著者
大澤 剛士 天野 達也 大澤 隆文 高橋 康夫 櫻井 玄 西田 貴明 江成 広斗
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.135-149, 2019 (Released:2019-07-01)
参考文献数
54

生物多様性に関わる様々な課題は、今や生物学者だけのものではなく、人類全てに関連しうる社会的な課題となった。防災・減災、社会経済資本、資源の持続的利用といった、人間生活により身近な社会問題についても、生物多様性が極めて重要な役割を持つことが認識されるようになりつつある。これら社会情勢の変化を受け、生物多様性に関わる研究者には、これまで以上に政策とのつながりが求められている。しかし現状では、研究成果が実社会において活用されないという問題が、生物多様性に関係する研究者、行政をはじめとする実務者の双方に認識されている。これを“研究と実践の隔たり(Research-implementation gap)”と呼ぶ。そもそも、社会的課題の解決のために研究者の誰もが実施できる最も重要なことは、解決に必要な科学的知見を研究によって得て、論文の形で公表することである。そのためには、社会的に重要な課題を把握し、それに関する研究成果を適切なタイミングで社会に提供できなくてはならない。これらが容易になることは、研究と実践の隔たりを埋めることに貢献するだろう。そこで本稿は、そのための取り組みの先駆的な実例として「legislative scan」を紹介する。これは、イギリス生態学会が実施している、生態学者や保全生物学者にとって重要な法的、政策的課題を概観する取り組みである。さらにlegislative scanを参考に、生態学の研究者が関わりうる政策トピックの概要を紹介することで、研究者が能動的に研究と実践の隔たりを埋めていくためのヒントを提供する。具体的な政策トピックとして、「生物多様性条約(CBD)」、「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)」、「地球温暖化適応(IPCCの主要課題)」、「グリーンインフラストラクチャー」、「鳥獣対策」について概要を紹介する。最後に、研究と実践の隔たりの解消に向けて、研究者及び研究者コミュニティが積極的に働きかける重要性と意義について議論する。
著者
高橋 康夫
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
no.263, pp.117-127, 1978-01-30

Contents are mainly classified by two items as follows : 1. The history of the site of Gokomatsu In Sento Palace and the process of the urban redeveropement. 2. The actual circumstances of the renewal site. -1 The initial site planning and the structure of the area. -2 The site planning and inhabitant near the Zushi. -3 On the proprietary rights of the real estate of the inhabitants and the landed owner.
著者
高橋 丈博 田中 利和 渋谷 昇 伊藤 健一 高橋 康夫
出版者
The Japan Institute of Electronics Packaging
雑誌
サーキットテクノロジ (ISSN:09148299)
巻号頁・発行日
vol.7, no.5, pp.314-319, 1992-09-20 (Released:2010-03-18)
参考文献数
7

プリント配線板における配線設計を行う上での設計指針を与えることを目的とし, ビアをもっ配線板で信号伝送測定を行い, 配線ビアの信号伝送波形への影響を調べた。この結果, 立ち上がり1ns程度の波形に対して, 伝送波形はほとんど変化せず, ビアの個数やクリアランスの大きさを変えても波形はほとんど変化しなかった。ビア部分の特性インピーダンスを測定したところ, 特性インピーダンスはクリアランスの大きさに依存し, 配線部の特性インピーダンスから20%程度違っていた。しかし, 伝送波形の計算を行い, ほとんど影響を与えないことが計算でも確認された。つぎに, 信号の立ち上がり時間, ビアの特性インピーダンスとの波形歪と関係を計算し, 立ち上がり時間が速くなってくるとビアの影響が波形に現れてくることを明らかにした。
著者
高橋 康夫 後藤 晋 笠原 久臣 犬飼 雅子
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.184-187, 2002-08-16
被引用文献数
2

