著者
藤谷 宏 奥谷 武則 水野 俊郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-I, 通信I-情報通信システム・理論 (ISSN:09151877)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.31-40, 1996-02-25
被引用文献数
2

既存網(電話網, N-ISDN網等)を統合して, ATMによる広帯域ISDN (B-ISDN)網を構築するためには, STMデータとATMセルとの相互変換を行うATMアダプテーションレイヤ(AAL)処理,すなわちセル組立分解処理を最適に,経済的に実現することが重要な課題である.経済的実現の要は一つの回路で任意速度の多数のチャネルのAAL処理を行う多元速度多重処理技術である.本論文では, AALタイプ1の多元速度多重処理を実現するための技術として,(1)多重化された各チャネルのセル生成タイミングの偏りにより生じるセル送出待ち遅延の発生を抑える技術, (2)_n×64 kb/sの任意速度に対応したセル受信時の揺らぎ吸収バッファ制御技術,に着目して検討を行った. (1)については多元速度通信において各チャネルの速度とSTM回線上で割り当てられるタイムスロット(TS)位置とからセルの生成タイミングを導出するアルゴリズムを求め,遅延時間縮小化の効果を考察した.(2)については,より少ない制御メモリ量で実現する方法を検討した.これらの技術を用いることにより,2,000 ch 規模のAAL多重処理回路のLSI化が実現可能となる.
著者
金澤 俊之 奥谷 武則 仁佐瀬 剛美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSE, 交換システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.61, pp.31-36, 1999-05-20

低速度音声を複数チャネル多重して通信するAAL2(AALタイプ2)を用いた大規模網を構成するときにはAAL2SW(AALタイプ2スイッチ)を適用することが望ましい. 一方, AAL2SWの適用に依って生じる遅延, 特に遅延揺らぎが音声品質に悪影響を与える可能性が有る. 本稿では, 音声トラヒックを想定して, AAL2CLADとAAL2SWで生じる遅延揺らぎと, AAL2CLAD・AAL2SWを多段経由したときの遅延揺らぎを, シミュレーションに依り評価した. 想定した遅延揺らぎは, 各装置におけるセル化遅延と送出待ち遅延から成る. その結果, セル化遅延が遅延揺らぎの支配項となる領域での網設計をすれば, 安定した品質を得られるという結果を得た. その網設計のための, 許容廃棄率10^<-3>程度以上の領域に適用できる簡易な帯域設計法や, AAL2SW段数の上限評価法を提案する.
著者
奥谷 武則 藤谷 宏 水野 俊郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSE, 交換システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.93, no.72, pp.13-18, 1993-05-28
被引用文献数
1

既存STM網とATM網とのインタワークを実現する場合、STM多重回線にATMアダプテーション(AAL)処理を適用する必要がある。このような多重された回線にAAL処理をチャネル単位に行う場合、セル組立に要する固定遅延の他に、セルの完成タイミングが重なることによりATM多重回線への送出待ち遅延が生じる。本稿ではこの遅延の発生メカニズムを明確化し、64kb,sのみ場合、送出待ち遅延を完全に0に抑える方法について述べる。次に64kb/s×nのような多元速度が多重された場合について、遅延を縮小化する方法について論じ、最後にシミュレーションにより評価、考察を行 う。