著者
藤井 英二郎 清田 秀雄 安蒜 俊比古 浅野 二郎
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.199-204, 1985-03-30
被引用文献数
2 4

摘要 緑葉,紅葉,落葉期のケヤキとマロニエに対する注視特性を比較した。ケヤキては3期ともマロニエに比へて幹とその周辺に庄視点がより集中した。また,ケヤキの注視点移動は幹に洽った垂直的移動か多く,マロニエては幹と樹冠,枝を結ふ斜めの移動か多かった。これらの違いは,細かな枝ぶりと多くの小さな葉による密て均質な樹冠のケヤキと,疎らな枝ぶりで大きな葉をもち変化の多い樹冠をもつマロニエとの違いか原因と考えられた。
著者
福富 久夫 安蒜 俊比古
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.85-91, 1970-12-31

前回報告した松戸および柏市の小学校のうち,校舎の平面型が異なる4校を対象として,夏の日課時期における児童の屋外行動を調査した.なお,動的利用調査も一部試みた.その結果を要約すれば次のようである.1.学校における自由時間に屋外で遊ぶ児童は,ピーク時で40〜70%であり,冬の時期に比べて10〜15%多い.中学年が最も高率であり,低学年が最も低い.性差については,女子の方が男子より10%程度低い.この傾向は季節的に変りがない.時間的には,昼休みが最も高く,休み時間の長さが関係する.2.遊びの内容は,年令・性別によって異なる.低学年はスポーツ的な遊びは殆んどなく,器具を使った遊びが最も多い.中学年はポール遊びが最も多く,高学年では殆んどボール遊びである.学校の施設条件などによって差がみられる.また,学校の体育指導による影響から季節的に変化がみられる.3.児童の形成する集団の範囲は,2〜45人であり,各学年を通じて最も多いのは,2〜5人の小グループであるが,学年・性別によって差がある.低学年児童および中学年女子の集団化の大きさは,7人以下が殆んどである.中学年男子および高学年男女は,集団の人数は14人位までである.男女の混合集団は10〜14人の中グループが最も多く,集団化の大きさは19人位までである.遊びの種類別にみると,集団化の大きさは最も盛んな遊びが最も集団のサイズが大きい.季節的には,冬の時期の方が夏より同じ遊びでも,多少集団のサイズが大きくなる傾向がある.4.学年・性別によって使いやすい場に差がある.低学年は器具の近辺と校舎前の限られたスペースであり,中・高学年男子は運動場の広い場所を中心に,最も大きなスペース,同じく女子の行動領域は,この男子と低学年の間に分散し,最もまとまりがない.学校の施設条件や学年構成の違いなどによって,かなりおもむきが異なる.運動場におけるさまざまな遊びや運動は,集団化の水準を高め,知的発達や社会性を育てるために重要なのであって,児童の形成する小集団と,その行動をより重視して校庭の取扱いを検討することが必要である.
著者
堀 透 藤井 英二郎 安蒜 俊比古 浅野 二郎
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.13-18, 1982-07-31
被引用文献数
4 6

配植計画に関する視覚心理的研究の一つとして,単木を見る際の眼球運動をケヤキ,ヒマラヤスギ,クスノキを対象として測定した。ケヤキ,ヒマラヤスギでは幹に沿った垂直的な注視点の移動パターンがみられ,クスノキでは左右方向の水平的な注視点の移動パターンがみられた。また注視点の分布は,ケヤキでは樹冠中央部と幹,ヒマラヤスギでは上部の幹,クスノキでは樹冠中央部に集まり,特定の部位に集中する傾向がみられた。
著者
安蒜 俊比古 浅野 二郎 藤井 英二郎
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.85-92, 1988-03-18

築山庭造伝前編と後編に於ける役木を対象として,役木の配植位置と注視部位,庭園構成の格(真・行・草)に於ける役木の取扱いについて検討した.同一の配植位置にあっても,役木に対する注視部位が細部,局部,全形と役木によって異っている.真・行・草の庭園構成に於ける役木の取扱いは,庭園構成の格に関らず取扱われるものと,格によって取扱いが省略される役木がある.配植位置や庭園構成の格によって異なった傾向が見られるのは,とくに近景と中景の役木である.これは庭園構成の主景的な立場としての役木であるか,装景的な立場としての役木であるかによるものと考えられる.