著者
奥村 昌子 後藤 ゆり 新井 明日奈 玉城 英彦
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.3-12, 2014

目的:地域の教育行政に大きな影響力を持つ地方議会議員を対象に,彼らの性別役割分業意識からみたジェンダー視点と性教育に対する意識・関心との関連を明らかにすることを目的とした.<br>方法:北海道・市町村議会議員全2,731人を対象として,無記名・自記式質問票を用いて,青少年の健康教育,特に性教育に対する意識と関心および性別役割分業意識について横断調査を実施した(回収率55.9%).性別役割分業意識に関する3項目(「夫は外で働き,妻は家庭を守るべきだ」「男性も身の回りのことや家事をすべきだ」「母親が仕事をもつと小学校入学前の子どもによくない影響を与える」)へ否定的な回答ほど高得点になるように点数化し,ジェンダー視点の指標とした.議員のジェンダー視点から,彼らの性教育に対する意識と関心を性・年齢別に分析した.<br>結果:82.3%の議員(男性81.0%,女性92.7%)は北海道での性教育やエイズ予防活動への関心を示した.男性では,性別役割分業意識に否定的な回答者,すなわちジェンダーに敏感な視点を持つ議員ほど,議会で青少年の健康問題について質問する傾向があり,またコンドームの配布や使用方法の実演など,より実践的な学校保健活動を支持していた.<br>結論:議員のジェンダー視点は,性教育のような健康教育に対する彼らの関心度に影響し,議会での彼らの問題提起にも関連していることが示唆された.