著者
李 素妍 松井 敏也 奥山 誠義 吉川 英樹 伊勢 孝太郎 稲田 健一
出版者
一般社団法人 粉体粉末冶金協会
雑誌
粉体および粉末冶金 (ISSN:05328799)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.725-730, 2016-07-15 (Released:2016-07-29)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

The purpose of this study was to identify the morphological characteristics and chemical properties of pipe-shaped iron oxide particles depending on the manufacturing method and provide information on possible manufacturing methods and locality survey of the excavated iron oxides. We collected samples around the Toratsuka Tomb and performed firing, followed by optical microscopy, scanning electron microscopy, X-ray fluorescence analyses, and X-ray diffraction analyses. Based on the results, it was demonstrated that the annealing temperature has no effect on the shape of the iron oxide samples while the particle size as well as the color and intensity ratio of iron oxide differed with the annealing temperature. We also obtained information on minor constituents of the iron oxide samples through elemental analyses and gained knowledge on determining the locality by identifying the contained elements.
著者
奥山 誠義 水野 敏典 河崎 衣美 北井 利幸 岡林 孝作 加藤 和歳
出版者
奈良県立橿原考古学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究では古墳時代における繊維製品の材料学的・構造的研究方法の基礎的研究を行い、ヤマトにおける古墳時代繊維製品の具体的な変遷の把握を試みた。考古学および文化財科学における新たな価値を生み出す研究を大きな目標として研究を進めた。本研究では、ラミノグラフィおよびX線CTと呼ばれる非破壊調査法により非破壊的に織物の構造調査が可能であること、光音響赤外分光分析が非破壊的に素材を知る手段として有効であることが確認できた。考古学的には新沢千塚古墳群から出土した染織文化財を例として、統計分析をおこない織密度や織物の種類や古墳の墳形、規模との相関について研究した。
著者
奥山 誠義
出版者
近畿作物・育種研究会
雑誌
作物研究 (ISSN:1882885X)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.57-63, 2017 (Released:2017-12-22)
参考文献数
12

我々人間が,日々の生活を送るために重要な要素を『衣食住』という言葉でまとめることができる.その中の「衣」は着飾る装いや寒さなどから身を守るため重要な役割を果たす「衣服」を指している.人類が衣服を身につけ始めた時期は明らかではないが,日本においては,遺跡の発掘出土品から少なくとも縄文時代には衣服を身につけていたと考えられる.衣服など繊維製品に用いられる材料は様々あるが,中でも植物性繊維はその歴史が深く縄文時代の遺跡からも出土している.発掘出土品は,考古学における「歴史の物的証拠」であるばかりでなく貴重な文化財でもある.これらから材料に関する情報を引き出しつつ,姿・形を変えずに将来へ伝え遺す必要がある.出土品の損傷を控えながら材料を読み解く研究は最重要課題の一つである.繊維製品の材料調査では,赤外分光分析法も材料調査のための有効な手段の一つである.筆者らはSPring-8におけるシンクロトロン放射光赤外分光分析や光音響赤外分光分析などに取り組み,植物性繊維をはじめとする出土繊維製品の材料調査法の研究を行ってきた.本稿では,微量サンプルあるいは非破壊による繊維製品の材料調査研究の一例を紹介する.