著者
宇津 恒 山本 憲治
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.91, no.9, pp.562-566, 2022-09-01 (Released:2022-09-01)
参考文献数
12

脱炭素社会の実現に向けた次世代太陽電池の候補として期待されるペロブスカイト太陽電池とヘテロ接合結晶Si太陽電池から成るタンデム太陽電池は,変換効率30%の実現が目前に迫っており,(株)カネカにおいても29%に近い変換効率を達成している.本稿では,ペロブスカイト太陽電池とヘテロ接合結晶Si太陽電池から成る2端子タンデム構造におけるカネカの最新の研究成果の報告に加えて,光学シミュレーションによる解析を中心に,タンデム太陽電池の光閉じ込め技術に関して紹介を行う.更に,電流マッチングの制約により2端子タンデム構造では活用が難しい最高性能を有するペロブスカイト太陽電池と,カネカが結晶Si太陽電池における世界記録を有する裏面電極型ヘテロ接合結晶Si太陽電池との組み合わせを見据え,Topセルのバンドギャップを任意に選択することが可能である3端子タンデム構造に関しても紹介を行う.