- 著者
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安田 徳子
- 出版者
- 日本文学協会
- 雑誌
- 日本文学 (ISSN:03869903)
- 巻号頁・発行日
- vol.56, no.7, pp.53-61, 2007-07-10 (Released:2017-08-01)
『伊勢物語』は、中世注釈書の理解を基盤に中世芸能に取り込まれ、多数の作品を生み出したが、近世に至ってもその傾向は衰えず、浄瑠璃や歌舞伎でも草創期から多数の『伊勢物語』摂取の作品がある。やはり注釈書の理解を基盤としているが、中世の能が叙情を主眼とするのに対して、歌舞伎・浄瑠璃は叙事を主眼とした。そのため、『伊勢物語』に語られない出来事を付与し、歴史的事件の中に『伊勢物語』を位置づけ、加えて近世的封建社会に相応しい解釈を施し、歴史の複雑な背景として読み解いてみせた。