皮水分蒸散量の変化について調べた。これらの評価項目に関して、有機ゲルマニウム配合クリームと未配合クリームの間に有意な差は見られなかったが、有機ゲルマニウム配合クリームの方が高い保湿性を有する傾向があった。また、被験者の皮膚状態の観点から分類解析することで、有機ゲルマニウムが特異的な作用を示す可能性が示唆された。
著者
平木 孝典
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 = The University Bulletin of Chiba Institute of Science (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.8, pp.23-37, 2015-02-28

Hitherto, in the field of Japan-Korea contrastive linguistics study, mainly the study of grammar and syntax has been conducted. As a pioneer, Dr. Im Pal-yong (林八龍) has developed the new study domain in the research field of language expression. This paper took up the Korean declinable word sentences that approximately correspond to the Japanese substantive word sentences. The analysis based on linguistic data found the structural pattern that the Japanese substantive word sentence tends to take a form of a declinable word sentence in Korean language. The adnominal form which a noun modifies a noun and a noun that changeable to SA-row verb, are the characteristic examples of the Japanese nominal representation. A questionnaire survey showed that most Japanese tend to use the substantive word sentence. However, it is necessary to point out that the Korean expression does not necessarily take the declinable word form. The research showed us a sign of a fluctuation of word usage in Korean language. The expansion of database based on the current language situation would help to promote the study.