著者
漆谷 真 守村 敏史
出版者
滋賀医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

我々は以前に筋萎縮性側索硬化症の原因蛋白質であるTDP-43の2つのRNA認識部位(RRM1とRRM2)内の配列を抗原とし、異所性局在型や凝集体形成型のTDP-43のみを認識する抗体を作出した。本研究ではこれらの抗体を用いて、TDP-43凝集体の形成を阻止する低分子化合物の同定や一本鎖抗体(scFv)を作製し細胞内のTDP-43凝集体の除去効果を検証した。RRM1抗体を用いた競合ELISA法によってTDP-43の異常会合界面に結合し凝集体形成を阻止する化合物を同定した。RRM2を抗原とし蛋白質分解シグナルを持つscFvはTDP-43凝集体と特異的に結合し分解促進し細胞死を抑える成果が得られた。
著者
守村 敏史 井上 健
出版者
滋賀医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

多くの神経変性疾患では、細胞内に構造不良な蛋白質(ミスフォールド蛋白質)の蓄積する共通した病理像が認められる。オートファジーの活性化はミスフォールド蛋白質の除去に有望な治療法として注目されている。私は安全性の点から食品成分中のオートファジー誘導成分を検索し、治療に用いる試みを進め、オートファジー誘導可能な新規の食品成分3種類を同定した。また、カレーの有効成分でオートファジー誘導効果のあるクルクミンが小胞体ストレスによる疾患の一つPMDに有効である事、またオートファジ阻害薬として知られている抗マラリア剤のクロロキンが、蛋白質合成を止める事により同じ疾患に対して有効に働く事を報告した。