著者
岡島 賢治 鏑木 諒 飯田 俊彰 安瀬地 一作
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.80, no.2, pp.215-221, 2012-04-25 (Released:2013-04-25)
参考文献数
21

農地石垣の実態と特徴を把握するため,まず,これまで曖昧なまま用いられていた農地石垣に関する用語を整理して明確化し,次に,西日本を中心に農地石垣地域を12地域選定して,現地調査とヒアリング調査を行った.調査対象地域では,農地石垣は急傾斜地の農地の開墾の際により広い農地を確保するために,地山から産出する石材を用いて築造されていた.農地石垣の構造に関しては,野石,雑割石を用いた野面積みによる空石積み工が主体であった.また,石組には対象地域間の傾向の違いは認められるものの,ひとつの対象地域内で築造時期や修復時期などによる多様性が顕著であった.さらに,断面構造を道路石積み擁壁のものと比較した場合,勾配,裏込材の質,量や基礎部に大きな違いがあることが把握された.
著者
関島 建志 桐 博英 安瀬地 一作 木村 延明
出版者
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
農研機構研究報告. 農村工学研究部門 = Bulletin of the NARO (ISSN:24326674)
巻号頁・発行日
no.3, pp.119-125, 2019

既往最大雨量を記録するような豪雨が日本各地で多発する中,農業用排水機場が浸水し機能停止に陥る事例が発生している。農業用排水機場は農地排水を目的に計画されているが,都市化・混住化が進んだ地域では,排水機場の機能停止は住民の被災に直結する問題であり,耐水化による減災対策の重要性が増してきている。平成 30 年 5 月に改定された設計基準「ポンプ場」に耐水化対策が明記され,新設,更新施設では耐水化がなされることとなるが,既存の施設への対応は今後の課題である。本報では,排水機場の耐水化対策の現状及び先行した取組事例について調査を行った。農業用排水機場では,過去に浸水被害を被った地域,機場で対策が行われている。また,大規模津波で電気,水道が途絶した場合の対策を計画している事例がある。河川等類似施設では,都市部を中心に耐水化対策が進められている。