著者
安田 淑子 下村 道子 山崎 清子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.29-32, 1976-02-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
6
被引用文献数
1

白米を多量の水とともに加熱し, ゆで汁を捨てて蒸す炊飯方法を湯取り法とよび, 普通炊と湯取り法による米飯の性状について比較した. その結果は次の通りである.1) 湯取り法による炊飯中の水分は, ゆでている間に増加し, 蒸すことによる増減はほとんどなかった.2) 米飯粒の膨潤は, 普通炊と比較して湯取り法では長さ方向の伸びが大きく, 幅はむしろ減少していたが, 全体としては, 水中落下速度が小さいことから, 膨潤しているといえよう.3) テクスチュロメーターによるテクスチャーの測定では, 硬さは55~50℃で湯取り方の方が大きく, 25~20℃では普通炊の方が大となる. これは粘りのためと思われる. 弾力性は湯取り法の方が小さく, 付着性, そしゃく性, ガム性も小さい.4) かびの発生状態を37℃の恒温器中で18日間観察した結果, 湯取り法の米飯には, 普通炊よりかびの発生が少なかった.5) ゆで汁中のでんぶんのアミロースの割合は28.9%で, 白米のそれより多く, アミロースはゆで汁中に溶出しやすい.6) 官能検査では湯取り法と普通炊の飯における, 好みについては有意差がなく, つやとねばりに1%の危険率で有意差が認められた.
著者
安田 淑子 下村 道子 山崎 清子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.107-110, 1976-04-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
3

湯取り法と普通炊による米飯を炒め飯にし, その性状を比較することにより, 湯取り法の検討を行った. 結果を要約すると次の通りである.1) 米飯の炒め操作については, 湯取り法の方がはるかに炒めやすい.2) 炒め操作中に湯取り法の米飯は水分の蒸発がより多い.3) 炒め飯のノルマルヘキサンによって抽出される油脂は湯取り法の方が多く, 表面に付着している割合が多い.4) 顕微鏡によって, 普通炊の米飯粒のまわりにはおねばが付着している状態が観察され, 湯取り法ではほとんどなかった. また, 炒め飯のバターの付着状態は, 湯取り法の米飯に均一に付いているのに反し, 普通炊ではむらであった. 米飯が高温の方がバターの浸透が多い.5) テクスチュロメーターによる測定では, 湯取り法による米飯の炒め飯は付着性がみられず, 硬さが普通炊にくらべて大きく, 凝集性は小さかった.6) 炒め飯の官能検査では, 湯取り法と普通炊による差はみられなかった.