日林誌84:184〜187,2002北海道富良野市の東京大学北海道演習林において,人工的に凸・平・凹部の三つの微地形を設定した地はぎ処理を1979年8月に行い,各微地形におけるエゾマツ実生の発生定着を22年間にわたり調査した。地はぎ処理を行った翌年の秋までに発生定着したエゾマツ実生の数は微地形によって有意に異なり,他の微地形に比べて平部で少なかった。凹部では最初多くのエゾマツ実生が発生したが,その後急激に減少し,最終的な調査である22年目に残存していたのはごくわずかであった。この要因は,暗色雪腐れ病菌が多く存在するリター層が凹部に堆積し,エゾマツ実生が暗色雪腐れ病に感染したためであると考えられた。本調査地では,地はぎ処理から22年目の現在でも,十分な量のエゾマツ後継樹が確保されており,微地形を設定した地はぎ処理はエゾマツ天然更新の補助作業として有効であると考えられた。現在のエゾマツは,混交したタケカンバの被陰下にあるため,ダケカンバの密度管理が今後の課題である。
著者
高橋 康夫
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
vol.267, pp.155-162, 1978

Contents are mainly classified by two items as follows : 1. The constitution of the Rokucho. -1. The territory of the Rokucho. -2. The names of the constituent towns. 2. The pre-history of the Rokucho : a consideration on the process of the urban development of the constituent towns.
著者
桧山 亮 折橋 健 小島 康夫 寺沢 実 鴨田 重裕 高橋 康夫
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.115, pp.P3047, 2004

