著者
石井 択径 別府 成 中西 あゆみ 森木 啓 安田 研 田原 則雄 山中 典子
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.355-359, 2012-05-20 (Released:2017-05-26)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

繁殖雌牛200頭を飼養する黒毛和種牛繁殖農場で,腐敗したサツマイモを給与された妊娠牛45頭中30頭が呼吸器症状と下痢を呈し,2頭が死亡した.死亡牛は,肉眼的に肺のうっ血と水腫,間質の肥厚,肝臓表面の出血斑が,組織学的に肺血管周囲のリンパ球集簇が認められた.また,発症牛の血清検査成績から,肝機能低下が示唆された.死亡牛の主要臓器から有意な細菌及びウイルスは検出されなかった.給与されたサツマイモからは,Fusarium属菌様の菌糸と胞子が検出された.また,サツマイモ抽出物の薄層クロマトグラフィーにより,イポメアマロンが検出された.以上のことから本症例については腐敗甘薯中毒が強く疑われた.薄層クロマトグラフィーは,特殊な測定機器が不要であり,腐敗甘薯中毒の迅速な診断に有用であると考えられた.
著者
石原 康弘 小村 喜久男 大平 徳雄 安田 研 福留 憲浩 岩重 秀一
出版者
鹿児島県畜産試験場
雑誌
鹿児島県畜産試験場研究報告 (ISSN:0389357X)
巻号頁・発行日
no.38, pp.84-88, 2004-12

サツマ2001は平成13年7月に系統豚として認定され,社団法人鹿児島県種豚改良協会で維持されており,ここから肉豚生産種豚(異系統豚同士の交雑種)の増殖を行う増殖センターへ供給している。サツマ2001については性能調査を実施し,造成段階と同様に原種豚の遺伝的能力を調査するとともに,肉豚の産肉能力や肉質についても調査を行っている。今回は平成15年4月から平成16年2月までの繁殖・肥育・枝肉及び肉質の各成績について取りまとめた。1分娩した26頭の産子頭数は235頭,哺育開始頭数は230頭,離乳頭数は202頭であった。2 1日平均増体量は687.0g,飼料要求率は3.9であった。3 枝肉成績については,と体長94.1cm,背腰長II67.5cm,背脂肪の厚さ2.9cm(3部位平均値)となり,昨年度実施した成績とほぼ同等の良好な成績を示した。4 肉・脂肪の理化学的特性についても,色差,脂肪融点など昨年度と同様な成績を示した。5 脂肪酸組成は,飽和脂肪酸含量が51.47%,不飽和脂肪酸含量が46.03%となった。また,ステアリン酸の割合が高く,オレイン酸の割合が低かった。6 平成15年度の血縁係数は20.40%,近交係数は6.70%となり,血縁係数は昨年度より僅かながら上昇した。