著者
安田 泰久 丸山 淳一 丹羽 太左衛門
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚研究会誌 (ISSN:03888460)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.119-125, 1968-12-31 (Released:2011-06-08)
参考文献数
37

豚精液および精漿で家兎を免疫して, それに対して産生した抗体を用いて, 精液および精漿の抗原系の追求を行なった。1) 沈降素抗体価は, 免疫後1週目から精液および精漿の抗体産生が認められ, 2週目においては10:1×29以上の抗体価を示した。また, 精液は精漿よりも抗原性の高いことが認められた。2) OUCHTERLONY 法で抗原系を検討した。a. Landrace 種と Yorkshire 種において, 精液には抗原系の差が認められなかった。しかし, 精漿においては沈降線の出現部位と出現時間に差が認められた。b. 精液の分離時において各々の遠心速度によって得た精漿の抗原系には差が認められなかった。c. 雄性生殖腺液の抗原系において, 精巣上体精液の抗原系は弱く, 数も少なかった。しかし, 精のう液の抗原系は強く, 抗原系の数も多いことが認められた。豚精液の主要な抗原成分は精のう液に由来するものと考えられる。
著者
安田 泰久
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科学会雑誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.16, no.12, 1964-12

妊馬血清性ゴナドトロピン (PMSG) と絨毛性ゴナドトロピン (CG) をヤギに連続投与して, アンチホルモン (Anti-H) の産生, 血清タンパク質含量, タンパク各分屑値の変動と沈降反応混合法による沈降素抗体価の変動を追求した. その後, 殺処分して病理学的考察を加えた. 又, Anti-Hの本態を明らかにする目的で, ウサギに大量のCGを投与して, 沈降反応重層法による抗体価の変動と沈降反応重層法による「反応の場の形」を求め, 寒天内沈降反応 (Ouchterlony法) を行い, 更に, この抗CG血清から得たγ-glのAnti-H作用を生物学的測定法で追求した. その結果, 次の成績が得られた. 1) PMSG及びCG両注射群ヤギにAnti-H産生を認めた. 血清タンパク質及びγ-gl値は初め増加するが, その後減少する. これとは反対にAl及びA/G比は注射開始後減少し, 末期に回復する. 又, 沈降素抗体価は注射の反復に伴って上昇が認められた. 病理学的所見では, 肝臓と甲状腺の重量増加が認められたが, 卵巣には変性濾胞が多く血胞及び成熟濾胞の発育は認められない. 肝臓及び腎臓の著変から, 解毒及び排泄機能の亢進が考えられる. 2) ウサギ血清の沈降素抗体価の変動で, 抗体産生に対する個体差の影響が大きいと認められた. 又「反応の場の形」で, CGと抗CG血清とは3種以上の反応系を有することが推定され, CGは複雑な抗原より成り立つものと考えられる. 寒天内沈降反応による抗原抗体分析でもCGと抗CG血清は2本以上の沈降線が認められたが, PMSGと抗CG血清との間に反応系はみられない. 又, 同一のCGでも Lot.の差によって, その中から検出出来る抗原成分数が異なることがみうけられた, 抗CG血清及び抗CG血清より抽出されたγ-gl液は, 生物学的測定で, 同時に注射したCGを抑制 (Anti-H) する作用をもつことが認められた. 以上の諸点から, Anti-Hの本態は抗体と考えられる.