著者
久保田 武美 石 和久 鈴木 正明 宇津野 栄 猪狩 淳
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.233-238, 1999-03-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
10
被引用文献数
3 4

この研究の目的は子宮頸部のneoplasiaと最も関連深い高度・中等度risk typesのHPVによる感染の蔓延状況を知ることである.対象はSTDclinic受診例236例とcontrol群 (通常の婦人科外来受診者) 95例である.両群ともに, 子宮頸部擦過物を採取し, DNA診断法であるhybrid capture法を利用して, HPVの6, 11, 42, 43, 44型 (HPVA), 16, 18, 31, 33, 35, 39, 45, 51, 52, 56, 58, 59, 68型 (HPVB) およびC.trahomatis, N.gonorrhoeaeの検出を試みた.分析にはFisherの直接法を用いた.HPVBの陽性率はSTD clinic受診群, コントロール群いずれの群においても最も高率であった.STD clinic受診群とcontrol群でのHPVBの検出率はそれぞれ47.5%, 5.3%であり有意差を認めた (p<0.00001).STD clinic受診者においては, 子宮頸部悪性病変のリスクを知るためにHPVの検査を施行する意義のあることが示唆された.