- 著者
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萩原 正敏
武内 章英
大江 賢治
二宮 賢介
飯田 慶
奥野 友紀子
- 出版者
- 京都大学
- 雑誌
- 基盤研究(A)
- 巻号頁・発行日
- 2015-04-01
本研究の目的は、スプライシング異常に起因するRNA 病を標的とした新規治療方法を創製することであり、関連する論文を2報、報告した。一つ目は、加齢黄斑変性症における病的な脈絡膜血管新生を抑制する化合物SRPIN803を同定した論文である(Molecular Pharmacology May 20, 2015 mol.114.097345)。SRPIN803は、SRPK1(SRSF protein kinase 1)とCK2 (Casein kinase 2)を同時に抑制することにより、リード化合物であるSRPIN340よりも強い病的血管新生作用を示した。加齢黄斑変性症のモデルマウスにおいて点眼による効果であり、臨床応用の可能性が示唆される報告である。二つ目は、メタボリックシンドロームにおける脂肪分化を抑制する化合物BINDYを同定した論文である(Bioorganic & Medicinal Chemistry 23:4434,2015)。BINDYは、リード化合物であるINDYよりも強いDYRK kinase阻害効果を有し、脂肪分化に重要な転写因子であるPPARγとC/EBPαの発現を抑制することにより、3T3-L1細胞の脂肪分化を抑制した。最近、DYRK1Bの機能獲得型の遺伝子変異がメタボリックシンドロームを増悪させる報告からも、BINDYがメタボリックシンドロームに効果を示す可能性が示唆された。