著者
中川 隆之 飯田 慶 喜多 知子 西村 幸司 大西 弘恵 山本 典生
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

哺乳類とは異なり、鳥類の聴覚器官である基底乳頭では、有毛細胞再生が自発的に誘導され、聴覚機能も再生される。鳥類とは異なり、哺乳類では有効性が期待できるレベルの聴覚機能再生は報告されていない。近年、鶏に関する遺伝子情報が充実し、網羅的遺伝子解析手法を用いて、これまで困難であった鳥類における有毛細胞再生に関連する遺伝子およびシグナルの詳細な分子生物学的解析が可能となった。鳥類における旺盛な有毛細胞再生機構を哺乳類における有毛細胞再生活性化に応用し、哺乳類蝸牛における有毛細胞再生効率を向上させ、新しい感音難聴治療薬開発につなげる。
著者
萩原 正敏 武内 章英 大江 賢治 二宮 賢介 飯田 慶 奥野 友紀子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究の目的は、スプライシング異常に起因するRNA 病を標的とした新規治療方法を創製することであり、関連する論文を2報、報告した。一つ目は、加齢黄斑変性症における病的な脈絡膜血管新生を抑制する化合物SRPIN803を同定した論文である(Molecular Pharmacology May 20, 2015 mol.114.097345)。SRPIN803は、SRPK1(SRSF protein kinase 1)とCK2 (Casein kinase 2)を同時に抑制することにより、リード化合物であるSRPIN340よりも強い病的血管新生作用を示した。加齢黄斑変性症のモデルマウスにおいて点眼による効果であり、臨床応用の可能性が示唆される報告である。二つ目は、メタボリックシンドロームにおける脂肪分化を抑制する化合物BINDYを同定した論文である(Bioorganic & Medicinal Chemistry 23:4434,2015)。BINDYは、リード化合物であるINDYよりも強いDYRK kinase阻害効果を有し、脂肪分化に重要な転写因子であるPPARγとC/EBPαの発現を抑制することにより、3T3-L1細胞の脂肪分化を抑制した。最近、DYRK1Bの機能獲得型の遺伝子変異がメタボリックシンドロームを増悪させる報告からも、BINDYがメタボリックシンドロームに効果を示す可能性が示唆された。