著者
吉田 純一 北村 久美子 箭内 公一 安河内 淑子 石内 愛美
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.69, 2016

<p>【はじめに】</p><p>日本においては、障がい者を取り巻く環境が急速に変化してきている。粕屋町では「障がい者が、安心して共に暮らせるやさしいまち」を基本理念とする障害者計画を策定しており、関係機関と行政が一体となって連携し、障害福祉計画推進協議会(以下、推進協)が中心となり計画内容を推進している。今回、地域住民の障がいや障がい者に対する理解を確認するためアンケートを実施した。アンケート結果から地域の方の声を聴き、今後の推進協の取り組みについて考察したので報告する。</p><p>【方法】</p><p>人権週間および障がい者週間である平成27年12月6日に開催された粕屋町介護福祉課主催障がい者啓発事業「人権を尊重する町民のつどい」にてアンケートを実施。参加者のうち244名よりアンケートの記載をいただいた。なお、アンケート実施に際し、趣旨、内容、結果の取り扱いについて書類を用いて説明し同意を得た。</p><p>【結果】</p><p>アンケート記載者244名(男性140名、女性99名、無回答5名)の年齢は、~20歳代11.1%、30~40歳代23.4%、50歳~60歳代47.1%、70歳~80歳代15.9%、無回答2.5%であった。設問1「日頃障がいをお持ちの方に接する機会はありますか?」に対し、はい50.8%、いいえ45.9%、無回答3.3%となった。設問2「粕屋町は障がい者が安心して共に暮らせるやさしいまちだと思いますか?」に対し、はい26.6%、いいえ11.1%、わからない59.8%、無回答2.5%という結果となった。設問3自由記載欄では、「町内の小学生と障害施設児童との交流の場を作り、子供たちの心を育てることもよいのでは」や「町民運動会等の町の行事で啓発をもっと行ってみては」など様々な意見をいただいた。</p><p>【考察】</p><p>年齢別でみると、参加者の約半数が50歳から60代で20歳代以下の参加状況が特に低い結果となった。このことから小・中学校等の教育機関と連携をとり、若い世代に対する啓発活動をより行っていく必要があると考えられる。設問1に対し障がい者と接する機会があると答えた方は全体の約半数であった。しかし、参加者には障害福祉関係の仕事に従事している方も多く、地域住民が障がい者と接している機会はより低いと考えられる。また、設問3自由記載欄の意見も踏まえると、障がい者の理解と交流の推進のためにも障がい者団体等と協力し、交流の場を確保していく必要があるといえる。設問2に対し「はい」と回答したのは全体の1/4程度の26.6%であった。この結果が示すように「障がい者が安心して共に暮らせるやさしいまち」とはまだ言い難い現状であり、推進協としても今後さらなる取り組みを行っていくべきであると考えられる。</p><p>【まとめ】</p><p>推進協の取り組みとしては、現在の問題点を把握した上で、教育機関や関連団体との連携が重要となってくるといえる。今後は、若い世代への啓発活動や障がい者との交流の場の充実など、より地域に密着した活動を行っていき、今よりも障がい者が安心して共に暮らせるやさしいまちを目指していきたいと考える。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>アンケート実施に際し、趣旨、内容、結果の取り扱いについて書類を用いて説明し同意を得た。</p>