1、目的 エゾシカ(以下シカとする)の嗜好性とそれが生じる要因を研究することは樹皮剥ぎ害対策のための重要な情報になると考えられる。本研究では特に樹皮の物理的な発達がシカの嗜好性に与える影響を調べるためにハリギリ丸太を用いて樹皮の剥ぎ難さの測定と野外摂食試験(Orihashi et al., 2002)およびハリギリ丸太から調製した樹皮片の摂食試験を行った。2、試験方法1)試験材料 2003年3月上旬に東京大学北海道演習林(以下北演)でハリギリ2個体(DBH17.5cm、27cm)を伐採し、樹幹及び枝の直径1_から_18cmの部分から長さ1mの丸太を調製した。丸太は長さ40cmと60cmに切り分けて前者を樹皮剥ぎ抵抗値測定用、後者を野外摂食試験用とした。丸太は切断面において直径と樹皮の厚さを0.1mm単位で測定した。2)抵抗値の測定 【剥がし抵抗値測定】大井(1999)の剥皮試験の方法を参考に、樹幹方向に15cm×1.5cmの切込みを樹皮にいれて周囲の樹皮と切断し、端から5cmの部分を剥がして掴み、残りの10cmの部分を約10秒かけて引き剥がし、デジタルひずみ測定器(共和電業製)を用いて応力を計測して剥がし抵抗値とした。【刺し込み抵抗値測定】マイナスドライバー様の型をしたステンレス製の擬似シカ門歯をデジタルひずみ測定器に取り付けて、丸太の接線方向に対しては垂直に、樹幹方向に対しては約30度の角度から刺し込み、応力を測定して刺し込み抵抗値とした。各測定では1試験体(丸太)につき5回計測を行い、平均した。3)摂食試験 【抵抗値と嗜好性】摂食試験用の丸太を北演の林道沿いに設けた試験サイト(20m×5m)にランダムに並べて直立させて3月下旬の10日間(樹皮剥ぎ被害期間)シカに自由に摂食させて剥皮された面積を測った。【樹皮片の摂食試験】直径12_から_17cmのハリギリ丸太から一辺が3cm程度の方形樹皮片を3種類(内樹皮のみ、外樹皮のみ、外樹皮つき内樹皮(以下全樹皮とする))調製した。この3種類を1組として9反復用意し、それぞれ生重量で40gずつプラスチックの容器にいれて摂食試験を行った。試験中は一日一回観察し、組の中でどれかが半分以上減っていたらその時点で回収して残ったものの生重量を測定した。試験前後の様子を撮影し、食べられ方の様子を比較した。3、結果【抵抗値と嗜好性】摂食試験で剥皮が確認された丸太は剥がし抵抗値が2kgf以下、刺し込み抵抗値が6kgf以下のものがほとんどであった(図)。丸太の直径(cm)に対する樹皮厚さ(mm)の関係は内樹皮がy=0.31x+2.44, R2=0.76、外樹皮がy=0.99x_-_0.77, R2=0.84(共に単回帰分析、P<0.01)であった。直径(cm)と樹皮剥ぎ抵抗値(kgf)の関係は剥がし抵抗値でy=0.26x+0.39, R2=0.85、刺し込み抵抗値でy=0.77x+1.90, R2=0.88(共に単回帰分析、P<0.01)であった。【樹皮片の摂食試験】試験前後での試料の減少量(生重量)は内樹皮片で38.9g(±0.3)、全樹皮片で20.8g(±10.3)および外樹皮片で4.0g(±3.0)であった。内樹皮片と外樹皮片の間で減少量に有意な差が存在した(Tukey型多重比較、P<0.05)。4、考察 抵抗値と嗜好性の試験結果より、樹皮を剥がす際の抵抗値が大きな丸太の樹皮をシカがほとんど食べていないことから、樹皮の物理的な抵抗がシカの樹皮剥ぎに影響を与えていることが予想できる。丸太の直径と樹皮厚さと抵抗値には高い正の相関が見られた。樹皮厚さは直径が大きくなると特に外樹皮が発達する。外樹皮にはシカにとって栄養にならないリグニンが多く含まれ(安井、2002)、樹皮全体に占める外樹皮の割合が高くなると樹皮中のリグニン量は増加することになる。直径が大きくなった時にシカの嗜好性が下がる(小島ら、2003)主な要因として少なくとも上述の2つ(樹皮剥ぎ抵抗値、リグニン量)が考えられた。樹皮片の摂食試験結果において内樹皮片が外樹皮片よりもよく食べられたことからシカが樹皮を食べる時には内樹皮を目的としていることが示唆された。全樹皮片は中間的な食べられ方と観察された。この試験はシカが通常好まない太さで抵抗値も大きな丸太から調製した樹皮片を用いたが、人為的に剥ぎ難さを排除して供試すると食べられた。このことから剥ぎ難さがシカの嗜好性に影響をしていると言えるだろう。しかし、全樹皮片は内樹皮片よりも食べられ方が少なかったことから剥ぎ難さを排除しても外樹皮の存在により嗜好性を下がったと考えられる。
著者
高橋 康夫
出版者
Traverse編集委員会
雑誌
Traverse
巻号頁・発行日
vol.1, pp.19-24, 2000-06
著者
高橋 康夫 後藤 晋 笠原 久臣 犬飼 雅子 高田 功一 井口 和信 芝野 伸策
出版者
日本林學會
雑誌
日本林學會誌 = Journal of the Japanese Forestry Society (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, 2001
参考文献数
29

東京大学北海道演習林 (富良野市) において, 北海道の渓畔林の主要構成種で雌雄異株性の高木であるヤチダモ (<I>Fraxinus mandshurica</I> var. <I>japonica</I>) の性表現とサイズ構造を調査した。天然林に設定された岩魚沢大型試験地 (18.75ha) に存在する胸高直径5cm以上のヤチダモの場合, 個体数は未開花個体135 (19.6%),雌性個体293 (42.6%), 雄性個体260 (37.8%) であり, 開花個体の性比に1:1からの有意な偏りは認められなかった。未開花個体のサイズは開花個体よりも小さく, 開花個体のサイズ構造に雌雄差は認められなかった。27年生と50年生のヤチダモ人工林では, それぞれ525個体中4個体 (0.8%), 558個体中272個体 (48.7%) が開花していた。50年生人工林における未開花と開花個体あるいは雌雄ごとのサイズ構造は, 天然林と同様の傾向を示した。成長および形質が優れた優良木98個体の性比では, 雄性個体が有意に多いことが明らかとなった。ヤチダモは材質や通直性に優れた有用広葉樹であり,林業において性の取り扱いを検討する必要が示唆された。
著者
高橋 康夫
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
vol.282, pp.169-176, 1979-08-30 (Released:2017-08-22)

