著者
小島 康夫 安井 洋介 折橋 健 寺沢 実 鴨田 重裕 笠原 久臣 高橋 康夫
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.88, no.5, pp.337-341, 2006-10-01 (Released:2008-01-11)
参考文献数
38
被引用文献数
3 4

東京大学北海道演習林では, 積雪期にエゾシカによる激しい樹皮剥ぎが発生し, おもに小径の樹幹が剥皮される。この演習林では, イタヤカエデ, イチイ, イヌエンジュ, ウダイカンバ, エゾマツ, オヒョウ, シウリザクラ, シラカンバ, ハリギリ, ハルニレ, ミズナラ, ヤチダモが森林施業や保全の上で重要である。われわれは, これら12樹種小径樹幹の内樹皮成分を分析し, 各成分とエゾシカの樹皮嗜好性との関連を検討した。エゾシカはイヌエンジュに対して低嗜好性を示したが, この樹種はアルカロイドを含む唯一の種であった。他の11樹種に関しては, エゾシカの樹皮嗜好性に対して灰分含有割合が正の, 酸性ディタージェントリグニン含有割合が負の関係をそれぞれ示した。