著者
遠藤 和子 唐崎 卓也 安中 誠司 石田 憲治
出版者
農業・食品産業技術総合研究機構農村工学研究所
雑誌
農村工学研究所技報 (ISSN:18823289)
巻号頁・発行日
no.210, pp.37-48, 2010-03
被引用文献数
2

「限界集落」という言葉がにわかに注目されるようになった。もともとは、大野が65歳以上の高齢者が集落人口の半数を超え、冠婚葬祭をはじめ田役、道役などの社会的共同生活の維持が困難な状況におかれている集落を限界集落と定義したことに始まる。農林業センサスによると1995年から2000年にかけておよそ5,000の集落が消滅している。その後も農村振興局の調査で1,400、国交省の調査で2,640の集落が消滅の危機に瀕していることが報告されており、「限界集落」問題の根拠となっている。筆者等は平成18年より、限界化が進む群馬県南牧村を対象に振興支援活動にかかわってきた。ところで、平成20年度、ポスト過疎法を議論する過疎問題懇談会から補助金ならぬ「補助人」を望む答申が出されたことを受け、特別交付税措置による集落支援員制度が創設された。本稿では、筆者等が南牧村の振興支援にかかわり行ってきた働きかけと、それらが現地に与えた影響を住民等の反応から整理、分析することにより、限界化が危惧される地域に対する支援方策について考察を行う。
著者
安中 誠司 山本 徳司
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.881-885,a1, 2003-10-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
3

合意形成をめぐる近年の状況の変化を踏まえ, ワークショップ形式による住民参加型の合意形成支援の手法的な側面に焦点をあて, 意義や問題点, 今後の課題を提示した。濃密な人間関係と優れたリーダーの存在を前提とする個別説得型の伝統的合意形成を代替するものとして注目を集めているワークショップは, 集落点検やTN法等の様々な参加型手法を活用する。それらは住民参加支援という点で大きな意義を持つ反面, 意見収集の手法として形式的に適用される危険性も内在させているとともに, 合意の促進という面でも発展途上にある。実効性を高めるためには, 手法論的な観点から様々な点に留意し, 将来に向けてさらなる進化を図る必要がある。