著者
木坂 恭子 上野 智美 芦田 真由美 石川 佳代子 小川 千鶴 奥本 真史 片山 博恵 金永 千恵子 向井 恵子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.35-40, 2006 (Released:2006-07-11)
参考文献数
3

近年,早期母子接触の有効性が見直される中,母と子の双方に対する効果を期待し,出生直後の正常新生児にカンガルーケアを導入している。そこで,カンガルーケアが母親にどんな良い影響を与えるのかをあきらかにするためにこの研究に取り組んだ。 当院で分娩した母親への郵送アンケート調査や今回の出産で初めてカンガルーケアを行なった経産婦の感想を述べてもらった。その結果より,産んだ実感や感動は,より大きく,しかもカンガルーケアを始めてからは,分娩後早い時期から,また長い時間わが子とともにいたいと希望する母親が増えている。親子の相互作用により,安心感や信頼感が確立されると考えられる。今回の研究から,出生直後のカンガルーケアは母親の感情・行動に良い結果を与えることが分かった。
著者
奥本 真史 要田 裕子 北村 智樹 近森 正和 中西 紀男
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.548-554, 2011-11-30 (Released:2012-02-17)
参考文献数
11
被引用文献数
1

生体内には多種類の金属がさまざまな濃度で存在して,生命機能の維持に重要な役割を担っている。とくに微量元素の生化学的および栄養学的な機能,欠乏症,過剰症などに関する学際的な研究発展とともに微量元素の重要性が広く注目されるようになった。よって栄養指標として体内の微量元素が欠乏しているかどうかを考慮することは栄養療法上重要であり,長期栄養管理において微量元素欠乏症が生じる危険性は以前より知られている。 今回微量元素欠乏症が疑われた患者を経験した。セレン欠乏症の症例については,院内製剤でセレン注射液を作成し高カロリー輸液へ混注し施行すること,また褥瘡を有する亜鉛欠乏症の症例には,亜鉛含有胃潰瘍治療剤ポラプレジンクを使用することにより血清微量元素濃度も改善し,2症例とも良好な経過がみられた。 しかし治療薬の使用法や検査方法などには注意を要する。今回微量元素欠乏症に対する検査や治療の問題点について考察したので報告する。