著者
長利 真幸 守川 信夫 當眞 嗣平 望月 智代
出版者
沖縄県畜産研究センター
雑誌
沖縄県畜産研究センター試験研究報告 (ISSN:18836496)
巻号頁・発行日
no.44, pp.89-93, 2006

暖地型牧草の成分と栄養価を迅速に測定するために,沖縄県主要暖地型牧草であるギニアグラス,パンゴラグラス(品種:トランスバーラ),ジャイアントスターグラス,ローズグラス(品種:カタンボラ)の4草種試料400点を用い,近赤外分析法(NIRS)による統一検量線の作成および推定精度の検証を行った。分析項目は粗タンパク質(CP)含有率と乾物消化率,試料サイズは粉砕試料(1㎜)と細断試料(200~300㎜),検量線の作成方法については線形重回帰分析(MLR)と部分最小二乗法による回帰分析(PLS)を用いて比較検討した。1. CPについて,MLRを用いた検量線の推定精度は粉砕試料でr=0.979,SDP=0.80,EI=8.71%,細断試料でr=0.974,SDP=0.88,EI=9.58%となった。PLSを用いた検量線の推定精度は,粉砕試料でr=0.990,SDP=0.57,EI=6.20%,細断試料でr=0.979,SDP=0.78,EI=8.49%となり,PLSがMLRより高い推定精度を得た。2. 乾物消化率について,MLRを用いた検量線の推定精度は粉砕試料でr=0.950,SDP=2.56,EI=14.97%細断試料でr=0.944,SDP=2.71,EI=15.84%となった。PLSを用いた検量線の推定精度は,粉砕試料でr=0.964,SDP=2.18,EI=12.74%,細断試料でr=0.949,SDP=2.60,EI=15.20%となり,PLSがMLRより高い推定精度を得た。3. 試料サイズについては,CP,乾物消化率ともに粉砕試料を用いた検量線がより高い精度を示したが,細断試料においても十分な精度を得ることができた。4. 沖縄県主要暖地型牧草4草種を用いた統一検量線においても,単草種で作成した検量線と同等の推定精度を得た。
著者
藤井 章 知念 令 守川 信夫 宮城 正男
出版者
沖縄県畜産研究センター
雑誌
沖縄県畜産研究センター試験研究報告 (ISSN:18836496)
巻号頁・発行日
no.47, pp.37-44, 2009

山羊における産肉性の改善を図るため、肉用山羊種であるボアー種を50%以上交配した山羊(ボアー系)と、ザーネン種の特徴を持つ山羊(ザーネン系)を用いて粗飼料のみによる給与を行い、産肉性を検討したところ、その結果は次のとおりであった。1.雄、雌ともに1日あたり乾物摂取量、飼料要求率、試験終了時の体重、1日あたり増体量に有意差は認められなかったが、体重あたり乾物摂取量は雄においてボアー系が試験開始時、試験終了時ともにザーネン系より有意に少なく(開始時:P<0.05、終了時:P<0.01)、雌においてもボアー系が試験開始時、試験終了時ともにザーネン系より有意に少なかった(P<0.05)。2.枝肉歩留は、雄においてボアー系が43.8%でザーネン系の38.8%よりも有意に高く(P<0.05)、雌においてもボアー系が46.0%でザーネン系の38.0%よりも有意に高かった(P<0.01)。3.部分肉重量では、雄はボアー系がザーネン系よりもかた、ロース、ばらおよびヒレの部分肉において有意に重く(P<0.05)、雌もボアー系がザーネン系よりも全ての部分肉において有意に重かった(P<0.01)。以上のことから、ボアー系は粗飼料のみで肥育した場合、飼料効率および産肉性に優れており、県内産山羊の産肉性改善に活用できることが示唆された。