This paper, taking over the preceding papers, will deal with the problem of the formative period by investigating the stage of Cho and Machigumi grawing. Contents of this is as follows. 1. Disputed point. 2. Analysis of the affair in the seventh year of Daiei Period. 3. Toward the establishment of the Rokucho Organization.
著者
土田 啓介 若狭 幸太 アイマン ビン モハマド ハリル 前田 将克 高橋 康夫
出版者
一般社団法人 溶接学会
雑誌
溶接学会全国大会講演概要
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.300-301, 2014

p-GaNでは溶解している水素によりMgが不活性化されてしまう。高温雰囲気中でp-GaNに電界を形成することで電気特性が向上した。Au膜の電極で電界中熱処理を行うとコンタクト特性が向上することが明らかになった。
著者
高橋 康夫
出版者
建築史学会
雑誌
建築史学 (ISSN:02892839)
巻号頁・発行日
no.59, pp.167-182, 2012-09
著者
小島 康夫 安井 洋介 折橋 健 寺沢 実 鴨田 重裕 笠原 久臣 高橋 康夫
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.88, no.5, pp.337-341, 2006-10-01 (Released:2008-01-11)
参考文献数
38
被引用文献数
3 4

東京大学北海道演習林では, 積雪期にエゾシカによる激しい樹皮剥ぎが発生し, おもに小径の樹幹が剥皮される。この演習林では, イタヤカエデ, イチイ, イヌエンジュ, ウダイカンバ, エゾマツ, オヒョウ, シウリザクラ, シラカンバ, ハリギリ, ハルニレ, ミズナラ, ヤチダモが森林施業や保全の上で重要である。われわれは, これら12樹種小径樹幹の内樹皮成分を分析し, 各成分とエゾシカの樹皮嗜好性との関連を検討した。エゾシカはイヌエンジュに対して低嗜好性を示したが, この樹種はアルカロイドを含む唯一の種であった。他の11樹種に関しては, エゾシカの樹皮嗜好性に対して灰分含有割合が正の, 酸性ディタージェントリグニン含有割合が負の関係をそれぞれ示した。
著者
高橋 康夫
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

固相接合過程は接合圧力や接合温度だけでなく接合表面凹凸(表面あらさ)に大きく影響される。接合面同士を押しあてると、表面凹凸に起因して接合界面に空隙ができ、即座には完全な密着が出来ない。本研究では、この空隙が消失していく過程を数値計算により解析し、広範な条件に対して、予測できるアルゴリズムを試作している。すなわち、拡散によるボイド収縮過程のシミュレ-ションを行い、さらに、表面あらさのばらつきの接合過程への影響を考慮して、接合条件設定アルゴリズムを試作している。得られた主な成果及び概要を以下に示す。1)空隙収縮過程は、圧力・温度に影響される。その活性化エネルギ-はln(T/tv)-(1/T)プロットによって得ることができる。ここで、Tは絶対温度、tvはあるボイド収縮量Vsを達成させるに必要な時間である。2)拡散機構支配であると、時間tvに対する応力指数n(tvαP^n)は-1又は、-1〜-0.3となる。ここで、Pは接合圧力である。3)空隙収縮過程は、空隙の配列間隔に大きく影響される。4)細かい凹凸の表面を導入すると接合道程は促進される。5)表面凹凸のばらつきによる接合中のボイド間隔は、表面凹凸形状のかさね合せの手法によって正確に推定できる。6)推定した接合中のボイド間隔を考慮して、接合予測をすると、接合終了時をかなり正確に推定予測しうる。7)本研究で試作した接合条件設定ウルゴリズムは、接合条件を最適化させる上で、大きな力となることがわかった。8)実験によりこのアルゴリズムの適用範囲を確認している。